柔と耕作(松田)の新婚日記 22日目 (夜編)

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています。




2階へ上がると耕作はポットを机の上に置き、柔はお茶を注いでコーヒーを淹れると
耕作に渡しながら2人は寄り添って座った。

柔「労いの気持ちを込めたコーヒーだよ~。」

耕作「ふふ、ありがとね、君もお疲れ様。」

耕作「そう言えばスピードアップの話は富士子さんにはしたの?」

柔「あ~、それね~、部員達の所へ行く時に話したよ。」

耕作「なるほど、あの時は乱取りする相手の事だけ話してるかと思ったんだ。」

柔「ちゃんと練習前にお話するって言ったじゃない?」

耕作「そう言ってたね。」

柔「もう~、あなたったら~、あたしを信用して無いの~?」

耕作「いや、そうじゃなくて、一応確認しただけだから。」

柔「ほんとかな~、たま~に確認とか言って聞いてくる時が有るよね~?」

耕作「別に君を信用して無いとかじゃなくて、俺が納得したいからってだけだよ。」

柔「そうなのね。」

柔「あっ、そっか、ありがとう~。」

耕作「何で急にお礼を?」

柔「あたしの事を心配してくれてたからだよ~。」

耕作「そういう事か、俺が君の事を心配するのは当然じゃないか。」

柔「うふ、以前、俺にも心配させてくれって言ってたもんね。」

耕作「そうだよ、だから、つい確認の為に聞いてしまうんだ。」

柔「分かったわ、あなたが何か聞いてきた時はそう思う様にするね。」

耕作「そう思うって?」

柔「あなたがあたしの事を気に掛けて心配してくれてるんだ~ってね。」

耕作「そうか、君にそう思って貰えると俺も聞き易いよ。」

柔「だからと言って、何でもかんでもは聞かないでね?」

耕作「勿論さ、俺でも分かる事までは聞かないよ。」

耕作「ところで何で練習方法を考えてる事を俺には言わなかったんだい?」

柔「ごめんね~、あなたに黙ってて。」

耕作「いや、咎めてる訳じゃなくて理由が知りたいだけなんだ。」

柔「だって、昨日はあなたにはそこまで余裕が無いかと思ったからなの。」

耕作「何で余裕が無いって思ったのかな?」

柔「ほら~、あたしを喜ばせるには~とか言ってたから。」

柔「それに専念して欲しかったのも有るんだよ?」

耕作「君を喜ばせるって・・、あ~、夜の事か。」

柔「うん、だから、言わない方が良いかなって思ったの。」

耕作「そういう事で言わなかったんだ。」

柔「そうなの、ごめんね~。」

耕作「君がそこまで俺の事考えてくれたなんて、俺こそごめんよ。」

柔「ううん、あなたは悪くないよ?」

柔「あたしがあなたに一言確認すれば良かっただけなんだから。」

耕作「柔?」

柔「な~に~?あなた~。」

耕作「お相子って事で良いんじゃないかな?」

柔「うふふ、そうだね~。」

柔は耕作の肩に頭を預けて凭れ掛かった。

柔「何時もお互いの事を慮って色々考えてるのね。」

耕作「そういう事になるね。」

耕作「しかし、君って相変わらず難しい言葉を知ってるよね。」

柔「もう~、あなたってば~。」

耕作「ふふ、分かってるって、感心してたんだよ。」

柔「うふ、そうなのね、それなら良いよ~。」

柔「ね~、今日の分の原稿はどうするの?」

柔「何時もの様に晩ご飯の後に書くつもり?」

耕作「どうするかな?ご飯の用意まで時間は有りそう?」

柔「今日は早目に帰ってきてるから、まだ時間は有るよ。」

耕作「じゃあ、今から書こうかな。」

柔「その方が良いかもね。」

柔は頭を耕作の肩から外して立ち上がると耕作も一緒に立ち上がって机の椅子に座り
カップを机の隅に置き原稿を書き始めた。
柔もカップを机の隅に置くと耕作の首辺りに抱き付いて肩越しに覗き込んだ。

