Kowialiewski, B., Lemaire, B., & Portrat, S. (2020). How does semantic knowledge impact working memory maintenance? Computational and behavioral investigations. Journal of Memory and Language, 117, 104208.
長期記憶(LTM)と言語性ワーキングメモリの関係を扱った論文。意味記憶の順向性と逆向性の促進効果を検討する言語性ワーキングメモリ課題(短期記憶課題)を実施した後、その結果を基に、長期記憶とワーキングメモリの関係を上手く説明できるモデルを検討している。今はモデルよりも、実験結果が気になったので、結果だけ読んだ。
〇方法について
30人の大学生が対象。
意味的に関連する語の三つ組と意味的に関連しない語の三つ組を用意。条件に応じて、これらを組み合わせて、記憶すべき系列を作成。つまり、対象者は6つのアイテムから構成される系列を記憶するよう求められる。
この実験では、短期記憶における意味記憶の順向性と逆向性の促進効果を検討するために、呈示される系列の性質が異なる3つの条件下で課題を実施。①順向性の促進条件:前半部...意味的に関連する語の三つ組+後半部...意味的に関連しない三つ組から成る系列のみが提示される条件。②逆向性の促進条件:前半...意味的に関連しない語の三つ組+後半...意味的に関連しない三つ組から成る系列のみが提示される条件。③統制条件:前半後半両者、意味的に関連しない系列のみが提示される条件。各条件20試行、計60試行を実施。
①の条件では、系列の後半の項目のパフォーマンスが③と比して上昇した場合に、系列前半の項目の関連度の高さによるものと解釈し、順向性の促進効果が生じたと解釈する。②の条件では、系列の前半の項目のパフォーマンスが③と比して上昇した場合、系列項目の項目の関連度の高さによるものと解釈し、順向性の促進効果が生じたと解釈する。
呈示方法は録音したものを流す形で行い、再生に関しては言語回答で行っていた。また言語回答の際には、項目を1つ発話すると同時にキーを押すように求め、ざっくりとした反応時間を記録している。なお、再生の際には、呈示された順序通りに再生するように求めている(系列再生)。
また分析の際には、系列位置通りに再生されていないと得点を与えない評価(strict serial recall criterion: SSOC)と系列に含まれたアイテムが再生されていたら、再生された系列位置に関係なく得点を与える評価(item recall criterion: IRC)の2通りで成績を算出。
〇結果と考察について
モンテカルロ法によって100000回の反復を行うことにより乱数を生成し?、その上でベイズ二要因分散分析を実施し、ベイズファクターによる分析を実施。仮説としては、対立仮説と帰無仮説を比較。
・大まかな結果
意味の関連した語の組み合わせはそれ自体は覚えやすい。
意味の関連した語の組み合わせが前半にある場合は、後半の成績も上昇する。
後半に意味の関連した語の組み合わせがある場合は、前半の成績は明確には上昇しない。
・大まかな考察
前半に意味の関連した語の組み合わせがあると、前半部の活性度が上昇。その結果、前半部の保持に求められるリフレッシュの回数が減り、結果として後半のリフレッシュ回数が増加し、順向性の促進効果が生じたと解釈。逆向性の促進効果が出ないのは先行研究通り。
〇感想
意外にもLTMとWMの関係って、そんなに調べられてはいないらしい。割と結果もクリアで、納得のできるものとなっている。またここまで逃げてきたベイズ統計に向き合う機会になったのは、割と良かった。ただモンテカルロ法シミュレーションについては、いまいちわからなかったので、結果の読み込みが甘いかも。今執筆中の論文では、必要とされないので一先ずは放置。いつかモデルの選択も含めて、改めて精読する。
モンテカルロ法のシミュレーションの
内容と意義を教えてください(泣)