Silver Wings

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ヘタレあまねの徒然創作日記

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更紗が特待入りしたのは、学園内ではちょっとした話題となっていた。

修練から特待に編入するのは異例中の異例で、修練生の間ではライシアンだから特別待遇だとか、リュウスケたちと一緒にいたから何かコネがあって特待入りしたのではないかとさえ話が飛躍していた。

しかし、リュウスケたちと一緒にいる手前、その事について深く触れようとするものはいなかった。


一方リュウスケたちはというと、更紗の武器を買うために王都ネルドブルグへ来ていた。

ネルドブルグは世界規模で見ても大都市の一つで、貿易の流通地点として発達した王国である。

学園から王都までは徒歩で30分ほど。さほど学園から離れているわけではないので、リュウスケ、アマネ、ユリの三人は度々王都へと遊びに繰り出していたためか、王都中の店で顔が利く。

もちろん彼らの強さが名を広めたのは言うまでもないが。

さて、武器屋に到着したリュウスケ達は、展示されている武器には目もくれず、カウンターへと向かう。

「よう、オッサン。久しぶりー」

カウンターにいた如何にも屈強そうな男に、タメ口で話しかけるリュウスケ。

「おう、リュウスケにアマネにユリか!…お?今日はもう一人増えたな。お前もやるねぇ」

普通であればタメ口などきけばパンチの一発でも見舞いそうなその男は、リュウスケを買っているのか、はたまたリュウスケに弱みでも握られているのか、タメ口を気にする素振りも見せず、リュウスケ達をお得意様のように扱う。

「おじさん。この娘はね、新しく私達の仲間になった更紗ちゃんっていうライシアンの娘なんだよ♪」

アマネはフォローのつもりなのか、それとも天然なのか武器屋の親父の話を華麗にスルーする。

「ふむ…ライシアンの特待か。しかもお前さんたちの仲間ということは相当な使い手なんだろうな」

「そうそう。この娘ってば白なんだけどさ、そりゃもう凄くて…全治一ヶ月はかかりそうな傷を一瞬で治しちゃったんだから!」

ユリはあの時の凄さを両手を大きく広げたジェスチャーまじりで大表現する。

「ほう…。そいつはすげぇ魔力の持ち主だな。ってことは今日はその娘の武器捜しか。」

「まあ、な。でもその前に更紗、一応挨拶しておこうぜ。このオッサンは見てくれは強面だけど、根は優しいんだ。それに、武器の事に関してはこのオッサンの右に出るものはいねぇってくらい目利きなんだ。」

「は、はい。あの…はじめまして。私、更紗って言います。これからいっぱいお世話になるかもしれませんけど、よ、よろしくお願いします!」

ヒュームに慣れないのと、緊張しているせいか、いつもの更紗からは想像もつかないくらい大きな声で挨拶をする更紗。その声の大きさに、他の客もこっちを振り向くが、リュウスケと目が合った客はリュウスケのその鋭い睨みに、そそくさと武器の品定めに戻る。

「ハッハッハ、元気があってよろしい。更紗って言うんだな。これからは更紗って呼ぶが…いいか?」

「は、はい。よろしくお願いします!」


「そんでt、更紗はどんな武器がいいんだ?やっぱり白っていうからにはロッド(聖杖)か?」

挨拶もそこそこに、早速武器の品定めを始める。

…最初にリュウスケが真っ先にカウンターに向かったのには訳があった。

武器屋に展示されている品は、確かに品揃えも多く、一級品ばかりである。が、それは一般人が使う話。

リュウスケたち特待生くらいの力量の持ち主が使う武器には到底成り得ない。

そこで、最初からカウンターの親父さんの所へ行き、親父さんに武器を見繕ってもらう。

そう、本当にいい武器はカウンターの裏の武器庫に保管されているのである。

親父さんも親父さんで、自分の認めた人物にしかこういうことはしない。これは、武器に命を捧げ、武器に生きる男の意地でもある。もちろんリュウスケたちはそれに見合うだけの力量を親父さんに認められているために、こういうことができるわけである。