柔「うふふ、今日はあたしの事を書いてるんだね。」

耕作「君にお許しを貰ったからね。」

柔「そんな~、あたしはお願いしただけだよ?強制した訳じゃないし。」

耕作「ふふ、君のお願いは俺にとっては絶対に叶えて挙げたい事だから。」

柔「そうだったね、ごめんね~、無理言って。」

耕作「謝らなくても良いよ、別に君が無理な事を言ってたって思ってないし。」

柔「それなら良いんだけど・・。」

耕作「ほらほら、そんな顔しない。」

柔「何で見て無いのにあたしの表情が分かるの?」

耕作「君の話し方で大体分かるよ。」

柔「今までずっとあたしを見てきたから?」

耕作「勿論さ、君が話す時は何時でも表情豊かに話してたし。」

柔「そうなんだ、意識してやってたつもりは無いんだけど。」

耕作「なるほど、それも無意識でやってた事の一つになるのか。」

柔「そう言えば、他にも色々と無意識でやってた事が有ったね。」

耕作「君が無意識でやってた事は全て君の魅力に繋がってると思うよ。」

柔「あたしの魅力か~・・、あなたにとってはって事だよね?」

耕作「そうだね、だから、君に引かれたのかも知れないよ。」

柔「あたしはあなたの何に引かれたんだろう?」

耕作「それは、以前、君も言ってたと思うけど?」

柔「あたしに対して直向きだったからかな~?」

耕作「それは否定はしないよ、君を最初に見てから君だけしか見て無かった気がする。」

柔「でも、その時って単に取材対象としてだったんだよね?」

耕作「それは以前も君に話したと思うけど。」

柔「そうだったね。」

柔「途中から愛情の対象になってたのか~、ほんと鈍感だよね~、あたしって。」

耕作「ふふ、また、以前、話した事を繰り返そうとしてるよ。」

柔「うふ、そうだね~。」

柔「やっぱり、あれね?」

耕作「あれって?」

柔「お付き合いしてる感じが無いまま結婚しちゃったからかも。」

耕作「そうかな?アメリカで十分に付き合ってる感じにはなってたと思うけど。」

柔「それはそうだけど、あの時って既に婚約してた訳じゃない?」

柔「婚約してたらあれ位普通と思うんだけど。」

耕作「いや、普通以上の事をしてたと思うよ?君がやってた事って。」

柔「あは、そうだった、でもあたしからすれば普通だと思ってたのよね~。」

耕作「以前からずっと言ってたけど、君の普通は他の人とは違うって。」

柔「それって何度もあなたから聞いた気がするよ。」

耕作「ちなみに君が普通じゃないって言ったのは俺だけじゃないからね?」

柔「そうだった?」

耕作「富士子さんもキョンキョンも、それにあの2人も序に言えば俺の知り合いも言ってたよ。」

柔「・・・、そっか、やっぱりあたしって普通じゃないのね。」

耕作「それについても説明したと思うけど。」

柔「あたしが普通の生活を送ってこなかった所為だって言ってたね。」

耕作「それって、君の生活環境が特殊だったから仕方が無いと思うよ。」

耕作「俺にとっては今の君は魅力的だからそのままで居てねって話した気がするけど。」

柔「そう言ってたね、あたしって変わってきてるのかな?」

耕作「俺が見る限り良い方向に変わってきてると思うよ。」

柔「どんな事が変わってきたのかな?」

耕作「先々の事を見据えた行動になってるよ、これも以前言ったけど。」

耕作「それに俺の事を常に考える様にもなってるしね。」

柔「それは~、あんなプロポーズをされたらね~。」

柔「それと今ではあなたと一つになって何度も愛し合されてるも~ん。」

耕作「こらこら、それって、絶対他では言わないでよ?」

柔「分かってるってば~、あなたしか居ないから言ってるの~。」

柔「愛されてるって実感が有るから、余計にあなた以外の事なんて考えられないよ。」

