更紗が特待入りしたのは、学園内ではちょっとした話題となっていた。
修練から特待に編入するのは異例中の異例で、修練生の間ではライシアンだから特別待遇だとか、リュウスケたちと一緒にいたから何かコネがあって特待入りしたのではないかとさえ話が飛躍していた。
しかし、リュウスケたちと一緒にいる手前、その事について深く触れようとするものはいなかった。
一方リュウスケたちはというと、更紗の武器を買うために王都ネルドブルグへ来ていた。
ネルドブルグは世界規模で見ても大都市の一つで、貿易の流通地点として発達した王国である。
学園から王都までは徒歩で30分ほど。さほど学園から離れているわけではないので、リュウスケ、アマネ、ユリの三人は度々王都へと遊びに繰り出していたためか、王都中の店で顔が利く。
もちろん彼らの強さが名を広めたのは言うまでもないが。
さて、武器屋に到着したリュウスケ達は、展示されている武器には目もくれず、カウンターへと向かう。
「よう、オッサン。久しぶりー」
カウンターにいた如何にも屈強そうな男に、タメ口で話しかけるリュウスケ。
「おう、リュウスケにアマネにユリか!…お?今日はもう一人増えたな。お前もやるねぇ」
普通であればタメ口などきけばパンチの一発でも見舞いそうなその男は、リュウスケを買っているのか、はたまたリュウスケに弱みでも握られているのか、タメ口を気にする素振りも見せず、リュウスケ達をお得意様のように扱う。
「おじさん。この娘はね、新しく私達の仲間になった更紗ちゃんっていうライシアンの娘なんだよ♪」
アマネはフォローのつもりなのか、それとも天然なのか武器屋の親父の話を華麗にスルーする。
「ふむ…ライシアンの特待か。しかもお前さんたちの仲間ということは相当な使い手なんだろうな」
「そうそう。この娘ってば白なんだけどさ、そりゃもう凄くて…全治一ヶ月はかかりそうな傷を一瞬で治しちゃったんだから!」
ユリはあの時の凄さを両手を大きく広げたジェスチャーまじりで大表現する。
「ほう…。そいつはすげぇ魔力の持ち主だな。ってことは今日はその娘の武器捜しか。」
「まあ、な。でもその前に更紗、一応挨拶しておこうぜ。このオッサンは見てくれは強面だけど、根は優しいんだ。それに、武器の事に関してはこのオッサンの右に出るものはいねぇってくらい目利きなんだ。」
「は、はい。あの…はじめまして。私、更紗って言います。これからいっぱいお世話になるかもしれませんけど、よ、よろしくお願いします!」
ヒュームに慣れないのと、緊張しているせいか、いつもの更紗からは想像もつかないくらい大きな声で挨拶をする更紗。その声の大きさに、他の客もこっちを振り向くが、リュウスケと目が合った客はリュウスケのその鋭い睨みに、そそくさと武器の品定めに戻る。
「ハッハッハ、元気があってよろしい。更紗って言うんだな。これからは更紗って呼ぶが…いいか?」
「は、はい。よろしくお願いします!」
「そんでt、更紗はどんな武器がいいんだ?やっぱり白っていうからにはロッド(聖杖)か?」
挨拶もそこそこに、早速武器の品定めを始める。
…最初にリュウスケが真っ先にカウンターに向かったのには訳があった。
武器屋に展示されている品は、確かに品揃えも多く、一級品ばかりである。が、それは一般人が使う話。
リュウスケたち特待生くらいの力量の持ち主が使う武器には到底成り得ない。
そこで、最初からカウンターの親父さんの所へ行き、親父さんに武器を見繕ってもらう。
そう、本当にいい武器はカウンターの裏の武器庫に保管されているのである。
親父さんも親父さんで、自分の認めた人物にしかこういうことはしない。これは、武器に命を捧げ、武器に生きる男の意地でもある。もちろんリュウスケたちはそれに見合うだけの力量を親父さんに認められているために、こういうことができるわけである。
「んー、やっぱ白はロッドだと思うけど、武器ってのは使う本人に合った物じゃないと、いくらいい武器でも力を出し切れないからなぁ。更紗、どんな武器がいいんだ?」
「えっと…私は…。」
武器の話を振られると、何故か口をつぐんでしまう更紗。
「もしかして、ロッドが嫌だとか?」
そこへアマネがすかさずフォロー。
