柔と耕作(松田)の新婚日記 25日目 (午後編第2部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日7分割で表記しています。
西海大へ行く道中で柔と陽子達は先程の練習内容に付いて話していた。
陽子「柔さん?さっきの乱取りの説明ですけど。」
陽子「技を掛ける時の予備動作ってどうやったら分かるんですか?」
柔「それは、技を掛ける時って組んだ状態のままでいきなりは出来ないでしょう?」
陽子「確かに、組んだ状態で足技を掛ける時は腕を使って相手の上体を動かしてバランスを
崩した後に足を少し動かして仕掛けますね。」
柔「それが予備動作ね、それ位なら皆でも分かると思うよ。」
温子「柔さんはご自分の速さで慣れてるから、私達が気付かない動きでも分かるんですよね?」
柔「そうね、だから、皆が仕掛ける時の予備動作は直ぐに分かったよ。」
恵美「だから、技を封じられてたんですね。」
柔「そう言う事になるわね。」
温子「どうすれば速く出来るんですか?」
柔「一番重要なのはトレーニングかな?」
柔「後は打込と乱取りの時に意識して速くする様に心掛けるしかないと思うよ。」
耕作「柔?」
柔「な~に~?あなた~。」
耕作「君自身の才能の事を言わないと。」
陽子「柔さん自身の才能ってどんなの何ですか?」
柔「もう~、あなたったら~。」
柔「それを言っちゃうとやる気なくすと思ったから言わなかったのに~。」
耕作「そうだったのか、すまなかった。」
恵美「柔さんの才能って何ですか?」
柔「仕方ないな~。」
柔「あたし、皆が技を仕掛けようと動作を起こす前に分かっちゃうのよ。」
温子「それはどうやって分かるんですか?」
柔「う~ん、上手く説明出来ないな~。」
柔「あなた?責任取って説明してね。」
耕作「分かった、そうするよ。」
陽子「松田さんには分かってるんですね?」
耕作「そうだね、柔の事はずっと見てきたから分かってるつもりだよ。」
耕作「柔は組んでる相手の動きが事前に分かる才能を持ってるんだ。」
耕作「その動きに対して、柔は無意識に対応する事が出来るのも才能かな。」
由紀「それって凄い事なんじゃないですか?」
耕作「そうだね、他の誰も真似出来ない才能かな。」
耕作「あっ、後に言った無意識で対応出来る様にはなれるよ。」
真紀「どうすれば出来る様になるんでしょう?」
耕作「それは単純に練習を重ねる事で身に付けられるけど。」
耕作「並みの練習量では無理かな?」
耕作「君達も知ってるかも知れないけど、テレシコワ選手がそれが出来るんだ。」
美香「あ~、知ってます、背の高いスポーツ刈りの方ですよね?」
柔「良く知ってるわね、その通りよ。」
耕作「彼女も柔と同じ様に小さい頃から柔道漬けだったそうだよ。」
耕作「その位練習を熟さないと厳しいかもしれないね。」
雅「今からでは無理なんでしょうか?」
柔「そんな事無いよ、ただ、今以上の練習をする事になるけど。」
温子「それで構いません、これからそうして下さい。」
柔「一寸待って、慌てないでね。」
温子「どうしてなんですか?」
柔「まずはさっき話した様にトレーニングから変えないとね。」
陽子「なるほど、基礎から取り組まないといきなりは無理なんですね。」
柔「そうなの、いきなり柔道だけでどうにかしようとしても無理なの。」
柔「その前のトレーニングを今よりもきつい位にして、それに慣れてきてからかな。」
温子「分かりました、まずはトレーニングからですね。」
柔「明日から少し厳しめのトレーニングに変えていくから覚悟してて。」
陽子「望むところです、是非、お願いします。」
陽子「皆も良いわよね?」
全員「勿論です、お願いします。」
柔「分かったわ、明日はトレーニングをどう変更するかを教えるから。」
柔「その変えたやり方で一通りやってみてね。」
陽子達「はい、分かりました。」
耕作「そろそろ着くけど、さっき話した運転の適性を見るから。」
陽子、恵美、雅、温子「はい、お願いします。」
