アルツハイマー病治療薬は一人年400万円! | しかまち心療内科のブログ

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精神科の記事は一応専門として書いていますが、政治経済は素人ですので趣味で書いています。

読売新聞2021.12.10

長期の進行抑制を狙う世界初の薬として注目されるアデュカヌマブの承認申請が大詰め。これはアルツハイマーの原因ではないかと考えられているアミロイドベータ蛋白を脳内から除去するもの。月1回の点滴で行う。症状を改善させるものではなく、進行を遅らせることを目的とする。アメリカで承認されたが効果がはっきりしないと追加治験を命じられた。ヨーロッパでは効果がないと否定的な見解。一人当たり年間600万円程度かかる。日本でも承認してほしいと患者団体からの声がある。

今までもアルツハイマーの進行を遅らせるとうたった薬が何種類も出されてきた。アリセプトなど。数十年見てきたが効果を感じたことはない。進行を遅らせるといっても個人差があるだろうし、個々のケースで効果があったと判断するのは難しいと思う。患者さんには強く勧めていない。気が向かれるならどうぞといった感じ。興奮を強めたり副作用を感じることはしばしばある。認知症は人数が多く、一人600万円の薬をみんな使いだしたら莫大な費用を必要としてしまう。改善効果があったとしても自費診療でよいのではないかと思う。使いたい人は年に600万出して受けたらいい。その際、副作用と効果について治験に参加することを義務とすればいい。情報が増える。ましてや今回は改善効果があるわけではなく進行を遅らせるだけのようだ。保険を使って公費から出すべきではないと思う。

 

人は誰しもボケたくないものだ。ボケない可能性があるのならこの薬にすがりたくなるものではないだろうか。大した効果もないのに。これは末期がんの人が医師から見放され、すがるように民間療法で大金を投じるのに似ているような気もする。その多くは実際は詐欺まがいなんだろうけど。この薬は詐欺じゃないんだろうけど、すがる人の思いは似ているような気がする。

 

 

12月23日

厚労省部会はこの薬を承認見送り。

妥当だと思う。効果が見えないのにあまりにも高すぎる。副作用がないなら自費で承認したらいい。毎年600万円出して試したい人は使って効果を報告してもらったらいいと思う。保険で認めなくても使用する分には構わないのではないか。

 

2023.1.8読売新聞

レカネマブをアメリカは承認。認知症の進行を遅らせるとされている。アメリカでの販売価格は一人当たり年間350万円に設定された。日本で承認された場合もその程度になると思われる。保険適応されると高額医療の払い戻しで一人14万円程度の負担となる。

効果ははっきりしていない。画期的な薬剤ではないだろう。しかしみなボケは怖い。民間療法に近い感覚で処方を求めると思う。処方されればほとんどが税金だ。今でも4割近く社会保障費に所得から持っていかれているのにさらに増える。これはバイアグラのように自費診療にすべきと思う。処方数が増えれば値段も下がる。効果がはっきり認められたら保険適応すればいい。製薬会社は厚労省に対して保険適応するよう猛烈にアタックかけているだろう。売り上げが断然違ってくる。アメリカは多分自費になるだろう。保険会社が認めるかどうかだが認めることは無いと思う。

20年前から同じように認知症の進行を遅らせるとされてアリセプトという薬が発売された。1錠500円で結構高い。今でも処方する他科の医師は多いが精神科医はほとんど処方しない。私は数百例処方してきたが効果を感じたことはない。認知症の進行を遅らせるというよりは高齢者の意欲を上げる目的で使っている。今度は値段が数千倍になる。それよりよっぽど現在自費診療の抗がん剤を保険適応した方がいいと思うが。

 

9月26日読売新聞

レカネマブを正式に承認。

患者一人当たり年に400万円、ほとんど保険料、税金からの出費になる。こんな効果のない薬にばかげている。財政は大赤字なのに。使いたい人が400万出して使えばいいと思う。同時に有効性についてのデータを取ればいい。