「…えっと、あの…。私、リュウスケさんがモンスターを倒した時に、凄く格好いいなって思ったんです…。だから、私もその…剣が使ってみたいなって思って…。」
恥ずかしさからかうつむいてしまう更紗。
「ほほう、これは更紗ちゃんはリュウスケちゃんに惚れちゃったカナ?惚れちゃったカナ?」
「二回も言わんでええ!…と、それより更紗。本当に剣がいいのか?」
ユリの茶化しにさらに顔を赤くしてしまう更紗だったが、リュウスケの問いにはきちんと頷いて答える。
「ふむ…と、なるとルーン系の剣になるな。オッサン、ルーン系の剣をあるだけ持ってきてくれねぇか?」
「あいさ、ちょっと待ってな。今持ってきてやるよ。」
―――数分後
「ほれ、これが倉庫にあるルーン系の剣全部だ。」
屈強な男の両手いっぱいに抱えられる武器。
それをドサッとカウンターに置くと、一つ一つ並べていく。
「結構あるなー。…お、こいつはガルムドリング」
リュウスケはその武器の中から一際大きな剣を手に取り、構えてみる。
「ほう、そいつを知ってるとはな。さすがリュウスケ。でもそいつはツーハンドソード(両手持ち剣)だぞ。」
それでも軽々と剣を振るリュウスケ。
「んー、リュウスケは剣なら何でも似合うね…。」
ちょっと羨ましそうに言うユリ。
「いやー、俺にはツーハンドソードは似合わねぇよ。そもそもツーハンドって柄じゃないしなー。更紗、試しに持ってみるか?」
更紗の身長の三分の二ほどもある大きな剣に、さすがの更紗も首を振って拒否の意思を表す。
「ハハッ、さすがにこいつは更紗にゃ無理か。」
軽々と大剣を鞘に戻すと、カウンターに戻すリュウスケ。
「これなんか更紗ちゃんにいいんじゃない?」
アマネも剣を武器として戦っているだけあって、更紗に合いそうな武器を定めていた。
「そいつぁ、レイピア(細剣)系のルーンベルモアだな。確かに軽そうで使いやすそうだが…」
ルーンベルモアを手に取る更紗。剣を扱ったことはこれまでないにしろ、格好は様になっている。
アマネが自分の愛刀”フェザーソード”を手に取ると、更紗に動きの見本を見せる。
それに倣って剣を振る…というより突きに特化した武器だけに剣で突く。
「どう?更紗ちゃん。」
確かに軽く、更紗でも扱える武器ではあったが、更紗は
「アマネさん、せっかく選んでいただいたのですが…ごめんなさい。私やっぱりブレイド(刀)がいいんです。」
「そっかー、ざーんねん。ねえねえリュウスケちゃん、この中にブレイド系のルーン武器はないの?」
「うーむ…。ブレイド系のルーン武器、か…」
大量にある武器を全部見てみたが、その中にはブレイド系のルーン武器はなかった。
…が、しかしリュウスケはある事を思い出す。
「あー!オッサン!小狐丸は!?」
「む、小狐丸とな…。その中になかったか?」
全部のルーン武器を持ってきたと思っていた親父さんは、顔をしかめる。
「うん、小狐だけねぇ。確かアレってルーンブレイドだよな?」
「確かに小狐丸はルーンブレイドだ。…ちょっと待っててくれ。倉庫をもう一度見てくる。」
そう言って倉庫に入った親父さん。…一分も経たないうちに戻ってきて。
「いやー、すまんすまん。こいつだけルーンじゃないトコに置いていてなー。」
「うん、確かに子狐丸だ。更紗、こいつはどうだ?」
更紗は親父さんから小狐丸を受け取ると、鞘から剣を取り出し、構えてみる。
先ほどのレイピアを持った時よりさらに様になっていてる。
「ちょっと振ってみな、持っただけじゃ武器ってのはわかんねーからな。」
ヒュ ヒュ ヒュン
小気味良い音を出しながら振られていく刀。
武器を持った事のない者が最初からこんな小気味良い音が出せるなど誰が予想しだたろうか。
武器屋の親父さんを始め、リュウスケもアマネも剣にはさほど詳しくないユリですら目を奪われてしまう。
「さ、更紗。その武器に決めちまった方がいいぜ…。というか、更紗。お前本当に武器を扱ったこと無いのか?」
「ええ、もちろんありませんけど…みなさんそんな顔をしてどうしたんですか?」
無知の知とは良く言ったものだ。いや、初めから知らなかったのだからそれは違うのだろうか。それにしても、更紗本人は何故皆が呆けた顔をしているのかが分からなかった。