「んー、やっぱ白はロッドだと思うけど、武器ってのは使う本人に合った物じゃないと、いくらいい武器でも力を出し切れないからなぁ。更紗、どんな武器がいいんだ?」

「えっと…私は…。」

武器の話を振られると、何故か口をつぐんでしまう更紗。

「もしかして、ロッドが嫌だとか?」

そこへアマネがすかさずフォロー。

「…えっと、あの…。私、リュウスケさんがモンスターを倒した時に、凄く格好いいなって思ったんです…。だから、私もその…剣が使ってみたいなって思って…。」

恥ずかしさからかうつむいてしまう更紗。

「ほほう、これは更紗ちゃんはリュウスケちゃんに惚れちゃったカナ?惚れちゃったカナ?」

「二回も言わんでええ!…と、それより更紗。本当に剣がいいのか?」

ユリの茶化しにさらに顔を赤くしてしまう更紗だったが、リュウスケの問いにはきちんと頷いて答える。

「ふむ…と、なるとルーン系の剣になるな。オッサン、ルーン系の剣をあるだけ持ってきてくれねぇか?」

「あいさ、ちょっと待ってな。今持ってきてやるよ。」


―――数分後

「ほれ、これが倉庫にあるルーン系の剣全部だ。」

屈強な男の両手いっぱいに抱えられる武器。

それをドサッとカウンターに置くと、一つ一つ並べていく。

「結構あるなー。…お、こいつはガルムドリング」

リュウスケはその武器の中から一際大きな剣を手に取り、構えてみる。

「ほう、そいつを知ってるとはな。さすがリュウスケ。でもそいつはツーハンドソード(両手持ち剣)だぞ。」

それでも軽々と剣を振るリュウスケ。

「んー、リュウスケは剣なら何でも似合うね…。」

ちょっと羨ましそうに言うユリ。

「いやー、俺にはツーハンドソードは似合わねぇよ。そもそもツーハンドって柄じゃないしなー。更紗、試しに持ってみるか?」

更紗の身長の三分の二ほどもある大きな剣に、さすがの更紗も首を振って拒否の意思を表す。

「ハハッ、さすがにこいつは更紗にゃ無理か。」

軽々と大剣を鞘に戻すと、カウンターに戻すリュウスケ。

「これなんか更紗ちゃんにいいんじゃない?」

アマネも剣を武器として戦っているだけあって、更紗に合いそうな武器を定めていた。

「そいつぁ、レイピア(細剣)系のルーンベルモアだな。確かに軽そうで使いやすそうだが…」

ルーンベルモアを手に取る更紗。剣を扱ったことはこれまでないにしろ、格好は様になっている。

アマネが自分の愛刀”フェザーソード”を手に取ると、更紗に動きの見本を見せる。

それに倣って剣を振る…というより突きに特化した武器だけに剣で突く。

「どう?更紗ちゃん。」

確かに軽く、更紗でも扱える武器ではあったが、更紗は

「アマネさん、せっかく選んでいただいたのですが…ごめんなさい。私やっぱりブレイド(刀)がいいんです。」

「そっかー、ざーんねん。ねえねえリュウスケちゃん、この中にブレイド系のルーン武器はないの?」

「うーむ…。ブレイド系のルーン武器、か…」

大量にある武器を全部見てみたが、その中にはブレイド系のルーン武器はなかった。

…が、しかしリュウスケはある事を思い出す。

「あー!オッサン!小狐丸は!?」

「む、小狐丸とな…。その中になかったか?」

全部のルーン武器を持ってきたと思っていた親父さんは、顔をしかめる。

「うん、小狐だけねぇ。確かアレってルーンブレイドだよな?」

「確かに小狐丸はルーンブレイドだ。…ちょっと待っててくれ。倉庫をもう一度見てくる。」

そう言って倉庫に入った親父さん。…一分も経たないうちに戻ってきて。

「いやー、すまんすまん。こいつだけルーンじゃないトコに置いていてなー。」

「うん、確かに子狐丸だ。更紗、こいつはどうだ?」

更紗は親父さんから小狐丸を受け取ると、鞘から剣を取り出し、構えてみる。

先ほどのレイピアを持った時よりさらに様になっていてる。

「ちょっと振ってみな、持っただけじゃ武器ってのはわかんねーからな。」

ヒュ ヒュ ヒュン 

小気味良い音を出しながら振られていく刀。

武器を持った事のない者が最初からこんな小気味良い音が出せるなど誰が予想しだたろうか。

武器屋の親父さんを始め、リュウスケもアマネも剣にはさほど詳しくないユリですら目を奪われてしまう。

「さ、更紗。その武器に決めちまった方がいいぜ…。というか、更紗。お前本当に武器を扱ったこと無いのか?」

「ええ、もちろんありませんけど…みなさんそんな顔をしてどうしたんですか?」

無知の知とは良く言ったものだ。いや、初めから知らなかったのだからそれは違うのだろうか。それにしても、更紗本人は何故皆が呆けた顔をしているのかが分からなかった。