柔「あっ、柔道してる時は別だけど。」

耕作「柔道は仕方ないと思ってる、君が忘れられるはずなんて絶対に無いんだから。」

柔「そうなんだけど、あなたの事も絶対に忘れる事は出来ないよ。」

耕作「俺もそうさ、君の事を忘れるなんて考えられない。」

柔「ね~、こっち向いて~。」

耕作「分かった、あれだろう?」

耕作は柔の方に顔を向けると柔は耕作に軽くキスをした。

柔「うふ、あたしが何をしたいかあなたも分かってたね。」

耕作「それはそうさ、君の言い方で何をしたいのか直ぐに分かるよ。」

柔「もしかして書き終わってるの?」

耕作「うん、少し前に終わってた。」

柔「ほんとにあたしとの会話って邪魔になって無いのね。」

耕作「前も言ったよ?君と会話してると自然と文章が浮かんでくるって。」

柔「そう言ってたね、それじゃ、コーヒー淹れるね。」

耕作「頼むよ。」

柔は抱擁を解いてコーヒーを淹れると耕作は立ち上がってそのコーヒーを受取り乍ら
柔の腰に手を回して引き寄せると一緒にベッドに座った。

柔「うふふ、そうするのって、どこで覚えたの?」

耕作「何かで見た覚えが有ったから一度やってみたいと思ってて今やってみたんだ。」

耕作「嫌だった?」

柔「ううん、あなたにそうされて凄く嬉しかった。」

耕作「まあ、人前では出来ないけど。」

柔「恥ずかしいから?」

耕作「それも有るけど、人前だと君ほど大胆にはなれないよ。」

柔「え~、あたしって、そこまで大胆にした事有った?」

耕作「ジョディー達の前で俺にキスしたのは誰だったかな~。」

柔「あは、あたしだね~。」

柔「でも、あの時のあなたは説明してた位だから納得してたんじゃないの?」

耕作「見られた相手がジョディー達だったのも有るかな?割と平気だったよ。」

柔「ね~、今の位なら人前で出来る様になろうよ~。」

耕作「もしかして、他の人が居る時でもして欲しいの?」

柔「うふふ、あなたさえ良ければやって欲しいかな~。」

耕作「他の人って言っても知り合い位だよ?俺が出来るのは。」

柔「それでも良いからやって欲しいな~。」

耕作「仕方ないな~、機会が有ったらやってみるよ。」

柔「うふ、楽しみだな~。」

耕作「それはそうと、そろそろ下に下りた方が良いんじゃない?」

柔「あっ、いっけな~い、下りようか。」

耕作「ポットとかはそのままで良いから急いで下りよう。」

柔「そうだね、急ぎましょう~。」

耕作は柔の腰に手を回したまま一緒に立ち上がりカップを机の上に置いて下に下りようと
部屋のドアを開ける前に柔も耕作の腰に手を回してきた。

耕作「これで下りるつもり?」

柔「大丈夫じゃない?寄り添って下りても。」

耕作「それもそうか、腕組みがこれに変わっただけだね。」

柔「今度外に出た時もこうしよう~?」

耕作「少し恥ずかしいけど、町内だったら大丈夫か。」

柔「わ~い、楽しみだね~。」

柔と耕作はお互いの腰に手を回し寄り添って下に下りて行った。



下に下りた2人はそのままの状態で台所へ向かった。

既に来ていた玉緒が2人のその姿を見て微笑んでいた。

玉緒「まあまあ、相変わらず仲が良いわね~。」

柔と耕作は慌てて腰に回していた手を外した。

玉緒「あら、そのままでも良かったのに。」

柔「おかあさ~ん、やっぱり、少し恥ずかしいよ~。」

玉緒「恥ずかしがる事は無いと思うわよ?」

柔「でも、今日初めてやったから恥ずかしいってば~。」

玉緒「それは仕方ないわね~、でも、私の前では恥ずかしがらなくて良いわよ。」

柔「慣れてるまでは無理よ~。」

玉緒「それじゃあ、慣れる様に外に出た時もその格好で行くと良いわよ。」

柔「さっき、それをお話してたよ。」

玉緒「そうなのね、頑張んなさい。」

柔「そうするつもり~。」

