「市議会って、議員が議論するところではないの?」

9月市議会で市民が見た議場の光景。  


 「集団的自衛権行使に関する請願」が提出されました。政府に対して閣議決定を撤回するように市長・市議会として働きかけることを促す内容です。委員会で審議がされました。請願代表者が意見陳述を行い審議に移ります。7人の委員のうち賛成する議員一人から質問があり、それで審議は終わり。他に質問も意見も出ません。委員会は休憩になり、再開されてすぐに請願に反対する意見が読み上げられます。休憩中に反対の6人の議員で協議した結果だそうです。そして採決、否決。

別の日の本会議。住民の反対運動が高まる美術館建設問題。粘り強い運動が続き着工の目途も立たない中、焦る市長は「美術館設置条例案」を提出しました。総括討論が行われ、8人の議員が質問や反対の意見を述べました。しかし賛成する議員は誰一人演台に立とうとしません。積極的に建設を進めようとする態度表明も、反対議員を反批判しようともしません。そして討論は終了し採決へ。賛成の議員から一言の意見表明もなかったにもかかわらず、賛成多数で条例案は可決されました。議員控室では盛んに意見交換がされているでしょうし、各人のブログでもこの美術館問題は論評されています。しかし公式の場、市民の前では口をつぐみだんまりを決め込む。意見がありながら議会で議論をしようとしない。論議を深めようとしない。「議会って、議員が議論するところじゃないの?」。報告を聞いた市民の驚きです。

次に先述した請願に反対する議員達の意見を紹介します。要約すると「防衛上の問題には、市議会としては口をはさむべきでない。また市議会として政治的な立場を表明することは避けるべきだ」。全く理解できません。議員の仕事は政治活動ではないのですか? 外交・防衛は市民生活と無関係なのでしょうか? 市民の生活を守るのが市長・議員の仕事ではないのですか? 

あらゆる場と手段で意見を表明することは民主主義の基本です。市会議員の皆さん、市民の前で堂々と議論をしてください。そのために高額過ぎる報酬が払われているのです。


 インタビュー


急に寒くなってきた。香里ヶ丘中央公園の美術館建設計画の見直しを求める市民が寒さを跳ね飛ばす「熱意」で、朝早くから公園に集まっている。今、枚方市は社会教育の図書館や生涯学習市民センターに指定管理者制度の導入をしようとしているが、美術館も指定管理者による運営が前提と聞いている。今回のテーマは、指定管理者制度について・・・


Q:指定管理者制度は、バブル経済崩壊後の1990年代後半に「民間でできるものは民間に委ねる」という政府の施策の中で始まりました。当時、どのように受けとめられましたか?
A:上の子が保育所、下の子が生まれたばかりの頃で子育てに必死で余裕がなかった時期でしたが、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(憲法25条)」がないがしろにされないか、漠然とした不安がありました。仕事は高齢者の介護現場だったので、景気の悪化の影響で、他職種から介護の職場に転職してくる職員が増え、民間職場の雇用が厳しい状況を感じていました。



Q:図書館と生涯学習市民センター(公民館)の複合施設に指定管理者制度導入が進められようとしていますが、どのように思われますか?
A:意見聴取会に参加しましたが、参加されていた市民の意見は、私が聞いている限りどれも指定管理者制度に反対する意見ばかりでした。しかし、市の職員の説明は制度ありきで、意見聴取会というより、市民に一方的に押し付ける内容でした。指定管理者制度が導入されれば、市民の声が一層、市に届かなくなるのは明らかです。市の直営だからこそ、市民と市の職員がサービスの向上に向けて共に一緒に知恵を出し合いイベントや活動をつくっていくことができます。市民と市のあいだに指定管理事業者が入れば、責任の所在もあいまいになり、市の職員の仕事は机上の事務的なことだけを行うことになり市民の顔の見えない機関になってしまうのではないかと危惧します。複合施設への指定管理者制度導入は正しい施策ではないと思います。


Q:「民間に出来ることは民間に」という流れは介護の仕事にどのように影響しましたか?
A:介護保険制度が2000年に導入され、その後地域包括支援センターがつくられ、高齢者の相談窓口は、市役所から民間へと変えらました。介護サービスは民間の介護事業者と個々の利用者との契約になりました。高齢者の生活を丸がかえしなければならないケースも増えるなか、民間である地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネージャーの事業所)が最前線で高齢者を支えているのです。本来は市が行うべき仕事だと思いますが、市は今や高齢者の生活実態を知らないで、手続き的なことや管理・監督業務が主要な仕事になっていっています。来春に介護保険が大きく変えられますが、自治体の高齢者の生活づくりを支える政策作りの責任が重くなります。「民間にゆだねる」ことを見直す時期に来ているのではと思っています。

                         ありがとうございました <インタビュー:おおた幸世>

Q:地方自治体と住民との関係から、指定管理者制度をどのように考えられますか?
A:地方自治体の「安心して暮らせる」政策の重要な一つが「公の施設」の運営です。自治体は一つの施設だけでなく、他の施設と連携し「公の施設」を展開させなければなりません。指定管理者制度は施設ごとに独立した運営になるので、施設間の連携が難しく、施設が孤立し自治体の施策の展開が低下してしまいます。市職員は市民と直に交流することで市民の要望を知り、政策の問題点も発見でき、より住みよい町にする政策を考えることができます。指定管理者制度導入は、慎重でなければなりません。