「この剣、凄く扱いやすいです♪(リュウスケさんと同じブレイドだし…)」

「そ、そりゃそうだろうな…。まあ、こっちは売る側だし、客が気に入った武器に文句なんて付けられないし、今回は文句なんかつける余地はないしな…」

親父さんもやっと我を取り戻したという感じで、今度は商売人の顔へと変わっていく。

「まあ、俺は異存ないし、アマネもユリも…異存なんてねぇよな?」

「「う、うん…」」

アマネもユリもまだ信じられないと言った感じで、生返事をする。

「じゃあ、オッサン商談だ。見たところ…300ってトコだが、どうだい?」

「ふむ、さすがリュウスケだな。310なんだが…久々にいいもん見させてもらったしな、250でいいぜ」

「お、こんな特級品が250とは。もち即買いでー」

するとリュウスケはバックから長方形の紙を取り出すと、その紙に「2,500,000」と書いて親父さんに渡す。

「一、十…確かに250万、お買い上げありがとう!」

親父さんはいつもの威勢のいい声でそう言うと、使わなかったルーン武器をしまいに武器庫へ。

と、そこで更紗がリュウスケの袖をグイグイと引っ張り

「り、リュウスケさん!私そんなにお金持ってないですよぉ…」

泣きそうな顔で訴えてくる

「そうだなぁ…更紗は可愛いから身体ではr…」

バチコーン

そこへすかさずユリの拳がリュウスケの脳天へとヒットする。

「更紗、大丈夫だよ。こいつったら250万なんてはした金だってくらい持ってるんだから。それと、リュウスケ!更紗をいじめるんじゃないの!」

「…ってーなー。お前本気で殴っただろ…。あー、いててて…」

殴られたリュウスケを気遣いつつも、ユリの言葉の意味に混乱する更紗。

「えっと…250万がはした金って…」

「更紗ちゃん、気にしなくていいよ。リュウスケちゃんってばいっぱいお金持ってるし…きっと最初から更紗ちゃんに買ってあげるつもりでここに来たんだと思うよ。」

「まあ更紗、そういうことだ。二人が勝手に俺は金持ちだと言ったが…まあ、自慢じゃないがその通りでな。更紗が仲間になってくれた記念に、と思って買ってあげようと画策してたわけだ。だから気兼ねなく使ってくれ。」

まだユリから喰らった拳が利いているのか、頭を抑えながら言うリュウスケ。

「あ、ありがとうございます…。私、こんなに幸せでいいんでしょうか…。」

目を潤ませながら更紗はリュウスケにペコペコと頭を下げる。

そんな更紗の頭を撫でながら

「更紗、気にすんな。更紗はこれから俺達と一緒にいてくれるって言ってくれた。それが何よりも嬉しかったし、俺らはもう仲間なんだから、使ってナンボだぜ。だから、もう気にするな…な?」

優しく諭すように言うリュウスケ。こういう時のリュウスケにはアマネもユリも手を出す事など出来ない。

「そ、そうそう。更紗はあたしたちの仲間なんだからさ、リュウスケもあたしもアマネもみんな対等だよ。だから、何でも言っていいんだからね!」


改めて仲間、という言葉を認識した一行は、武器屋を出ると次なる目的地へと向かう。

次なる目的地とは…

「ここは…建物と建物の間ですよね…?」

更紗がそう言うのも無理は無い。確かにここは街の外れとは言え家と家の間の狭い路地だったからである。

「まあまあ、そう驚きなさるな。この先に…世界で一番の彫師がいるんだ」

「彫師、ですか?」

「ああ、彫師ってのは、武器や防具なんかに特殊な刻印を施して、その武器の能力を最大限に、いや、それ以上に引き出してくれる人のことさ。まあ、行ってみりゃわかるよ。」

そういうと、狭い路地をどんどんと進んでいくリュウスケら三人。その後を更紗が不振がりつつも進んでいく。

と、路地の中ほどの壁に、下へ降りる階段があった。

「ここ、さ。だけど中はちょっと物騒でな。それでもいいかい?」

リュウスケは更紗に、ちょっと脅かすような声で聞く。

「えっと…リュウスケさんたちと一緒ですから…大丈夫です、行きます。」

更紗の言葉は、彼らを信頼しているからこその言葉だった。

「うっし、じゃあ行きますか。」

まだ日も明るい所から、真っ暗闇へと向かうのに不安が無いわけではなかった。

しかし、今は一人じゃない。そうココロに言い聞かせて進む更紗。

と、そこで…

「Una pancia fa male leggermente.」

「Quel individuo è serio. Anche se c'è una buona medicina--È buono da cinque serrature?」

