向精神薬と車の運転について | しかまち心療内科のブログ

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精神科の記事は一応専門として書いていますが、政治経済は素人ですので趣味で書いています。

第116回日本精神神経学会学術総会より

 

シンポジウム患者の自動車運転に関するガイドライン再考、より

 

ADHDでは未服用群より服用群の方が事故率は低い。(内服により気が散るのが減る、集中力が高まるなどのためかと思われる)しかし、添付文書ではADHD治療薬4種類すべて自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること、と書いてある。患者さんの事故例を見ると内服のある無しでは一般の人と事故率は大差なく、むしろ病状がいいか悪いかで事故率が変わっている。

向精神薬にこのような厳しい制限が添付文書に書かれている割合は日本では88.3%、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダでは0%である。

 

控えなさいと明示するからには内服で事故率が大幅に高まるという証拠を示さないといけないと思う。そんなデータは製薬会社は持っていない。分からないのであれば運転に影響を与える可能性がある、安全性については明らかにされていない、という表現をすべきではないだろうか。明らかでないのであればデータを集めて細かい指針を作るべきではないだろうか。患者さんの生活に少し配慮してくれたらと思う。