柔「ところで晩ご飯はポークソテーにするのよね?」

玉緒「そのつもりよ、あなたも何か作りたい物が有ったら作って良いわよ。」

柔「じゃあ、ポークソテーの付け合わせの野菜を煮て作るね。」

玉緒「分かったわ、それは任せるわね。」

柔「あなた?座って待っててね。」

耕作「分かった、そうするよ。」

耕作がテーブルの椅子に座ると柔はお茶を注いで耕作に渡した。

耕作「ありがとね、頑張って。」

柔「は~い。」

柔と玉緒は分担して晩ご飯の仕度に取り掛かった。

耕作「(まさか、玉緒さんが先に来てるのは予想して無かったな~。)」

耕作「(見られてしまったけど、あの反応だと大丈夫そうか。)」

耕作「(玉緒さんと虎滋朗さんは今は離れてるから余り見せ付ける様な真似はしたく無いな。)」

耕作「(後で柔にもそう話しておくか。)」

耕作「(それにしても2人とも手際が良いな、慣れてるのも有るんだろうけど。)」

耕作「(そろそろ食器を用意しておくか。)」

耕作は立ち上がると食器棚の前に行き広目の皿と茶碗とお椀と小皿を出してテーブルの上に

重ねた状態で置いた後再び椅子に座った。

柔「うふ、さすが、慣れてきたね~、もう食器を用意してるなんて。」

耕作「見てると後どれ位で出来上がるか分かる様になったよ。」

玉緒「何時も見てたから分かる様になったのね。」

柔と玉緒は出来上がった料理を交互に皿の上に盛り付けして茶碗にご飯をよそいお椀に
吸い物を注いで小皿に漬物類を載せるとそれらをお盆の上に載せていった。

玉緒「じゃあ、居間に持って行きましょうか。」

柔「は~い。」

耕作「分かりました。」

柔達3人は各々お盆を持つと居間へ持って行った。



居間に着くと既に滋悟朗が座って待っていた。

滋悟朗「待っておったぞ、良い匂いがして堪らんかったわ。」

玉緒「少しお待ち下さいね。」

柔達は座卓の上に料理を並べていくと各々の場所に座った。

滋悟朗「美味そうぢゃのう~、早速、いただくとするかの。」

4人「いただきます。」

滋悟朗「おお、匂いで想像しておったが予想通りに美味いぞい。」

玉緒「それは良かったですわ。」

柔「余りがつがつ食べないのよ?」

滋悟朗「分かっとるわい、味わいながら食べとるわ。」

滋悟朗「ところで、柔よ、何度も聞くようぢゃが富士子はどんな塩梅なんぢゃ?」

柔「ほんとに何度も聞くのね~、大丈夫だよ、もう一人でもやっていけるよ。」

滋悟朗「そうぢゃったか、祐天寺も喜んでおったろう?」

柔「そうだね~、今日は富士子さんの事を頼もしそうに見てた気がするよ。」

滋悟朗「そうかそうか、それは良かったのう。」

滋悟朗「これで祐天寺も安心しとる事ぢゃろうて。」

柔「そうだと思うよ。」

柔「来週から代表選手が2名程来るけど、富士子さんに任せても大丈夫だよ。」

滋悟朗「何ぢゃと~?代表選手が西海大に来るんか?」

柔「そうみたい。」

滋悟朗「何故、代表選手が西海大くんだりに来るんぢゃ?」

柔「祐天寺監督が居るからじゃないの?」

滋悟朗「い~や、それだけでは代表選手なんぞが行く訳無いぞい。」

滋悟朗「柔?そう言えば、お前、合同練習をするとか言うておったな?」

柔「そうだよ、来週から合同で練習を始める様にしてるよ。」

柔「それは、おじいちゃんにもお話したと思うけど?」

滋悟朗「そうぢゃったな、もしかして、お前がその2人を指導するんぢゃなかろうな?」

柔「もう~、おじいちゃんったら~、あたしが直接指導出来ないの知ってるじゃない?」

滋悟朗「なら、誰が指導すると言うんぢゃ?」

柔「だから~、それはさっきも言った様に富士子さんがするんだよ?」

滋悟朗「富士子で大丈夫か?」

柔「おじい~ちゃ~ん、それもさっき言ったじゃな~い。」

滋悟朗「そうぢゃったかの?」

