もし街で、体がやたらでかい男をみかけて、髪型が丁髷(ちょんまげ)で服装は着物だったら、すぐに「お相撲さん!」ってわかりますよね。そんで、鬢付け油(びんづけあぶら)の独特なにおいがして、風呂敷を持っていれば、その風呂敷の中には廻しが入ってるんだなってすぐわかる。


 でも、もし街で、体が普通の人よりでかい男をみかけて、髪型がボーズに近い感じで服装がジャージのようなラフな格好だったら、すぐに「相撲部の人だ!」ってわかりますか?そんで、汗くさい独特なにおいがして、スポーツバックを持っていれば、そのスポーツバックの中には何が入っていると思うのだろうか。


 力士だとかっこいいが、学生だと違う。デブだと思われ、「相撲部」の別名が「おで部」だったりする。でも、そこらへんのデブと一緒にすんな!とこっちは思っている。オレはメタボってない。筋肉と脂肪は違うんだと。



 で、腕を怪我をして病院に行ったときの話。待合室で待っていると、近くに座るおじさんが、


 「お兄ちゃんでかいね、何かやってるの?」


って聞いてきた。そう、この言葉をおそらく相撲部の人はよく言われる。そんなとき、自分の場合は


 「別に何もやってません・・」


って答えてた。明らからに鍛えてる体をしているのに(笑)だって、正直に「相撲やってます。」っていうと、珍しいのもあって相撲についていろいろ聞かれたりして面倒くさいケースが多い。見知らぬ人と話をするのが苦手だってのも理由なのだが・・


 それで、そのときは、


 「柔道やってます。」


と何故か答えてしまった。柔道なら、体がでかいことに納得してもらえる。オリンピック競技だし、お尻丸出しの廻しと違って、投げ技も鮮やかでかっこいいイメージもある。そしたらおじさんは


 「やっぱりそうか~」


と、最初からわかってたよ、予想通りだったよと笑顔だった。



 その直後、看護婦さんに呼ばれ、自分の診察の番がきたんで、診察室に向かった。着ていたジャージの背中には






 「○○大学相撲部」



って大きな字で書いてあることを忘れて・・・