「anche se non c'è sfortunatamente oro, io posso pagare con pepe di nero--comprando--?」

「Un grano di pepe nero è la Kim il grano di Il. Poi, sentiamo.」

「ハッハー!リュウスケ、久しぶりだな!」

「ハーン、お前も元気してたか!?」

わけのわからない言葉が終わったと思うとパッと明かりがつき、抱き合うリュウスケと、ハーンと呼ばれる人物。

「あ、あの…リュウスケさん、これは…どういうことなんですか?」

状況を全く把握していない更紗は、混乱気味にリュウスケに尋ねる。

「を、リュウスケ。また一人女を増やしやがったな」

抱き合っていたリュウスケをバッと離し、興味津々といった感じで更紗を見るハーン。

「俺の女じゃねぇっつーの。…ったく。こいつは更紗、俺らの仲間になったライシアンの女の子だ」

「更紗、こいつはハーンって言ってな、さっき言った彫師の護衛をしてる人物なんだ。さっきのわけの分かんなかっただろう言葉は…まあ、ここに入るための合言葉みたいなもんさ」

リュウスケはそれぞれを対面させて、簡単に紹介する。

「ほー、ライシアンの娘っ子か。つーことは、白か黒か…お前さんたちの仲間になるんだから白か」

「まあな、更紗は白…ウチの学園でも随一の使い手だ」

「えーと…ハーンさん、はじめまして。更紗って言います。よ、よろしくお願いします」

二人のやりとりの間を縫うように挨拶をする更紗。

「おう、俺はハーン。ここの守人(もりびと)をやってる。よろしくな!」

「ここの彫師は世界で一番って言っただろ?その人に会うためにはああやって合言葉を言わなくちゃならんってわけ。んで、合言葉が一言でも間違ってたら即こいつに攻撃されちまうってわけさ」

「まあ、そういうこと。この先の扉は合言葉をきちんと言うか…俺を倒していくかの二択ってわけさ」

「あの暗闇で…いや、暗闇じゃなくてもお前を倒して先に進める奴がこの世にいるかっつーの!」

リュウスケはハーンの肩をバシバシ叩きながら毒づく

「それより、ここに来たってことは師匠に用があってきたんだろ?」

「あ、ああ。この更紗の武器に彫ってもらおうと思って、な」

急に真剣な声になるハーンに、多少戸惑うリュウスケだったが、ここに来た意図を伝える。

「OK。じゃあ…どうぞ、中にお入りくださいませ」


部屋の中は異様な雰囲気に包まれていた。

いや、リュウスケ達は何度か来た事があるからもう慣れてしまってはいたが更紗にはそう感じられた。

「…いらっしゃい、小僧共」

部屋の一番奥から、しわがれた老人の声がする。

「じーさん、久しぶり。今日は…こいつに彫ってもらいたいもんがあってね」

リュウスケは更紗から小狐丸を受け取ると、その老人へ差し出す。

「ほう…こいつはルーン系の武器かい。と、なると魔力刻でいいのかえ?」

「いや、全部頼む」

その言葉に老人は多少驚いたような声で、聞き返す。

「全部、とな。全二倍は、ちと値が張るぞい。それと、時間も多少かかるが…それでもよいかの?」

「ああ、金も時間も惜しまねぇ。全刻で頼む。」

するとまた、リュウスケの袖をクイックイッと引っ張る手。

更紗の手である。

「リュウスケさん、全刻って…何ですか?」

「ああ、さっきも言ったけど、武器に刻印を彫ってもらう事で武器の使用者の能力を上げてくれるんだ。全刻ってのは全部の能力…魔力はもちろん防御力や攻撃力も上げてくれる優れモンさ。」

