高校時代の相撲部の話。相撲部で一番の重量級のHがいた。体重は何を食べたらそんなに大きくなれるのかという150キロくらいの巨体だった。そんなHにはいつも笑いの神が降りてきていた。
ある日、学校近くの商店街でやってた福引券を5枚もらって、みんなでガラガラを回して玉が出てくる福引に挑戦したことがあった。このときちょうど5人で行って、一人一枚ずつ、先鋒、二陣、中堅、副将、大将とまるで団体戦のように、一人一人ガラガラを回していった。狙う商品は、高級な牛肉とかお米など食べ物だった。しかし、出てくる玉はみんな白玉。ハズレなしだったんで商店街の割引券がもらえた。ま、どうせ当たるわけないと思ってたんで、そんなもんか~という感じだった。で、大将になってた巨漢H。最後の一枚となった福引券を渡し、「どうせオレも白玉だろ~、当たり入ってないんじゃない?」なんてブツブツ言いながらガラガラ回した。そしたら、出てきた玉は「白玉」じゃなくて、お見事「赤玉」だった!その直後、
「おめでとうございま~す!!!」
という声とともに、大きな鐘の音が鳴り響いた。いっせいに注目を集めたH。何が当たったのか。期待に胸をふくらませるH、そして周りのギャラリーたち。しばらく待たされて、奥から当選した商品がやってきた。
なんと予想に反して・・
それをみてしょんぼりするH。小学校のとき以来、自転車に乗ったことがないらしい。
でも、そこの福引きの人からその折畳みを自転車を受け取るHは満面の笑みで、その自転車を高々と担ぎ上げ、「やりました~!」と周りからパチパチ拍手をもらっていた。
そのあと、せっかくだから「自転車に乗れよ!」とHにその自転車に乗ってもらった。
そしたら、自転車に乗って漕ぎ出そうとしたHの体がいきなり沈んだ。しばらく何が起こったのかわからなかったが、自転車をみたらそれがわかった。
ありえない方向にグニャッと変形した自転車がそこにあった。自転車がHの重みに耐え切れなかったのだ。
それをみて、みんなで大爆笑そして、ついたあだ名が「破壊王」。ま、笑うしかなかったね。
後で気付いたが、その折畳み自転車の取り扱い説明書には「体重制限75キロ」と書いてあった。というわけで、結局相撲部全員乗れなかったという、オチでした。
追伸 そういえば、体重が100キロ以上の人でも乗れる折畳み自転車ってあるのでしょうか。今までみたことないなぁ。