5年、10年前は、その秘めやかな雰囲気やストーリー展開が自分には重たく感じられそうで、手が伸びなかったというか、むしろ敬遠していた渡辺淳一。

なんとなく手にとってみた。

ちょっとささくれた肌にしみるように、意外にすんなりと入ってきた。

娘ももうけた妻と離婚しかけている中年男性が、恋人である部下の若い女性と、惹かれてやまない人妻との間で揺れ動くという恋愛小説。

世の中の愛のかたちが、すべて手放しで認められるとは思わないけども、倫理とか常識とか頭の中だけで忌避することほど薄っぺらいことはない、とも思う。

これを読んだ男性(女性)と感想を交わしてみるのも面白そう。