耕作は西海大の駐車場に入れると先に到着していた鴨田の車の傍に止めた。
耕作は車から降りて助手席と後部座席のドアを開けると柔と陽子達を降ろした。
滋悟朗「おお、皆、来たか。」
陽子達「お久しぶりです。」
滋悟朗「久しぶりぢゃな。」
柔「おじいちゃん?柔道着のままで来たの?」
滋悟朗「そうぢゃ、着替える手間が省けるぢゃろう?」
柔「それはそうだけど・・。」
柔「まあ、その方がおじいちゃんらしいか。」
滋悟朗「そうぢゃろうが?」
滋悟朗「ところで、今から何かするのか?」
陽子「はい、今乗って来た車を私達も運転する事になるので、それの適性を松田さんと鴨田さんに
同乗して頂いて判断して貰います。」
滋悟朗「ほお、そうか、頑張れよ。」
陽子、恵美、雅、温子「はい、頑張ります。」
滋悟朗「その方らが運転するんぢゃな。」
陽子「はい、この4人でする予定です。」
滋悟朗「松ちゃんよ、よろしく頼むぞい。」
耕作「お任せ下さい。」
耕作「それじゃ、早速始めようか。」
陽子「はい、では、まず、私から乗ります。」
耕作「分かった、鴨田は後部座席から見ててくれ。」
鴨田「了解っす。」
耕作は助手席に乗ると陽子を運転席に鴨田を後部座席に乗せて陽子が運転する車で
西海大の駐車場内を1周した。
元の場所に戻ると運転を恵美に代わって同様に周回し、次に雅が運転し最後は温子に
運転させて周回した。
全員が終わった時点で耕作と鴨田がどうするか話し合った。
耕作と鴨田が話し終わると、耕作が陽子達に話し掛けた。
耕作「皆、運転して貰っても大丈夫そうだから、明日、羽衣さんに俺の方から話しておくよ。」
陽子「そうですか、お願いします。」
耕作「今後は偶に運転して貰う事になると思うから、その時はよろしく頼むね。」
陽子、恵美、雅、温子「はい、お任せ下さい。」
耕作「柔、滋悟朗さん、それに他の皆も待たせたね。」
柔「じゃあ、行きましょうか。」
滋悟朗「ここに来るのも久し振りぢゃのう。」
柔「祐天寺監督も会いたいんじゃないかしら?」
滋悟朗「そうぢゃな、色々話したい事も有るがな。」
柔達は車から着替えのバッグを出して各々が持つと柔道場へ向かって歩き始めた。
滋悟朗「柔よ?本当に儂が指導しても構わんのぢゃな?」
柔「うん、さっき道場であたしが指導したから、ここはおじいちゃんに任せるよ。」
滋悟朗「分かった、しっかりと指導するかの。」
柔「ただ、全体練習の時は・・。」
滋悟朗「分かっとる、皆迄言うな、富士子に任せておけば良いんぢゃろう?」
柔「うん、それが終わって個別指導になった時にお願いね。」
滋悟朗「分かった、その時になってぢゃな。」
滋悟朗「おお、その富士子があそこで手を振っとるぞい。」
柔は滋悟朗に言われた方を見ると富士子が柔道場の入り口で手を振っている姿が見えたので
皆一緒にその場所へ急いだ。
柔「今来たよ~。」
陽子達「今日もお世話になります。」
富士子「待ってたよ~、こちらこそよろしくね。」
富士子「滋悟朗先生、お久しぶりです。」
滋悟朗「久しぶりじゃな、元気そうで何よりぢゃ。」
富士子「今日から先生も一緒に来られるんですね?」
滋悟朗「そう言う事ぢゃな。」
滋悟朗「柔が良いと言うまでは来るつもりぢゃ。」
柔「あたしはそんな事は言わないよ。」
滋悟朗「そうなのか?」
柔「頼む時にお話したじゃない?」
柔「会社の道場での指導はあたしがするけど、ここはおじいちゃんに頼むって。」
滋悟朗「そうぢゃったな。」
富士子「柔さんも皆もバッグを更衣室に置いてきたら?」
柔「そうだね。」
柔「皆、更衣室に行こう?」
陽子達「分かりました。」
柔と陽子達は更衣室にバッグを置きに行ったが直ぐに戻ってきた。
柔「富士子さん、少し体を解してから始めようか。」
富士子「そうね、車で移動してきてるから、その方が良いわね。」
柔「陽子さん、皆、柔軟やって体を解してね。」
陽子「分かりました、皆、柔さんが言う様に体を解しておこうか。」
恵美、雅「分かった。」
温子、美香、真紀、由紀「分かりました。」
陽子達は道場に入る前に一礼して中に入ると早速柔軟で体を解し始めた。