「でも…それって高いんじゃ…」

「更紗、さっき俺らは仲間だって確認したばっかだろ?金は気にしない。まあ、ちょっとの間小狐丸と離れちまう事になるが、そいつは勘弁してくれな?」

更紗は、真剣なリュウスケの顔に、頷くしか出来なかった…いや、頷く事で答えたと言ったところか

「その娘はライシアンかい。刀使いのライシアンの白なぞ、ワシも初めて見たわい」

カッカッと笑いながらそう言う老人。

「まあ、人生何があるかわかったもんじゃねーしな。…んで、おいくら?」

「全刻となると…まあ2000ってとこじゃが、ワシも刀使いのライシアンに巡り合えたということで1500にまけてやろうぞ」

「おお、じーさん太っ腹~。んで、仕上がり時期は?」

「そうじゃな…一週間もあれば出来上がっておろう」

「オッケー、じゃあ一週間後くらいに取りに来るわ。金は…ほい、これで」

そう言うとまた長方形の紙…どうやら小切手のようだ…に1500万と記述し、渡す

「うむ、確かに」

「じゃあ、よろしく頼むよ」


外に出た一行は、今日の予定を全て済ませたので、学園へ帰る事に。

「ぷはー。あたし、あそこの空気未だに慣れないのよねー」

いつもは喋ってばかりのユリも、確かにあそこでは一言も喋る事はなかった。

「私も…あそこにいると何か萎縮しちゃうよね」

アマネでさえもあの雰囲気には耐えられないようだ。

「そうかー?あそこの空気、俺は結構好きだけどなー」

「私も…何となく懐かしい感じがしました。」

リュウスケと更紗は肯定組らしい。

「ま、今度取りに行く時はリュウスケ一人で行ってきてよね!」

しばらくはこりごりと言った感じで言うユリ。

「へいへい、わかりましたよ。…っと、そうだ、更紗の武器預けちまったから、ちと安めだけど代わりの刀買ってから帰るか」

リュウスケ達は、武器屋に寄り、更紗のお気に入りの刀を買って、学園へと帰るのであった…


学園に帰って来たリュウスケ達が最初に見たもの。

それは、掲示板の前にたむろする特待の後輩。

「よう、どうした、掲示板なんてじっと見つめて。何か面白い事でもあんのか?」

「あ、リュウスケさん!見てくださいよ!ほら、この記事」

指を指された記事に目を通すと…

「プレ・ダンジョン来週からスタート…全30階構成、一番最初に30階までクリアした学生には、豪華商品を。なーんかくだらねぇなー」

リュウスケはいかにも興味無さそうな感じでそう言う。

「リュウスケさんはいいっすよねー。余裕ありそうですもん。アマネさんもユリさんもいるし、更紗ちゃんも仲間に加わって…これで出ないなんてもったいないッスよ!」

「んまあ、気が向いたら出るさ…それより今日は疲れたからもう戻るわー。じゃーな。」

「ういーっす、お疲れ様ッス!」


ユリはリュウスケのベッドの上に寝転がりながら

「リュウスケ、ホントに興味ないの?」

と、問う。

…あの後、全員リュウスケの部屋に集まって、くつろいでいる。

まあ、更紗はきっちり正座しているが。

「あぁ?俺様がああいうイベントに興味ねーわけねーだろーが!あそこでは、ああ言っとかないと…俺らがやる気を見せちまったらあいつらのやる気が削がれるだろうが」

「うっわー。あんたってばトコトン嫌な奴ね…」

「何とでも言え、これも情報戦だよ、情報戦。ま、それはそうと、来週始まるまで、訓練室で特訓の嵐だから、各自覚悟しておくようにー」

いけしゃあしゃあといった感じで言ってみせるリュウスケ。

しかし、リュウスケだからこその強気であって、ユリもアマネも更紗も、それは分かっている。

「んじゃあ、まずは明日の…9時頃に訓練棟の前に集合~。あ、更紗、訓練棟って分かるか?」

「えっと…ごめんなさい、わかんないです。」

「じゃあ、アマネかユリと一緒に来な。この俺らの寮からすぐなんだけどさ。」

「はい、わかりました!明日の9時から、よろしくお願いします!」







ついに彼らの実力を垣間見る時がやってきた。

プレダンジョンとは、いったいどういうものなのか、各々が心に秘めていることだろう。

そこで彼らは一体何を見るのか、何を感じるのか

それは、彼らにしかわからない…











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疲れました…

時間にして三時間半もBlogを書いていたことになります

だから時間直しちゃう!


さてさて、更紗の武器も決まり、やっとこさ戦闘モードに入ってきた四人ですが、これからはたしてどうなるやら…俺にも予想がつきません(ぇ

まあ、長い目でみてやってください…

更紗のあの一件から数日後・・・


あの一件以来更紗はリュウスケたちと行動を共にするようになった。

修練生が特待生と行動を共にするなど前代未聞であったが、事情が事情だけに…それと、相手が相手だけに修練生からの文句は一つもない。

もちろん特待生は環境適応能力が高いせいか、ハナからそのような事に首を突っ込む人物はいない。


とある休日のこと、四人は昼食を摂ろうと近くの街まで繰り出していた。

昼食を摂っている店の名は”ミッシュヴェーゼン”