玉緒「おとうさん?それに付いては柔が最初にそう言ってましたよ。」

滋悟朗「そうか、玉緒さんまでそう言うなら儂は聞いておったんぢゃな。」

柔「おじいちゃん・・、まさか・・。」

滋悟朗「ボケとりゃせんわ、失敬な奴ぢゃな。」

柔「だって~、たった今言った事をもう一度聞かれたら普通は誰でもそう思っちゃうよ?」

滋悟朗「確認する為にもう一度聞いただけぢゃわい。」

柔「分かった、分かった、そういう事にしときましょう。」

滋悟朗「こ奴は、相変わらず小憎らしい事を言うんぢゃな。」

柔「それよりもお替りは要らないの?」

滋悟朗「もう良いわい。」

玉緒「そうなんですか?」

滋悟朗「部屋に戻って少ししたら風呂に入る事にするぞい。」

玉緒「分かりました。」

4人「ごちそうさまでした。」

柔「お粗末様でした。」

滋悟朗は自分の部屋に戻って行った。

玉緒「それじゃあ、柔?お願いしても良いかしら?」

柔「うん、後片付けはやっておくから。」

玉緒「私も部屋に戻ってますから。」

玉緒も自室に戻って行った。

柔「あなた?お願いね~。」

耕作「任せとけ~。」

耕作が食器類とお盆を持つと柔が耕作の腰に手を回し寄り添った。

耕作「危なかった~、いきなりそうするから落としそうになったよ。」

柔「あは、ごめんね~、無理そうならあたしも持つよ?」

耕作「いや、もう平気だから行こうか。」

柔「は~い。」

2人はそのまま台所へ向かった。



台所に着くと柔は耕作の腰から手を放して、耕作は流しに食器類を置きお盆を流しの横に
置くと椅子に座った。
柔はお茶を注いで耕作に渡した。

柔「待っててね~、直ぐ終わると思うから。」

耕作「お茶、ありがとね、ゆっくりで良いよ。」

柔「うふ、ゆっくりやっても直ぐ終わるけどね。」

耕作「何時もそうだったね。」

柔は鼻歌交じりに後片付けを始めた。

耕作「君と滋悟朗さんの掛け合いを見てると面白いよ。」

柔「あは、やっぱりそう見えてるのね。」

耕作「でも、滋悟朗さんも富士子さんの事は心配してたみたいだね。」

柔「それはね~、あたし以外で唯一の愛弟子だから当然だと思うよ。」

耕作「そう言えばそうか、確かに直接指導してたっけ。」

柔「あなた?お湯飲み頂戴。」

耕作「分かった、洗うんだね。」

柔「うん、それで最後だから。」

柔が耕作の傍に行くと耕作は柔に湯飲みを渡した。
柔は受け取った湯飲みを洗い拭き上げて食器棚に直した。

柔「終わったよ~、続きは上に上がって話そうか?」

耕作「お疲れさん、そうだね、行こうか。」

柔「ね~、また、あれお願~い。」

耕作「分かった、気に入ったみたいだね。」

柔「うふふ、あなたにあんな風にして貰うと嬉しくなるも~ん。」

耕作は柔の腰に手を回し柔も耕作の腰に手を回すと寄り添って上に上がって行った。



2階の部屋に入るとそのままの姿勢でベッドに座った。

柔「コーヒーは?」

耕作「もう少しこうして居たいかな。」

柔「うふ、あたしもそう思ってた~。」

柔は耕作の肩に頭を預けて凭れ掛かった。

柔「何だかホッとするな~。」

耕作「俺も同じく安らげるよ。」

柔「明日はいよいよ本格的なデートだね~。」

耕作「そういう事になるのかな?」

柔「お弁当を持って2人だけで遊園地なんだもん、当然デートに決まってるじゃない。」

耕作「それっぽい事は向こうに居た時もやってたけどね。」

柔「あれは、あたしがお弁当を持って行ってあなたと一緒に食べてただけだから。」

耕作「それもそうか、俺も会社の昼休みだったか。」

柔「そうだよ~、だから、デートとは言わないよ。」

柔「ね~、明日着ていく服は何が良いと思う?」

耕作「俺が決めて良いの?」

柔「あなたが気に入った服を着ていきたいな~。」

