ちゃんこ

 
 広島大学相撲部は、昭和60年に本格的な相撲経験者も指導者もいないままゼロからスタートしたが、長期的な部員減少に悩まされていた。廃部の危機に見舞われた相撲部を救ったのは、女子学生留学生だった。
 この実話をもとにした映画が「ちゃんこ 」(監督:サトウトシキ氏 主演:須藤温子さん)である。
 立教大学相撲部をモデルにした「四股踏んじゃった 」とは一線を画し、ひたすら相撲に打ち込む女子学生と、慣習の違いに苦しみながらも相撲を通して日本文化を理解していく留学生との交流を描いているのが面白い。

  相撲部廃部問題は自分も経験があるので、よくわかる。今のアマチュア相撲のイメージと言えば、体の大きな人のやるスポーツ、悪い言い方だとデブのやるスポーツ。さらに廻しを締めて人前でお尻をさらけ出し、裸で戦うスポーツ。地味で伝統的なスポーツ・・あまりよいイメージはないのかもしれない。実際、やっているのは、小さい頃から相撲をやっている経験豊富で体を鍛えまくっている選手たちだ。

 しかし、広島大学相撲部のように、大学から相撲をはじめる選手もたくさんいる。けっして体も大きくない、見た目だけでは相撲をやっているようにみえない学生である。さらに、「新相撲」という、女子の相撲選手もいる。そして、日本以外の国籍の留学生もいる。大相撲も国際化されたが、本来相撲は、ルールもわかりやすく、誰もが気軽に楽しめるスポーツだと思う。そんな原点に返らせてくれる映画がこの「ちゃんこ 」だと思う。