この街界隈では知らない人などいないというほど有名なレストランである。

「おばさーん、こんちゃー。席4つ空いてる?」

既にこの店の常連となっているリュウスケは、おかみさんに一声かける

「おや、リュウスケかい。今日は…一人多いんだね」

いつもはリュウスケとアマネとユリの三人で来ていたためか、おばさんは珍しそうな顔をしながらこちらを確認する。

「おや、その娘は…ライシアンかい?」

「おばさん、ライシアンの事知ってるの!?」

一般人にはあまり認識の無いライシアン族のことについて知っていたおかみさんの言葉に、間髪を要れずユリが質問しかえす。

「ああ、私が若い頃だけどね…ライシアンの男の人に世話になった事があったのさ」

昔を懐かしむように、天井の方を見ながらおかみさんは、そう言った。

「あ、ああ。それより席4つだろ? 奥のテーブルが空いとるからそこを使っておくれ」

昔を懐かしんでいたのが気恥ずかしかったのか、おかみさんはそそくさと彼ら4人を奥のテーブルへと追いやるようにすると、自分は厨房に戻っていってしまった。

「…おばさんも、青春してたんだな」


『ごちそうさまでしたー』

昼食を摂り終えた一行は、ミッシュヴェーゼンを出、帰路についていた。

「た、助けてくれー!」

その途中の事だった。どこからか助けを呼ぶ人の声がする。

「あっちの奥の方みたい!」

聴覚に優れているアマネは、林の奥を指差すと、それに従い4人はその方向へと駆けて行く。

街から学園まではさほど距離があるわけではないのだが、街は森に囲まれており、街と学園を繋ぐ整備された道にもたまに魔物が出没する。

これが学園の者であれば簡単に事の方がつくのだが、一般の人だと命を落としかねない。今回はそのケースだったのだろう。

さすがアマネ、と言った所か、指差した方向に、魔物に襲われている人がいた。

魔物はベア族のカンパラベア、性格は獰猛で力は非常に強力。自分の縄張りを重んじる魔物で、この縄張りに入ってきた者には容赦の無い攻撃が待ち構えている。

しかし、それは一般の人の場合。彼ら特待生にとってはカンパラベアを倒すなど赤子の手を捻るより容易い。

リュウスケは愛刀の和泉守兼定を手に取ると、踏み込み一閃。まばたきよりも早い一撃で、カンパラベアを葬り去った。そして襲われていた男の方を振り返る。

男は右腕にベアの攻撃を受けたのか、血が出ていた。命に別状は無さそうだが、アマネが応急手当をする。

「それにしても、おじさん。こんなトコで何してたのさ?」

ユリが半ば呆れ顔で襲われていた男性に問う。

「…いやぁ、キノコを獲りに来たんだけどね。今日は豊作だったからついつい夢中になって奥まで来ちまったら、このザマってわけよ・・・イチチチ」

「ったく、俺らが通りかかんなかったら、オッサン、あのベアの今日のエサだったぜ…?」

こちらは完全に呆れているのか、額に手を当てながら男性に話しかける。

「それには感謝してるぜ…学園の、しかも特待さんに助けてもらうんだからよ・・・ッテテ」

「うーん、血が止まらないなー。早く街に戻って治療してもらった方がいいねー。」

傷はそれほど深くは無いものの血がなかなか止まらない様子に、応急手当をしていたアマネがそう言うと、アマネの横からスッと更紗が割り込み…

「…キュア」

と、一言。すると

「あ、あれ?痛みが全くなくなっちまった!?それに、血も止まってる!?」

男はせっかく応急手当をしてもらった包帯を引っぺがすと、怪我をした部位をさらけ出す。

そこには、怪我をしたなど嘘のような綺麗な腕が戻っていた。

「あ、ありがとよ!ここまで怪我を治しちまうんだから、学園の特待ってのはすげーなー!」

男は痛みがなくなったためか、驚きのためかわからないが、興奮しながら腕を色々と動かし、怪我が完治していることを確認しながら言う。

「・・・これで、大丈夫」

更紗は喜び勇んでいる男を尻目に、とても小さな声でそう言った。

「っと、色々助けてもらってすまねぇが、俺はそろそろ街へ戻らなきゃなんねぇんだ。礼は言っても言い尽くせねぇからよ、今度街に来る事があったら、必ず礼はするから、寄ってくれよな!じゃあ、またな!」

