髪を切ってみた。

切った分だけ、忘れたほうが楽な記憶も薄れてくれたらいいと思った。

いっそ坊主にしてもいいくらいだ。

でも、なんにも変わらなかった。

むしろ

変えることができるものを変えたところで、変えられないものは変わらない、そのことを確かめたようなもの。

忘れたほうが楽だといいながら、ほんとうは忘れたくなんかないんじゃないか、そんな気すらする。

自分になにかを言い聞かせるのは、時に容易く、時に難しい。