「この剣、凄く扱いやすいです♪(リュウスケさんと同じブレイドだし…)」
「そ、そりゃそうだろうな…。まあ、こっちは売る側だし、客が気に入った武器に文句なんて付けられないし、今回は文句なんかつける余地はないしな…」
親父さんもやっと我を取り戻したという感じで、今度は商売人の顔へと変わっていく。
「まあ、俺は異存ないし、アマネもユリも…異存なんてねぇよな?」
「「う、うん…」」
アマネもユリもまだ信じられないと言った感じで、生返事をする。
「じゃあ、オッサン商談だ。見たところ…300ってトコだが、どうだい?」
「ふむ、さすがリュウスケだな。310なんだが…久々にいいもん見させてもらったしな、250でいいぜ」
「お、こんな特級品が250とは。もち即買いでー」
するとリュウスケはバックから長方形の紙を取り出すと、その紙に「2,500,000」と書いて親父さんに渡す。
「一、十…確かに250万、お買い上げありがとう!」
親父さんはいつもの威勢のいい声でそう言うと、使わなかったルーン武器をしまいに武器庫へ。
と、そこで更紗がリュウスケの袖をグイグイと引っ張り
「り、リュウスケさん!私そんなにお金持ってないですよぉ…」
泣きそうな顔で訴えてくる
「そうだなぁ…更紗は可愛いから身体ではr…」
バチコーン
そこへすかさずユリの拳がリュウスケの脳天へとヒットする。
「更紗、大丈夫だよ。こいつったら250万なんてはした金だってくらい持ってるんだから。それと、リュウスケ!更紗をいじめるんじゃないの!」
「…ってーなー。お前本気で殴っただろ…。あー、いててて…」
殴られたリュウスケを気遣いつつも、ユリの言葉の意味に混乱する更紗。
「えっと…250万がはした金って…」
「更紗ちゃん、気にしなくていいよ。リュウスケちゃんってばいっぱいお金持ってるし…きっと最初から更紗ちゃんに買ってあげるつもりでここに来たんだと思うよ。」
「まあ更紗、そういうことだ。二人が勝手に俺は金持ちだと言ったが…まあ、自慢じゃないがその通りでな。更紗が仲間になってくれた記念に、と思って買ってあげようと画策してたわけだ。だから気兼ねなく使ってくれ。」
まだユリから喰らった拳が利いているのか、頭を抑えながら言うリュウスケ。
「あ、ありがとうございます…。私、こんなに幸せでいいんでしょうか…。」
目を潤ませながら更紗はリュウスケにペコペコと頭を下げる。
そんな更紗の頭を撫でながら
「更紗、気にすんな。更紗はこれから俺達と一緒にいてくれるって言ってくれた。それが何よりも嬉しかったし、俺らはもう仲間なんだから、使ってナンボだぜ。だから、もう気にするな…な?」
優しく諭すように言うリュウスケ。こういう時のリュウスケにはアマネもユリも手を出す事など出来ない。
「そ、そうそう。更紗はあたしたちの仲間なんだからさ、リュウスケもあたしもアマネもみんな対等だよ。だから、何でも言っていいんだからね!」
改めて仲間、という言葉を認識した一行は、武器屋を出ると次なる目的地へと向かう。
次なる目的地とは…
「ここは…建物と建物の間ですよね…?」
更紗がそう言うのも無理は無い。確かにここは街の外れとは言え家と家の間の狭い路地だったからである。
「まあまあ、そう驚きなさるな。この先に…世界で一番の彫師がいるんだ」
「彫師、ですか?」
「ああ、彫師ってのは、武器や防具なんかに特殊な刻印を施して、その武器の能力を最大限に、いや、それ以上に引き出してくれる人のことさ。まあ、行ってみりゃわかるよ。」
そういうと、狭い路地をどんどんと進んでいくリュウスケら三人。その後を更紗が不振がりつつも進んでいく。
と、路地の中ほどの壁に、下へ降りる階段があった。
「ここ、さ。だけど中はちょっと物騒でな。それでもいいかい?」
リュウスケは更紗に、ちょっと脅かすような声で聞く。
「えっと…リュウスケさんたちと一緒ですから…大丈夫です、行きます。」
更紗の言葉は、彼らを信頼しているからこその言葉だった。
「うっし、じゃあ行きますか。」
まだ日も明るい所から、真っ暗闇へと向かうのに不安が無いわけではなかった。
しかし、今は一人じゃない。そうココロに言い聞かせて進む更紗。