富士子「皆、柔さんを見習ってるのね。」
柔「そうね、何でそうするかを説明したら、皆もやるって言いだして始めたよ。」
滋悟朗「富士子?祐天寺はどこにおるんぢゃ?」
富士子「監督はあそこの監督室に居ますよ。」
滋悟朗「一寸挨拶してくるか。」
富士子「分かりました、私がご案内します。」
富士子は滋悟朗を連れて監督室に入って行った。
柔「あなた?」
耕作「うん?どうしたの?」
柔「皆の運転、大丈夫だった?」
耕作「ああ、その事ね。」
耕作「鴨田とさっき話した時に、皆、安全に運転してたから問題無いって事になったよ。」
柔「あれだけで分かるって凄いね。」
耕作「俺はともかく鴨田は毎日運転してるからね。」
柔「そうだったね。」
耕作「ところで、君は今日からここで何をするの?」
柔「あたし?」
耕作「滋悟朗さんに任せるけど、何もしない訳じゃないよね?」
柔「勿論よ、あたしが気付いた事が有れば、その指導はするよ。」
耕作「なるほど、君は補助的な役割に徹する訳なんだ。」
柔「そうよ、あたしが指導するのは会社の道場だけにしようかと思ってるの。」
耕作「ここじゃ、余り指導出来ないから?」
柔「うん、ここは富士子さんがメインだからね。」
耕作「でも、選抜メンバーの子達はどうするの?」
柔「あの子達をメインに指導して陽子さん達は気が付いた点だけにしようかって思ってる。」
耕作「その為に滋悟朗さんに頼んだの?」
柔「それも有るかな、さすがに9人は多過ぎるからね。」
耕作「さすがだよ、そこまで考えてたなんて気が付かなかった。」
柔「おじいちゃんもこういう場所に来れば元気が出ると思ったのも有るけど。」
耕作「それは、俺にも分かってた。」
柔「あなたも分かってたのね。」
耕作「それ位はさすがに分かるよ。」
耕作「それはそうと、富士子さんに滋悟朗さんが来るって何時伝えてたんだい?」
柔「どうして?」
耕作「いや、富士子さん、全然驚いた風じゃ無かったから。」
柔「昨日、富士子さんには伝えてたよ、その後おじいちゃんに聞いてみたの。」
耕作「それって順番が逆じゃない?」
柔「そうかな?」
耕作「だって、もし断られたらどうするつもりだったの?」
柔「うふふ、絶対に断らないって分かってたから。」
耕作「そうなのか。」
耕作「まあ、君の方が滋悟朗さんの性格は良く把握してるから、確信してたんだね。」
柔「だって、家でじっとしてる性分じゃないのはあなたも良く知ってるじゃない~。」
耕作「まあね、昔からじっとして無かったのは知ってたけど。」
陽子達が柔軟を終えて柔の元に来た。
柔「皆、お疲れ様~。」
陽子「柔さんは何もされないんですか?」
柔「あたしはさっきやったからね。」
柔「ところで、今日の合同練習で注意する事は何か分かってるよね?」
陽子「さっき指導して頂いた速さに気を付けるんですよね?」
柔「そうね。」
柔「予備動作から技を仕掛けるまでの速さが昨日よりも早く出来たら相手の方も驚くと思うから。」
陽子「出来る限り頑張ってみます。」
柔「皆、頑張ってね。」
陽子達「はい、分かりました。」
滋悟朗と富士子が監督室から戻ってきた。
柔「お帰り~。」
富士子「ただいま~。」
柔「監督は相変わらず出てこないの?」
滋悟朗「祐天寺は連盟の役員か誰かが訪ねてきておって、その相手に忙しそうぢゃったわ。」
柔「そうだったのね。」
柔「選抜メンバーの事かな?」
富士子「そうじゃ無いみたいだったわ。」
柔「それなら良いけど、何か問題有るなら早めに言って欲しいかな。」
滋悟朗「そう言う話はしておらんかったぞ?」
柔「そうなんだ、なら、気にしなくて良いか。」
富士子「それで良いと思うわよ、今度の大会に関してかも知れないし。」
柔「そうだ、富士子さん?」
富士子「何かしら?」
柔「合同練習が終わったら選抜メンバーの2人はあたしの所に来て貰う様に話して貰えないかな?」
富士子「構わないわよ、何かするの?」
柔「富士子さんにもやった事をあの2人にもやろうかと思うの。」