せっかちな性格なのか、男はそれだけを告げるとそそくさと行ってしまった。

それとは対照的に、リュウスケたちは驚きを隠しきれない、そんな様子で更紗を見ていた。

三人とはいえ、ヒュームに見つめられる事に慣れていない更紗はしゃがみこんでしまう。

「あ、ああ…すまない。ちょっと驚いた事があって。」

さすがのリュウスケも悪気はなかったのだろうが、更紗をまじまじと見つめてしまった事に謝る。

そして、矢継ぎ早に、そして単刀直入に聞く。

「なあ、更紗。さっきの魔法…誰かに習ったのか?それとも独学か?」

「…たぶん、独学なんだと思います。なんだと思います、というのは…自分でもわからないんです」

「自分でも分からない?」

思わぬ回答に首をかしげるユリとアマネ。

「魔法ってのは、言葉に魔力を込めて、初めて使える物なんだよ。それは、声に出して言わなければ言霊として言葉に魔力が宿らない。これは、魔法が専門外の俺でも知っている一般知識だ。だけど…さっき更紗は魔法詠唱をしていなかった。」

「そういえば、そうだね。更紗ちゃん、詠唱しないで魔法を唱えていたね。」

「ってことは…無詠唱魔法使い!?」

一つ一つ確認しながら話を進めていった三人がたどり着いた答え、それは最後にユリが言葉にした”無詠唱魔法使い”。

「なあ、更紗。さっき使った魔法は、詠唱してなかったよな?あれってどうやったんだ?」

究極にして、知らなければならない、質問。

「…えっと、私、心に声が聞こえるんです。その声があなた方の仰った詠唱というものなのかもしれません。自分では分からないんですけど、例えば先ほどのように怪我をされている方を見ると治さなくちゃ、って思うんです。そうすると、頭の中に勝手に呪文のようなものが流れ込んできて、それが終わると、魔法の名前と一緒にその魔法が効果を発揮するんです。」


その日の夕方・・・

リュウスケは学長室にいた。

今日の話は全部してある。

「なあ、学長。更紗を特待に入れてやってくれ。あいつは修練の力を遥かに越えている。」

「いつかはあの娘の力が開花すると思っておったが…まさか無詠唱魔法とはのぅ。しかも、ほとんど自覚が無かったわけじゃから、先天的無詠唱魔法使いということになるわけじゃ。」

「先天的…」

「そうじゃ。先天的無詠唱魔法使いは、ワシも初めて見る。世界にも、おそらく10人もいないじゃろう…」

夕日を背に、学長はリュウスケへとそう伝えた。

「世界に10人といない…。学長はそれを見越してこの学園へ入れたわけか?」

「それを知っておったら、最初から特待生に入れておったわい。あの娘は、ワシの想像を遥かに越える力をもっておったようじゃ」

「なら…」

「わかっておる。更紗は明日から特待生の白として活動してもらう。幸いお前さんたちには懐いておるようじゃからの。しっかり信頼を築いて良き仲間にするのじゃぞ」

学長は、にこりと笑い、目の前の特待生にそう告げる。

「言われなくても分かってるよ!更紗は、俺らの仲間だからな。…明日からまた厳しくなりそうだぜ。」

厳しくなる、という言葉とは裏腹に嬉しそうにそうつぶやくと、学長室から退室するリュウスケ。


「ここからがお前さんたちの本当の学園生活の始まりなのかもしれんの…」

学長も嬉しそうにそうつぶやき、自分の席に着くと、とある計画書に目を通していた…











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はい、ここがやっとスタートラインです!

更紗の能力がわかり、これからしばらくは4人で信頼を築き上げていく事でしょう。

漫画描いてる人もそうなのかもしれませんが、自分の中で暖めてきたキャラだけあって、扱いに困りますw

勝手に行動するというか、イランことまで言いそうで、書いてるこっちが一苦労ですw


これから大学が始まっちゃうとなかなか更新できないかもしれませんが

それに、こんなとこ見てる人なんていないと思いますが

頑張っていきますので、影ながらでいいので応援よろしくです、ハイ


ではでは~


2006/04/10 3:00

アマネちゃんの創作小説を書こうと思っています

俺は絵が下手だし、話書く才能もないけど、妄想を言葉に出来たらな、という頭のトレーニング的な物です


学園アクション物というのでしょうか

結構そういうのって大変だと思うんですが、頑張ります

小説ではキャラの視点がコロコロ変わるかもしれませんが…基本的には主人公視点で書いていこうと思ってます


アマネの本mixiで覚書として書いていたのは、これの布石でした


今の所の登場人物と、簡単なストーリーをまとめてみましょうか



☆登場人物


・主人公(妄想内では自分の名前だが、さすがにそれは痛いので今考え中)

・アマネ タチバナ(橘 天音)

・ユリ ルカリア フォンデルベルグ

・サラサ(更紗)

・ミステエレナリス フィル シルヴィア(エレナ)