と、そこで…
「Una pancia fa male leggermente.」
「Quel individuo è serio. Anche se c'è una buona medicina--È buono da cinque serrature?」
「anche se non c'è sfortunatamente oro, io posso pagare con pepe di nero--comprando--?」
「Un grano di pepe nero è la Kim il grano di Il. Poi, sentiamo.」
「ハッハー!リュウスケ、久しぶりだな!」
「ハーン、お前も元気してたか!?」
わけのわからない言葉が終わったと思うとパッと明かりがつき、抱き合うリュウスケと、ハーンと呼ばれる人物。
「あ、あの…リュウスケさん、これは…どういうことなんですか?」
状況を全く把握していない更紗は、混乱気味にリュウスケに尋ねる。
「を、リュウスケ。また一人女を増やしやがったな」
抱き合っていたリュウスケをバッと離し、興味津々といった感じで更紗を見るハーン。
「俺の女じゃねぇっつーの。…ったく。こいつは更紗、俺らの仲間になったライシアンの女の子だ」
「更紗、こいつはハーンって言ってな、さっき言った彫師の護衛をしてる人物なんだ。さっきのわけの分かんなかっただろう言葉は…まあ、ここに入るための合言葉みたいなもんさ」
リュウスケはそれぞれを対面させて、簡単に紹介する。
「ほー、ライシアンの娘っ子か。つーことは、白か黒か…お前さんたちの仲間になるんだから白か」
「まあな、更紗は白…ウチの学園でも随一の使い手だ」
「えーと…ハーンさん、はじめまして。更紗って言います。よ、よろしくお願いします」
二人のやりとりの間を縫うように挨拶をする更紗。
「おう、俺はハーン。ここの守人(もりびと)をやってる。よろしくな!」
「ここの彫師は世界で一番って言っただろ?その人に会うためにはああやって合言葉を言わなくちゃならんってわけ。んで、合言葉が一言でも間違ってたら即こいつに攻撃されちまうってわけさ」
「まあ、そういうこと。この先の扉は合言葉をきちんと言うか…俺を倒していくかの二択ってわけさ」
「あの暗闇で…いや、暗闇じゃなくてもお前を倒して先に進める奴がこの世にいるかっつーの!」
リュウスケはハーンの肩をバシバシ叩きながら毒づく
「それより、ここに来たってことは師匠に用があってきたんだろ?」
「あ、ああ。この更紗の武器に彫ってもらおうと思って、な」
急に真剣な声になるハーンに、多少戸惑うリュウスケだったが、ここに来た意図を伝える。
「OK。じゃあ…どうぞ、中にお入りくださいませ」
部屋の中は異様な雰囲気に包まれていた。
いや、リュウスケ達は何度か来た事があるからもう慣れてしまってはいたが更紗にはそう感じられた。
「…いらっしゃい、小僧共」
部屋の一番奥から、しわがれた老人の声がする。
「じーさん、久しぶり。今日は…こいつに彫ってもらいたいもんがあってね」
リュウスケは更紗から小狐丸を受け取ると、その老人へ差し出す。
「ほう…こいつはルーン系の武器かい。と、なると魔力刻でいいのかえ?」
「いや、全部頼む」
その言葉に老人は多少驚いたような声で、聞き返す。
「全部、とな。全二倍は、ちと値が張るぞい。それと、時間も多少かかるが…それでもよいかの?」
「ああ、金も時間も惜しまねぇ。全刻で頼む。」
するとまた、リュウスケの袖をクイックイッと引っ張る手。
更紗の手である。
「リュウスケさん、全刻って…何ですか?」
「ああ、さっきも言ったけど、武器に刻印を彫ってもらう事で武器の使用者の能力を上げてくれるんだ。全刻ってのは全部の能力…魔力はもちろん防御力や攻撃力も上げてくれる優れモンさ。」
「でも…それって高いんじゃ…」
「更紗、さっき俺らは仲間だって確認したばっかだろ?金は気にしない。まあ、ちょっとの間小狐丸と離れちまう事になるが、そいつは勘弁してくれな?」
更紗は、真剣なリュウスケの顔に、頷くしか出来なかった…いや、頷く事で答えたと言ったところか