富士子「私にもやった事って何かしら?」
柔「技を仕掛ける時の隙を教えたいの。」
富士子「なるほど、その話を聞かせたら、あの2人も喜ぶと思うよ。」
柔「そうして良いよ、何をするか事前に分かってた方が良いし。」
柔「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」
富士子「分かったわ。」
柔、富士子、滋悟朗、陽子達は西海大の部員と選抜メンバーが集まっている場所へ行く間、
柔と滋悟朗に富士子が何か話していた。
全員が揃い鶴亀の部員、選抜メンバーと西海大の部員はお互いに向かい合って整列すると
富士子が号令を掛けて全員が一礼した。
その後に富士子が今日の練習内容を説明して合同練習が始まった。
今日の練習も基本的には昨日と同様の内容だったが今日は3組ずつ行っていた。
各組には柔、滋悟朗、富士子が付いていた。
耕作「(昨日と同じ?3組に変更しただけか?)」
耕作「(いや、違うな、制限時間を試合と同じにしてるな。)」
耕作「(それだけじゃなくて何か気が付いて時点で、その都度、柔達が指摘してるのか。)」
耕作「(昨日は全部の組が終わるまで何もしなかったけど、今日は変えてきたか。)」
耕作「(富士子さんも指導者として何とかやっていけそうだな。)」
耕作「(ふふ、滋悟朗さん、柔が言った事を覚えてたか。)」
耕作「(自分が任された組だけに指摘してるな。)」
耕作「(次のメンバーに替わったか。)」
耕作「(対抗戦みたいな感じでやってるから、皆かなり真剣だ。)」
耕作「(勝敗が関係無い練習とはいえ、やっぱり負けたくないんだろうな。)」
耕作「(西海大の部員が少し戸惑ってるのは、柔が言った事を陽子さん達が実践してるからか?)」
耕作「(明らかに昨日とは皆の技を掛けるタイミングが違ってるから、勝手が違うんだな。)」
耕作「(しかし、柔達も的確に指摘してるな~。)」
耕作「(それが分かる様になったって事は、俺も進歩してるのかな?)」
その後は同様にメンバーを交替して練習を続けていき全員が終わると鶴亀の部員は滋悟朗の元に、
西海大の部員は富士子の元に、選抜メンバーの2人は柔の元に集まった。
鶴亀と西海大の部員は滋悟朗と富士子に今の練習の内容を聞かされた後に色々と質問されていた。
柔は選抜メンバーにこれから行う練習に付いて説明すると一人ずつ乱取りを始めた。
耕作「(なるほど、柔がやりたかったのはこういう事だったのか。)」
耕作「(これなら柔が言ってた様に選抜メンバーに対して直接指導が出来るな。)」
耕作「(しかし、相変わらず、柔は凄いや。)」
耕作「(昨日見ただけで、あの2人の技の隙を全部把握してしまってる。)」
耕作「(柔があの2人にどの技にどういう隙が有るか説明してるな。)」
耕作「(実際に組んだ状態で説明してるから、あの2人にも分かり易そうだ。)」
耕作「(富士子さんも部員達に信頼されてきてるのが分かるな。)」
耕作「(富士子さんが何か話す度に全員が真剣に聞き入って、それに対して頷いてる。)」
耕作「(滋悟朗さんの方も以前教えてた所為か皆真剣に話を聞いてるな。)」
耕作「(柔の方はそろそろ終わりそうだな。)」
柔と選抜メンバーの2人は挨拶すると、暫くの間、柔と何か話し込んでいたが、それが終わると
一緒に鶴亀の部員達に合流した。
耕作「(柔の奴、あの2人と何を話してたんだ?)」
耕作「(どう見ても柔道の話じゃ無さそうだったが。)」
耕作「(後で、柔に何を話したのか聞いてみるか。)」
耕作「(そろそろ全体的にも終わりそうだ。)」
耕作「(この後は全員で挨拶して終わりかな?)」
耕作の予想通り全員が整列して一礼すると、皆握手したりして挨拶を交わし暫く雑談していたが
柔だけは直ぐに耕作の傍に戻ってきた。
柔「あなた、お待たせ~。」
耕作「お疲れさん、色々大変そうだったね。」
柔「大丈夫よ、あなたがずっと見ててくれたから。」
耕作「やっぱり、俺が見てるのは気付いてたか。」
耕作「あの2人は如何なの?」
柔「選抜の2人?」