耕作「そうか、じゃあ、君は嫌がるかもしれないけどそれでも良いかな?」

柔「え?あたしはあなたが決めてくれた服なら嫌がったりしないよ?」

耕作「それはどうかな~、だって、君と最後に行った時の服を着て欲しいんだ。」

柔「何でそれにして欲しいの?」

耕作「君と最後に行った時の服ってあの時の嫌な思い出が残ってる訳でしょう?」

柔「そうね、2人にとっても良い思い出じゃないけど。」

柔「だから、あの後は着て無いかな。」

耕作「そうだと思ったよ、だからこそ着て欲しいんだ。」

柔「そういう事か~、あなたの考えてる事は分かったわ。」

柔「あたしのその時の思い出を忘れさせてくれるって事なのね。」

耕作「ふふ、さすが、その通りだよ、駄目かな?」

柔「あなたの言う通り、あの時の服を着ていくね。」

耕作「良かった、2人で良い思い出にしよう。」

柔「そうね、2人で楽しい思い出にしましょう。」

柔「じゃあ~、あなたもあの時の服にしよう?」

耕作「良いね、2人であの時と同じ服で行くのって。」

耕作「今の君があの服を着るに当たって、一つ気になる事が有るんだけど。」

柔「うふ、あなたの言いたい事は分かってるよ?」

耕作「分かったの?それで大丈夫?」

柔「スポブラの締め付けるタイプのなら大丈夫だと思うよ。」

耕作「無理はしないでよ?」

柔「大丈夫だって、伸縮性は良いんだから。」

耕作「しかし、良く俺が言いたい事が分かったね。」

柔「それはね~、今のあたしがって言う事とあの時の服って言うので胸が窮屈なんじゃないかって事を
  言いたいんだって直ぐに分かったよ。」

耕作「さすがだよ、柔君。」

柔「あたしを見縊って貰っては困るね~、耕作君?」

柔、耕作「ふふふ。」

柔「久しぶりに言った気がする~。」

耕作「そうだね、でも、君ってほんとに言葉には敏感だね。」

柔「それは~、あなたの教育の賜物かもよ?」

耕作「俺、君にそんな事やってたっけ?」

柔「向こうでは結構言葉に付いて教えて貰ってたよ?」

耕作「教えたって言うか指摘はしてた気がするけど。」

柔「それが教えてた事になると思うよ。」

耕作「なるほどね。」

耕作「敏感って言えば、滋悟朗さんが君のやろうとしてる事に感づいてそうだね。」

柔「まあ、あれはやろうとしてるって言うよりはやらされてるって思ってるけど。」

耕作「連盟からって事?」

柔「だって、何も試験なしで師範に相当する資格を与えるとか言ってたじゃない?」

耕作「あ~、そんな事を祐天寺監督が言ってたな~。」

耕作「実際は連盟の人が言ってるんだろうけど、一体誰が君の事を知ったのかな?」

柔「あたしの事は連盟の方なら誰でも知ってるでしょう?」

耕作「また言葉足らずだったね。」

耕作「君が色んな所で教えてるって言うのを連盟の誰が知ったかって事だよ。」

柔「あ~、そういう事ね。」

柔「確かに謎だよね?連盟には何も連絡してないし。」

柔「・・・、分かった~、あなたの所為だ~。」

耕作「え?何で俺の所為なの?」

柔「胸に手を当てて良~く考えてみて?」

柔「ちなみにあたしの胸じゃないからね?」

耕作「ははは、その位分かってるよ、それともそうして欲しかった?」

柔「あなたがしたかったら、そうしても良いけど?」

耕作「いや、今は止めておくよ、真面目に考えてみるから。」

耕作「・・・、あっ、俺が書いた記事で知ったって事か。」

柔「うふふ、犯人が分かった~。」

耕作「犯人って・・、まるで悪人扱いなんだね。」

柔「そんな事は思って無いよ~、犯人=悪人って訳じゃないんだし。」

耕作「確かに君の言う通りだ、しかし、まさか連盟の人が俺の書いた記事を読んでるなんて
    思ってもみなかったよ。」