「その娘はライシアンかい。刀使いのライシアンの白なぞ、ワシも初めて見たわい」
カッカッと笑いながらそう言う老人。
「まあ、人生何があるかわかったもんじゃねーしな。…んで、おいくら?」
「全刻となると…まあ2000ってとこじゃが、ワシも刀使いのライシアンに巡り合えたということで1500にまけてやろうぞ」
「おお、じーさん太っ腹~。んで、仕上がり時期は?」
「そうじゃな…一週間もあれば出来上がっておろう」
「オッケー、じゃあ一週間後くらいに取りに来るわ。金は…ほい、これで」
そう言うとまた長方形の紙…どうやら小切手のようだ…に1500万と記述し、渡す
「うむ、確かに」
「じゃあ、よろしく頼むよ」
外に出た一行は、今日の予定を全て済ませたので、学園へ帰る事に。
「ぷはー。あたし、あそこの空気未だに慣れないのよねー」
いつもは喋ってばかりのユリも、確かにあそこでは一言も喋る事はなかった。
「私も…あそこにいると何か萎縮しちゃうよね」
アマネでさえもあの雰囲気には耐えられないようだ。
「そうかー?あそこの空気、俺は結構好きだけどなー」
「私も…何となく懐かしい感じがしました。」
リュウスケと更紗は肯定組らしい。
「ま、今度取りに行く時はリュウスケ一人で行ってきてよね!」
しばらくはこりごりと言った感じで言うユリ。
「へいへい、わかりましたよ。…っと、そうだ、更紗の武器預けちまったから、ちと安めだけど代わりの刀買ってから帰るか」
リュウスケ達は、武器屋に寄り、更紗のお気に入りの刀を買って、学園へと帰るのであった…
学園に帰って来たリュウスケ達が最初に見たもの。
それは、掲示板の前にたむろする特待の後輩。
「よう、どうした、掲示板なんてじっと見つめて。何か面白い事でもあんのか?」
「あ、リュウスケさん!見てくださいよ!ほら、この記事」
指を指された記事に目を通すと…
「プレ・ダンジョン来週からスタート…全30階構成、一番最初に30階までクリアした学生には、豪華商品を。なーんかくだらねぇなー」
リュウスケはいかにも興味無さそうな感じでそう言う。
「リュウスケさんはいいっすよねー。余裕ありそうですもん。アマネさんもユリさんもいるし、更紗ちゃんも仲間に加わって…これで出ないなんてもったいないッスよ!」
「んまあ、気が向いたら出るさ…それより今日は疲れたからもう戻るわー。じゃーな。」
「ういーっす、お疲れ様ッス!」
ユリはリュウスケのベッドの上に寝転がりながら
「リュウスケ、ホントに興味ないの?」
と、問う。
…あの後、全員リュウスケの部屋に集まって、くつろいでいる。
まあ、更紗はきっちり正座しているが。
「あぁ?俺様がああいうイベントに興味ねーわけねーだろーが!あそこでは、ああ言っとかないと…俺らがやる気を見せちまったらあいつらのやる気が削がれるだろうが」
「うっわー。あんたってばトコトン嫌な奴ね…」
「何とでも言え、これも情報戦だよ、情報戦。ま、それはそうと、来週始まるまで、訓練室で特訓の嵐だから、各自覚悟しておくようにー」
いけしゃあしゃあといった感じで言ってみせるリュウスケ。
しかし、リュウスケだからこその強気であって、ユリもアマネも更紗も、それは分かっている。
「んじゃあ、まずは明日の…9時頃に訓練棟の前に集合~。あ、更紗、訓練棟って分かるか?」
「えっと…ごめんなさい、わかんないです。」
「じゃあ、アマネかユリと一緒に来な。この俺らの寮からすぐなんだけどさ。」
「はい、わかりました!明日の9時から、よろしくお願いします!」
ついに彼らの実力を垣間見る時がやってきた。
プレダンジョンとは、いったいどういうものなのか、各々が心に秘めていることだろう。
そこで彼らは一体何を見るのか、何を感じるのか
それは、彼らにしかわからない…
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疲れました…
時間にして三時間半もBlogを書いていたことになります
だから時間直しちゃう!
さてさて、更紗の武器も決まり、やっとこさ戦闘モードに入ってきた四人ですが、これからはたしてどうなるやら…俺にも予想がつきません(ぇ
まあ、長い目でみてやってください…