耕作「うん、技の隙を指摘してたけど、納得してる風には見えたよ。」
柔「そうね、呑み込みが早くて助かったよ。」
耕作「ところで、あの2人と何か別な事を話してる様に見えたんだけど。」
柔「良く見てるね~。」
耕作「それはね~、何時もの事じゃないか~。」
柔「実は・・。」
耕作「分かった。」
柔「え?分かったの?」
耕作「どうせ、君の事だから、今度の日曜の親睦会に呼んだんだろう?」
柔「あは、バレちゃいましたか~。」
柔「呼んだら駄目だったかな?」
耕作「そんな事は無いよ。」
耕作「君のやりたい様にやって構わないって何時も言ってるだろう。」
柔「それは分かってたけど、やっぱり、あなたに相談せずに呼んじゃったからね。」
耕作「気にしなくて良いよ。」
耕作「君がやる事は間違った事をやってない限りは許すから。」
柔「あなた~。」
耕作「ここでは駄目だよ?」
柔「あは、またバレちゃったか~。」
柔「心配しないで、さすがにここではやらないよ~。」
耕作「それは心配して無いさ。」
耕作「今、フッと思ったんだけど。」
柔「何を思ったの?」
耕作「君ってやっぱり滋悟朗さんに似てるな~って。」
柔「え~、あたし、おじいちゃんに似てるとこなんて無いよ~。」
耕作「ジョディー達の時も思ってたんだけど。」
耕作「キョンキョン達の時も、それに今度の親睦会も滋悟朗さんが記者達を呼んだやった
壮行会の時と同じ感じだな~って思ったんだ。」
柔「・・・、そう言われればそうかも。」
耕作「でしょう?だから、似てるって思ったんだ。」
柔「感化されちゃったのかもね。」
耕作「滋悟朗さんに?」
柔「うん、おじいちゃんが色んな人を集めて何かやってたのをずっと見てきてて
楽しそうだな~って思ってたからかも。」
耕作「なるほど、それは有るかもしれないね。」
耕作「でも、悪い事じゃ無いから、そこは似てても良いと思うんだよね。」
柔「あなたがそう言うなら、これからも色んな集まりをやっても良いよね?」
耕作「さっきも言ったでしょう?」
柔「あっ、そうだった、でも、一応、あなたには相談しないとね?」
耕作「そう言う相談なら何時でも大歓迎だよ。」
柔「あっ、話し終わったみたいね。」
陽子達が滋悟朗と一緒に耕作の元にやって来て、富士子は西海大の部員と選抜メンバー2人と
一緒に更衣室に入って行った。
耕作「皆、お疲れ様。」
陽子「松田さんも長い間お疲れ様でした。」
耕作「滋悟朗さん、鴨田に送らせますから。」
滋悟朗「そうか、すまんな。」
鴨田「気にしないで良いっす、明日もまた迎えに伺うっす。」
柔「あたし達も着替えようか。」
陽子「そうですね、皆、行こうか。」
恵美、雅「そうだね。」
美香、温子、真紀、由紀「分かりました。」
滋悟朗「行ってこい。」
耕作「行ってらっしゃい。」
柔「行ってきま~す。」
陽子達「行ってきます。」
柔と陽子達は更衣室に向かった。
耕作「滋悟朗さん、先に帰ってて良いですよ。」
滋悟朗「良いのか?」
耕作「少し時間が掛かるかもしれませんから。」
滋悟朗「それなら先に帰っておくとするかの。」
耕作「柔達には俺から話しておきますから。」
滋悟朗「頼むぞい。」
耕作「鴨田、頼んだぞ。」
鴨田「了解っす。」
鴨田「それじゃ、滋悟朗先生、行きましょうか。」
滋悟朗「分かった、それぢゃ、先に戻っておくぞ。」
耕作「お疲れ様でした。」
鴨田と滋悟朗は先に駐車場へ行き猪熊家へと戻って行った。
耕作「(あの2人、一緒に乗せるのは少し不安だったが、杞憂だったか。)」
耕作「(鴨田も俺と同じで滋悟朗さんとの出会いからの経緯で苦手にしてたからな。)」
耕作「(車で移動中に色々話したんだろうな。)」
耕作「鴨田が打ち解けた感じになってたみたいで安心した。)」
耕作「(明日からは鴨田に安心して任せられるな。)」
耕作「(ところで、あの4人に何時運転をさせるかな~。)」
耕作「(その場で言うと委縮して上手く運転出来ない事も有るから、事前に言う様にしないと
駄目だろうな。)」
耕作「(帰りにでもどのルートなら運転し易すいと思ってるか聞いてみるか。)」
