寝転がってテレビを見ている悠花の隣に添い寝する母。
横顔が愛しく愛しくて、思わずほっぺたに思わずチュ。
すると、
娘「も~キモいねん!」
と言いながら、私にチュウをされたほっぺを手で拭う。
なので、母は
「げへへ・・・キモイマンだ~」
と言って悠花をくすぐってやる。
うきゃきゅきゃ・・・笑い転げる悠花。
そして

「あんな・・・あんな・・・お母さんはキモイマンじゃないねんで!」

え・・・

すぐに母や父にキモっ!て言うけど
やはり、親が『キモイマンだ~』なんて言うのはさすがにイヤなんだね。うん。
母は涙が溢れないように思わず上を向いたよ。




そして、続けて悠花は言う。
「お母さんはキモイマンじゃなくて・・・・」













キモイダー!












つう訳で、どうも、キモイダーです。



始業式の話しになります。
その日、学校から帰宅した娘のバッグにトレーナーが入っていました。
母「何これ?もしかして去年着て行って、脱いで、 学校に置きっぱなしやったん?」
そう聞くと
娘「そうやねん。ウンコがついてるねん!ふはは・・・」
母「はぁぁぁああああっ!?ウンコォォォォオオオオッ!」




衝撃はまさに唐突です。

トレーナーに何故にウンコ?

娘「学校でウンコして~お尻を拭いた時にな、はしっこ(袖)にウンコがちょっとついてん。へへへ」
母「ぶはっ・・・・・そうか・・・・そやけどな、すぐ持って帰ってこなあかんよ 早く洗濯物に出しなさいよ」
娘「一応、洗ってるから大丈夫やで」
母「いや、大丈夫って・・・・・」
娘「あんな、水で洗い流してんやん。でもな、授業中何か臭うんやんか。
  もう、誰かに気付かれへんか、授業中むっちゃドキドキしたわ~。
  でな、休み時間になって『あ~暑い!』とか言いながら脱いでん。
  でもな、でもな、むっちゃ寒かってん。あははははは・・・・・」



って、バカ!バカ!バカ!イヤ!イヤ!イヤ!こんな子、絶対イヤ!





娘「それよりな、今日、学校でほっぺたがかさかさしててめっちゃ痛かってん
 だからな、クリップ塗ってん。そしたら、もっと痛くなったわ、なははは」


クリップて・・・・

リップクリームの事です。メンソールのね。
そら、痛いだろうがよ。スースーするだろうがよ。
普段はほっぺたがカサカサでもクリームを塗りたがらないのに
そのリップクリームを塗ったのは、多分、唇に塗ってたらはみ出してしまい、

だけど塗るのが楽しくなってほっぺたまで塗ったに違いない。

ヤツの行動はだいたい予測がつく。

そうなんやろ?そう聞くと

「まぁね、そんな感じやね」

と答えた。


やっぱり、イタイウンコ野郎だ。そして、その母がキモイダー。
ついでにおやじはちょいワルおやじならぬ、ちょいキモおやじ。




こんなウンコ野郎な娘だけど、小さい時はすごく可愛かった。
当時、絵本よりもテレビやビデオばかり観る子供が多い、というのが問題視されるなか
悠花は『おつきさまこんばんわ』という絵本が大好きで、 母は何回も何回も読んでやった。

    


   おつきさまこんばんは   林明子さく 福音館書店


 
   よる になったよ
   ほら おそらが くらい くらい


   おや
   やねのうえが あかるくなった


   おつきさまだ


   おつきさま こんばんは


   だめ だめ くもさん
   こないで こないで
   おつきさまが ないちゃう


   くもさん どいて
   おつきさまの おかおが みえない


   ごめん ごめん
   ちょっと おつきさまと
   おはなし してたんだ
   では さようなら
   また こんど

  
   あー よかった
   おつきさまが わらってる
   まんまる おつきさま
   こんばんは
   こんばんは

   

『おつきさまだ』 のところでは嬉しそうな顔をしていた悠花。
『おつきさま こんばんは』 のところでは可愛くお辞儀していた悠花。

『こないで こないで』 のところでは片手をふって、 イヤイヤと表現する悠花。
『では さようなら』 のところではまた可愛くお辞儀をしてた悠花。
『おつきさまが わらってる』 のところでは満面の笑みで手をたたいてた悠花。

そんな風にとてもとても可愛かった。

娘が絵本が大好きだという事に母は誇りを持っていた。
毎月1冊の絵本を買ってあげた。



だが、しかし、but!今はどうだい!
テレビにかぶりつき、昼メロの再放送を見ているんだよ!

「くっだらないテレビ見るな!」
と、母は言ったさ。そしたら、彼女はこう答えたのさ。
「悠花、こんなん、めっちゃスキやわ。結構オモロイで
 なぁ、お願い!明日から授業で見られへんから、このドラマのビデオ録っといてくれへん?」






って。絶対録ってなんてやらない。 
  




悠花へ

それよりも、去年の誕生日に買ってあげた『葉っぱのフレデイィ』を読んで下さい。

                                                           母より