柔「だって、あたしの動向を知りうる唯一の媒体じゃない?あなたが書いた記事って。」

耕作「そうだったね、そんな事は考えた事も無かったよ。」

玉緒「お風呂空いたわよ~。」

柔「あっ、は~い、直ぐ入るから~。」

柔「あなた?入りに行きましょう?」

耕作「そうだね、勿論、バスローブだけ持って行くんだよね?」

柔「うふふ、そうだよ~、早く行こう~。」

柔と耕作は夏用のバスローブを持つとお互いの腰に手を回し寄り添って下に下りていった。



下に下りた2人は風呂場へ急いだ。
脱衣所に入った2人は急いで着ていた服を脱ぐとタオルで前を隠し乍らお互いの腰に手を
回し寄り添う様にして風呂場に入った。
2人は湯船の傍に行くとお互いの腰から手を放し腰を屈めてタオルを取ると掛け湯をして
湯船に浸かった。

柔「あ~、寛ぐね~。」

耕作「そうだな~、しかし、同じ事をしても服の上からと素肌とではかなり違った感じだね。」

柔「そうなのよね~、あなたが腰に手を回した瞬間、凄くゾクゾクしちゃったよ。」

耕作「君もなんだね、俺もそんな感じだったよ。」

柔「ね~、あなた~?」

耕作「どうかしたの?」

柔「明日の事も有るしバスローブを着て寝るから大人しく寝ようか?」

耕作「そうするか、君も明日は色々と大変だろうから。」

柔「あなたの為にする事で大変だなんて思った事は無いよ?」

耕作「ふふ、君がそう思ってるなら良いけど。」

柔「今日は早目に寝て明日に備えないとね。」

耕作「そうだな、明日は結構歩き回る事になりそうだし。」

柔「そうなの?」

耕作「君が嫌なら余りウロウロしないでおこうか?」

柔「あたしはあなたと一緒ならどんな事でも平気よ。」

耕作「そう思ってくれるのは嬉しいけど、君に無理はさせたく無いからね。」

柔「うふふ、あなたって、相変わらず、あたしの事を考えてくれるのね。」

耕作「当然さ、君の事が大事だから。」

柔「あたしもあなたの事を大切に思ってるよ。」

柔は耕作の方を見上げて目を瞑った。

耕作はそれに応える様に頬に片手を添えると長めのキスをした。

柔「はぁ~、素敵なキス、ありがとう~。」

耕作「君こそ、素の姿の素敵な表情をありがとね。」

柔「あは、あたし達裸だったんだね、忘れてたよ。」

耕作「ふふふ、ここが風呂場って事も忘れてたのかな?」

柔「うふふ、さすがにそれは忘れて無いわよ~。」

耕作「じゃあ、体を洗おうか。」

柔「そうしましょう。」

2人は湯船から出るとそれぞれに体をきれいに洗い流すと再び湯船に浸かった。

耕作「相変わらず、きれいな肌をしてるね、眩しい位だよ。」

柔「あなたも逞しいわよ?どことは言わないけど。」

耕作「こらこら、また見てたのか~。」

柔「それはね~、以前も言ったじゃない?気になるって。」

耕作「俺も言ったと思うけど、そこまで気に掛けなくて良いって。」

柔「そうだったね、ごめんね~、直ぐ見ちゃうあたしって嫌かな?」

耕作「そんな事は無いさ、それだけ俺の事を心配してるって分かってるから。」

柔「でも、出来るだけ見ない様にするね、あなたに何度も同じ事を言わせたくないし。」

耕作「そうしてくれると助かるよ。」

柔「そろそろ上がりましょうか?」

耕作「ふふ、早くバスローブが着たいんだね。」

柔「あは、分かっちゃった?早く素肌に直接着てみたいの~。」

耕作「じゃあ、出よう。」

耕作は先に立ち上がると柔に手を差し伸べて、その手を掴んだ柔も立ち上がり湯船から出て
体を軽く拭いて脱衣所に行き、そこで更に体を入念に拭き上げると耕作は柔にバスローブを
羽織らせ、柔も耕作にバスローブを羽織らせた。
2人ともバスローブをきちんと着るとお互いの腰に手を回し脱衣所を後にして2階へ向かったが、
途中台所によって柔が冷蔵庫から缶ビールを出して耕作に渡した。