・マナ クオンジ(久遠寺 真名)



☆簡単な説明等


物語は聖アレストリア学園が主な舞台となる

※アレストリアとは、古代の戦女神の名に由来している


アレストリア学園(以下学園)では、修練生と特待生との2クラスに分割されており、登場人物は全員特待生である

修練生と特待生との違いは、能力の差…つまり、レベル差である

レベルは数値化されるものではないが、概念的に0~255レベルを想定しており、特待生は基本的にレベルが200以上

修練生はどんなに頑張っても80程度


つまり、学園の特待生はエリート集団育成機関と言っても過言ではない


そんな普通の人物から見れば非日常的な日常を書いていく物語である

ま、これもRoutesのパクりみたいなもんだけど…


ちなみに登場人物名や登場する場所の名前などは、今の所パクりが多い

つーか、天音はあの天音だし、ユリはQMAのユリだし、更紗は悠久のだし

エレナは半オリジナル(元はあったりする

マナはオリジナルキャラ




今の所のあらすじ


学園の特待3年の主人公、アマネ、ユリはいつも行動を共にしている仲良しさん。

どこにでもいそうな組み合わせの学生だが、実はこの三人、世界でもトップクラスの戦士なのである。

それもそのはず、聖アレストリア学園と言えば世界に名の知れた、優れた人物を養成する機関であり、修練生…一般の学生でも入るのが困難と言われている学園において、修練生と一線を臥した集団が存在する。それが、聖アレストリア学園の特待生というわけだ。

彼らは三人が三人とも学園の特待生である。

その学園に一人の獣人の女の子が入学してきた事で、彼らの運命の輪は回りだす…


獣人の女の子はライシアン族と呼ばれる部族で、世界でも稀少な部族なためヒューム族…いわゆる往々にして人間と呼ばれる彼らにとって、とても珍しい部族であり、ライシアン族はその構成の8割が女性で構成されており、さらに容姿が美しいことから、しばしばヒューム族に捕らえられ、見世物として扱われてしまう事もある。

そのライシアンの女の子も見世物として扱われていた所を学園の学長が助け、学園に入学させた、というわけである。しかし、入学したのは修練生クラスであったために、今までと同じヒューム族の中にぽつんと置かれてしまい、見世物としての扱いが変わることは無かった。


その日も昼休みになるとライシアン族の女の子の周りに、卑しいヒューム族たちが群がり、ある者は罵り、ある者は妬み、ある者は羨んでいた。

そこへ偶然…いや、必然だったのかもしれない。主人公ら三人が通りかかった。

修練生クラスで人だかりが出来ている時は、大抵くだらないことであると知っていた彼らは、事の真相を知るべく輪の中へ入って、一人の修練生から事情を聞きだす。

この学園において修練生も特待生も合わせてこの三人を知らない者はいない、と言うほど有名な三人が修練生の輪の中に入っていくのは前代未聞、修練生からしてみれば蛇に睨まれた蛙状態だ。

ライシアンの女の子を中心にして広がり騒いでいた修練生たちは、たちまち静まり返り…そして、己の愚かさを主人公から叱咤された。


ライシアンもヒュームもくくりは同じ「人間」

何故そこまで騒ぎ立てるのか、自分が同じ立場に立たされたらどうするのだ



主人公の話が終わるやいなや、修練生たちは蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。

そこに一人残されるライシアンの女の子

最初は怯えていた様子のその子も、主人公ら三人に悪意が全く無い事を感じ取り、小さな声で


ありがとう


と、一言

その言葉が嬉しかったのか、アマネはその子をぎゅっと抱きしめ


怖かったよね、苦しかったよね

ごめんね…

でもね、もう大丈夫だよ。貴女をもう怖がらせたりしない。貴女に危害を加えることは決してしない。

私達が約束するよ。


と、まるで赤子を諭す母親のような優しい声でそう伝えた

それに続き、ユリが一言


私達と一緒にいよう? ね?


ライシアンの女の子は、もう恐れてはいなかった

むしろ、この人たちと一緒なら安心できる、この人たちなら信頼できる

とさえ想い始めていた


そこへスッと伸ばされる手

先ほど修練生たちへ一喝をした、男の人の手だ

ライシアンの女の子は、もう迷う事はなかった

その手を優しく、そして力強く、握り返す


私は…サラサ

これから…どうか…よろしくおねがいします






彼らの運命は今、ゆっくりと廻り始めた…














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あらすじのはずが始まっちゃったよ!

しかも、ヘタレ文章!

顔からベギラマ出るわー

(つД`)