今回は前回からの続きで、枚方市に住む高齢者の方から寄せられた、投稿第4稿です。
高齢者に避けられない悲劇が骨折。
前回は、中村病院退院も見え始めた頃、
新たにレントゲンで腰骨の骨折がわかった。
手術をしてボルトが入っているところだ。痛みもなく、いつの間にか骨折というヤツ。
「寝るときもコルセットを付け、とにかく慎重に」と言われた。
退院後、関西医大に通院してからは、週2回骨のための注射を自分で打ち1年になる
骨密度が平均以下になっている。2年は続けるとのこと。
私の退院に向けて、ケアマネージャーが介護保険の区分変更申請を市に提出して下さった。要支援1(注2)だったのが要介護2となるが、コロナの給付金などで市役所業務が混乱していてなかなか決定来ずヤキモキした。
というのは、この介護度が決定しないとこれからのこと、レンタルする福祉用具や福祉サービスの中味まで何も決められないのだから。
(注2)介護保険の介護度には要支援1・要支援2から→要介護1・2・3・4・5の区分があります。
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「年寄り二人暮らし」④
s・m
今入院している中村病院でのリハビリは健康保険での入院とリハビリだが、健康保険での治療やリハビリは病気によって治療を受けられる日数が限られている。
期限が来たら退院し、次の病院なりホームに入るなり、家に帰るなりして下さい。と言われる。
良くなったかが問題でなく、期限が来たからなのだ。
何か淋しい話だ。
次のリハビリは病院ではなくデイセンターに行き、介護保険を使ってとなる。
これが健康保険と介護保険の大きな違いで、健康保険には病気により期限が決められているが、介護保険には期限はない。
退院に向けての準備で子供たちは娘の号令で家に集合し車イスで帰ってきても大丈夫なように、介護ベッドが入れるように、不要なものを捨てるため家具の整理やゴミ出し、トイレの手すりなどケアマネージャーや福祉用具会社の方たちと何度も電話で相談して苦労している。
そんな中夫に異変が起きた。
夫は私の入院以来毎日病院に、イチゴと共に現れ、イチゴを洗いペットボトルに水を入れて持って歩けない私に代わって飲み水を用意してくれていた。
(今は食事の時のお茶や水は病院が配ってくれるが後は自分で用意することになっている)
ところが、数日前から夫が立ち上がったら足がフラッとしたり、言葉が出にくくなってるのかな?と思えたりしたので、気になり娘に連絡した。
娘は翌日夫に同行して来てくれた。
その帰り道で夫と娘が食事をしていたところ、
娘は父が、お箸を充分に使えないと気付いたらしい。
私は後刻、別の用件で夫に電話をかけたが。やはり夫は必要なことがしっかり話せない。
娘が代わって話すなど、これはおかしいと思い、翌朝娘はしぶる父親をMRIが撮れる病院に連れて行った。
やがて、娘から報告があった。
MRIには脳の半分が黒く写っていた。
担当医師は
「硬膜下血腫(コウマクカケッシュ)」です。何か月か前に頭を打ったでしょう」
夫は
「そう言えば病院の駐車場で転んで鼻血が出て手当てをしてもらった。眼鏡が壊れた」
原因もはっきりした。
関西医大に連絡して下さり、明後日の予約も取れた。関西医大では
「手術するように言われた」
と娘と職員が話すと
「今日来た人にいきなり手術はなー」
だったが、その時夫が
「気分が悪くなってきた」
の一言で、そのままストレッチャーに乗せられ
「今日手術します」
となった。
その時の私はまだ中村病院に入院中でこんな時に「退院をいつにするか?」と言われても帰れるかどうかわからない。
「今の私は祈るしかない」
やがて
「手術は成功!手術の後、足が動いていた。次の日には新聞を読んでいた」
と娘からの連絡。
「数時間遅れていたら片半身マヒだった」と医師。
娘は命の恩人です。
(続く)
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「s・mさんの手記は、続編を予定していますが、この手術成功後に、新たな事態が発生し、この対応に追われて執筆の時間がとれないとの連絡がありました。」
続編再開まで、しばらく時間をいただくことになりそうです。
一段落すれば、その後の「高齢者二人暮らし」を掲載したいと思います。(すずらんスタッフ)
☕ 「すずらんのつどい」とは
2015年9月「すずらんの集い―いっしょに考えてみませんか福祉・介護―」をテーマとしてケアマネジャー経験者を中心に結成しました。常時メンバーは5名。
拠点は大阪府枚方市の北部、楠葉地区においています。
近づく超高齢化社会を見つめ、高齢者福祉の学習、関係者との情報交換、枚方市の高齢者施策についての話し合いなどの活動をしてきました。