大学のときの先輩の話。



 自分が大学一回生の頃、白いものでも先輩が黒と言ったら黒になってしまうくらい、先輩の言うことは絶対だった。実際、どの先輩も脳ミソまで筋肉なのではというくらい鍛えられていて、むちゃくちゃ相撲が強かったので文句を言えるわけがなかった。



 そんな先輩の中に、金剛力士像のようなこわい顔をしていた先輩がいた。英語の授業であてられて答えられず、先生に「知ってる単語を言ってみろ!」と言われて、「プロテイン」と答えるくらいの筋肉バカであった。



 で、その先輩の性格はというと、


「人が苦しんでいる姿をみると興奮する。」


という超がつくくらいのとんでもないドSだった。



 部員が少ないのもあって、そして自分がMなのもあってか、よくターゲットにされていた。



 鬼のように相撲が強い先輩。自分はまるで子供のようにあしらわれ、何度もぶっ飛ばされたり土俵に叩き付けられた。本当に苦しくて、逃げ出したいくらいボロボロになり、ハァハァと苦しんでいるとき、ふっと先輩の顔をみると、目をギラギラさせて、鼻息を荒げて興奮していた。目のギラギラと荒い鼻息でその先輩が興奮しているのがよくわかるのであった。


 重たい砂袋を持たされて、「スクワットしろ!」と言われて、ずっとやらされて、苦しんでいると先輩の目はギラギラになっていた。「やめていいよ。」なんて言ってくれるわけはなく、ずっと続行させられて、苦しめば苦しむほど、先輩の鼻息はどんどん荒くなっていくのであった。



 土俵の外でもそうだった。たくさんご飯を食べさせられて、もう食べれないってくらい食べて苦しんでいると、先輩の目はギラギラしているのであった。



 今になって振り返ると、イジメじゃないのか?と思うようなことをいろいろやられたが、そのおかげで強くなれたし、むしろ感謝している。 





 そんなこんなで月日は流れ、久しぶりにその先輩にお会いした。



 相変わらずこわい顔をされていたその先輩の軽トラックに乗らせてもらったのだが、その軽トラは先輩の体形に似合わず小さくて、運転する巨漢の先輩はハンドルを窮屈そうに持って運転されていた。自分も体がそれなりにでかいので、椅子に無理やり座って、狭くて余裕がなかった。



 で、走行中。熱気が出てくるからか、窓ガラスがものすごい勢いで曇りだし、事故しそうになって焦った。



 そんなこともありながらも、楽しくおしゃべりしていたのだが、先輩が突然黙り出し、仁王様のような顔をした。そしてその直後、ものすごく悪臭がしてきた。どうやら先輩は屁をかましたようだった。あまりの臭さに咳き込む自分。あわてて窓を開けようと思ったが、どうやって開ければいいかわからず。先輩にゴホゴホ言いながら聞いてみた。そしたら、先輩は・・・




 目をギラギラし、鼻息を荒げておられた。




 どうやら、毒ガス攻撃に苦しんでいる自分をみて興奮しているのであった。もちろん、窓の開け方を教えてくれるわけはなかった。



 そのあと、おなかの調子が悪いとか言われて何度も屁をこかれて苦しんだ。狭すぎて体を動かせずで悪臭をかわすこともできずダイレクトに毒ガスをくらい続けた。あまりの臭さに気を失いそうになったが、先輩は興奮冷めやらぬ様子だった。



 最後は豪快に笑う先輩であったが、今だに頭があがりません。。




 「自分の屁は臭くないが、人の屁は臭は臭い」≒

 「自分の廻しは臭くないが、人の廻しは臭い」



というわけのわからないひとことでこの話は終わります。。