柔「はい、最近飲んでなかったからね。」

耕作「そうだったな~、ありがとね、上に上がったら飲むよ。」

2人は寄り添って2階へ上がって行った。



2階へ上がると腰に手を回したまま一緒にベッドに座った。

耕作「栓を開けられないから手を外すよ。」

柔「そのままで大丈夫よ。」

柔はそう言うと耕作の持っている缶ビールの栓を空いている手で開けた。

耕作「ふふ、そういうやり方までは思い付かなかったよ。」

柔「さあ、飲んで~。」

耕作「ありがとね、いただくよ。」

耕作は缶ビールを一気に飲み干した。

耕作「かぁ~、最高だよ~。」

柔「羨ましい位の飲みっぷりね~。」

耕作「久しぶりに飲んだから少し酔いが回ってきたかも。」

柔「じゃあ、横になろうか?」

耕作は手を伸ばして缶ビールの空き缶を机の上に置いた。

耕作「そうだね、このまま横になろうか。」

柔「うふ、それでそのまま寝るのね。」

耕作「眠くなったら寝て良いよ。」

柔「うん、そうするね。」

2人は腰に手を回したまま横になると足をベッドの上に載せ90度回転して
普通にベッドに横になった状態にすると柔が抱き付いた。

柔「このバスローブ少し生地が薄いから素肌で抱き付いてる感じがするね。」

耕作「そうだね、君の胸の感触もハッキリ分かるよ。」

柔「や~ん、分かってても、そういう事は口に出して言わないでよ~。」

耕作「ふふ、何時も口に出してる君がそう言うなんて。」

柔「やっぱり、変かな?」

耕作「そんな事は無いよ、言い方が凄く可愛かったから。」

柔「やだ~、そんな感じで言ったつもりじゃなかったのに~。」

柔「でも、そんなに分かり易いの?」

耕作「君も感じてるくせに、わざと聞いてるんでしょう?」

柔「あは、バレてたか~、あたしは敢えて言わない様にしたんだよ?さっきも言われたから。」

耕作「ふふ、ちゃんと言い付けは守ってるんだね。」

耕作は柔の頭を撫でた。

柔「ご褒美?」

耕作「そうだよ、言わなかったご褒美。」

柔「うふ、嬉しいな~。」

柔「ところで、あたしのバスローブ姿、どう思ったの?」

耕作「凄くセクシーだったよ。」

柔「だから、こんなになってるのね。」

耕作「君が魅力的だから仕方ないよ。」

柔「うふふ、ありがとう~、嬉しいな~、そう言われると。」

耕作「しかし、思ってた以上に丈が短かったね。」

柔「でも、普通に立ってる状態で見えなかったから大丈夫でしょう。」

耕作「ただ、座ってる所を正面から見ると絶対に見えるんじゃないかな?」

柔「それはね~、あたしだけじゃなくて、あなたもだよ?」

耕作「まあ、そうなんだけど。」

耕作「ここには君と俺しか居ないから、気にしなくても良いか。」

耕作「後、歩いてる時に前が開けると全部見えるね、これって。」

柔「バスローブだからね~、それは仕方ないよ。」

柔「ここに上がるまでは気を付けないといけないね。」

耕作「そうだね、出来るだけ急いで上がる様にしよう。」

柔「勿論そうするよ、でも、毎日これじゃないけど。」

耕作「あの日だけって事?」

柔「その方が良いでしょう?」

耕作「確かに、色々便利だし。」

柔「何が便利なのかな~?」

耕作「分かってるくせに。」

柔「うふふ、あなたに言わせたかったな~。」

耕作「まあ、実際に使う時に分かるから良いでだろう?」

柔「そうね、楽しみにしてるよ~。」

耕作「そろそろ寝ようか?」

柔「うん、そうするね。」

耕作は柔の頭を撫で続けた。

柔「さっきからずっと眠かったけど、そうされると直ぐに寝そう。」

耕作「眠かったんだね、遠慮せずに寝て良いよ、ぐっすりおやすみ?」

柔「ごめんね、先に寝るね。」

耕作「気にしなくて良いからね。」

柔は耕作に抱き付いたまま目を瞑ると直ぐに寝てしまった。

耕作「俺も寝るかな。」

耕作も柔を優しく抱きしめて目を瞑り温もりを感じながら何時の間にか寝入ってしまった。