今日は蒸し暑い…まだ梅雨入り前だというのに昨日は真夏日。今日も暑くなるらしい。

 上着を脱ぎ、Tシャツ一枚になる。トイレを掃除し、看板を外に出す。表通りは車の流れも落ち着き、通勤の車も減って穏やかだ。

 今日は扉を開けっぱにしよう。

 外から良く見える場所に設けた研ぎ桶に砥石を何個か放り込み、準備完了。


 さて、続きを書きますかね。


 そのお客様は不意に来店されました。他の方同様、切れない、研げない、なんとかしたい、と。

 いつも通りの接客をし、切れ味とは何か、研ぐとどうなるかを一通り説明し、オリジナル包丁のアピールをする。

 いつもの流れ。大抵は「そうですか、ではまたの機会に…」となるわけです。

 当方の包丁やナイフは¥20000〜と、一般的には高額です。いくら永年研ぎ無料といっても今どきの包丁に出す金額では無い、そういったレベル。

 でも、その人は違う。

 二つ返事だった。


 「是非!作って下さい!」


 え?あ、はぁ…ありがとう…ございます。


 「オリジナルで作って、お世話も無料!安すぎないですか?!」


 人の価値観は様々とは言いますが。こんな短時間(来店から30分)でしかも、

 「こんな所、あなたのような人を探していたんです」

 とまで言われたのは初めてかもしれない。

 プロの料理人なら話は別です。研ぎ時間をお金に換算すればかなりお得な当方のプランですから、忙しい合間を縫って包丁研ぎに費やすなら研ぎ屋に出したいし、買った包丁が研ぎ無料ならなお良し。価格もプロ用なら高すぎない。

 でもね。このお客様は料理人ではありません。

 お家で使うんです。

 そりゃ、他にも主婦の方が買って頂くケースもありますよ。

 一本ならね。

 この方は、違った。この時はまだ分からなかった…このお客様が「プロはだし」な人だとは…


 まずは、柳刃。始まりはそこからでした。

 続く…