耕作「(会社の道場からここへのルートは避けた方が良いだろうな。)」
耕作「(時間を気にしないといけないルートは避けた方が良さそうだ。)」
耕作「後、運転する順番は俺が決めるんじゃなくて、彼女達に決めさせるか。)」
全員が着替え終わり更衣室から出てきて歩きながら皆で話していたが西海大の部員と
選抜メンバーが柔と富士子に挨拶して先に帰って行った。
柔達は耕作の元に戻ってきた。
柔「あなた、お待たせ~。」
耕作「お帰り。」
富士子「お待たせしました。」
陽子「お待たせして、すみません。」
耕作「待つのは慣れてるから、今後は謝らなくて良いよ。」
陽子「そうですか?」
柔「主人もこう言ってるから、その通りにして良いよ。」
陽子「分かりました、その様にします。」
富士子「じゃあ、私は戸締りをしてくるから、ここで失礼します。」
耕作「明日もよろしくね、後、帰りは気を付けて。」
富士子「はい、ありがとうございます。」
柔「富士子さん、また明日ね~。」
陽子達「今日も色々とありがとうございました。」
富士子「こちらこそ、来てくれてるだけでも感謝してるから。」
富士子「また、明日~。」
富士子は戸締りの為に監督室に入って行った。
柔「あれ?先に帰っちゃったの?」
耕作「滋悟朗さんなら先に帰したよ。」
柔「そうだったのね。」
陽子「ご挨拶しませんでしたけど、良かったんでしょうか?」
柔「それは気にしなくても良いよ、どうせ明日も会うんだし。」
柔「第一、そんな事を気にする様な人じゃ無いから。」
陽子「それは分かりますけど・・。」
耕作「柔が言った様に気にしなくても良いよ。」
耕作「どうしても気になるなら、俺が帰ってからちゃんと話しておくから。」
柔「あたしもそうするから陽子さん達は気にしないでね。」
陽子「お二人がそう言われるなら気にしない様にします。」
柔「それで良いから。」
耕作「じゃあ、駅前まで送ろうか。」
陽子「あっ、途中で降ろして貰っても良いですか?」
耕作「何か買い物でもするの?」
陽子「はい、皆で買いたい物が有るので。」
耕作「分かった、近くに来たら言って貰えば、そこで停めるから。」
陽子「分かりました。」
耕作「じゃあ、駐車場まで行こうか。」
柔「は~い。」
陽子達「分かりました。」
柔と陽子達は道場から出る時に一礼すると外に出て耕作と一緒に駐車場へ向かって歩き始めた。
耕作は柔に小声で話し掛けた。
耕作「買いたい物って、俺に言えない様な物なの?」
柔「そうよ、スポーツ用のインナーなんて男性に言えないでしょう?」
耕作「それはそうだな~、でも、アメリカで君は俺に言ってたけど。」
柔「あ~、そう言う事言うかな~。」
耕作「冗談だって。」
耕作「あの時は俺が話を持ち掛けたんだから、君が俺に言うのは当然だって思ってるよ。」
柔「む~~~。」
耕作「ふふ、その膨れっ面久し振りに見た気がする。」
耕作「あっ、止めとこうか、後ろで俺達の事を囁き合ってるから。」
柔「え?そうなの、じゃあ、止めとくね。」
耕作と柔達は車の所に来たので立ち止まった。
陽子「とっても仲がよろしくて、皆で微笑ましく拝見させて頂いてますよ~。」
柔「あっちゃ~、見られちゃったか~。」
由紀「良いじゃないですか~、自然な振舞の姿を見せて頂けるなんてとっても幸せで~す。」
柔「いや、別に見せ付け様としてた訳じゃないんだけど~。」
恵美「気にしないで下さい。」
雅「そうですよ、私達もご夫婦の自然な振舞をして下さいってお願いしたんですし。」
柔「分かったわ、普段通りにしてれば良いのね?」
温子「はい、その方が私達も気を回さなくて済みますので。」
耕作「そう言う気の使い方も有るのを忘れてたよ。」
柔「そうだったのね、分かった~、普通に振舞うね~。」
美香、真紀「そうして下さい、参考にもなりますし。」
柔「それも言ってたね。」
耕作「じゃあ、乗ってね。」
耕作は助手席と後部座席のドアを開けて柔と陽子達を乗せると自分も乗って駐車場から
車を出して駅に向かって走り出した。