【肉食女子】
猫猫「catsapplauseで〜す!」
猫「はぁー彼氏ほしいわー」
猫「おいおい、いきなりどうした?」
猫「こんなに可愛くて、スタイルグンバツ、性格ゲロマブの尽くす系女子のあたしに彼氏がいないっておかしくない?」
猫「うん、今のセリフからすると全然おかしくない気がする」
猫「もしかしてだけど、あたしがゴージャス女神すぎて恋心を抱きながらもみんな声をかけられずにいるんかな?」
猫「かもしんないねー」
猫「マジかぁ、あたしの美貌がシャイボーイたちを遠ざけていたのかぁー。でもさ、あたしがいくら魅力的で声をかけにくい高嶺の花だって言ってもさ、やっぱり彼氏は欲しいわけ! もう待っているだけじゃダメな気がするんだよね! もっとアグレッシブに、積極的にいかないといけないと思うんだ。今週の占いで言っていたし」
猫「占いで?」
猫「うん、肉食女子占い」
猫「肉食女子占い? それ大丈夫? っていうか、肉食女子って占い気にする!?」
猫「それでね、積極的に行って吉! って言うから、あたしね、最近タックルの練習をはじめたんだ!」
猫「タックル? タックルってレスリングの? なんで?」
猫「イイな!って 思う男子がいるとするやん? そしたらこう構えて、バッと行って、押し倒すわけ!」
猫「何その本格的な高速タックル、吉田沙保里?」
猫「そして押し倒して言うわけ、『もう、いきなり何するの?』」
猫「待て待て! お前が何してるの方だろ!」
猫「そんな時に動揺しちゃダメ、女らしさを垣間見せなアカン」
猫「たぶんその時動揺しているの相手だと思うけどな」
猫「恥じらいとか大事やん?」
猫「どの口が言ってるの?」
猫「そこでなんやけど、ちょっと練習に付き合ってくれへん?」
猫「練習? なんの?」
猫「決まってるやん、タックルの」
猫「いやいや待て待て、なんで私があんたに押し倒されなきゃいけないの!?」
猫「あくまで練習やからね! あたしの恋愛対象男性だし!」
猫「わかってるわ!」
猫「もしかしてドキドキさせちゃった?」
猫「別の意味でドキドキしてるよ! まあ、いいわ。私が男役ってことね」
猫「そうそう、デートで駅前で待ち合わせって感じでお願い」
猫「はいはい。……今日は初めてのデートかぁ、緊張して昨日はよく眠れなかったよ。待ち合わせにも30分も早く着いちゃったし……って、ええっ!? ちょっと、何してんの!」
猫「え? 何って、タックルの準備だけど?」
猫「えっ? タックルって屋外ですんの!? しかも駅前で!? それって室内用じゃないの?」
猫「何よ室内用のタックルって?」
猫「こっちが聞きたいわ! 少なくても駅前ですんなっていうか屋外ですんな!」
猫「じゃあ映画館に行ってから?」
猫「映画館でもダメだわ!」
猫「雰囲気のいいレストランで食事をする時?」
猫「店から追い出されるわ!」
猫「夜景が見えるムードのいい場所で?」
猫「ムードぶち壊しでまわりのカップルがドン引くわ!」
猫「じゃあ、あたしの野性味溢れる肉食ぶりをいつ発揮すればいいわけ?」
猫「せめて、彼氏の部屋に遊びに行って、二人っきりになった時とか?」
猫「お、お前、マジかよ!? ちょっと肉食過ぎね?」
猫「ウブなんか?」
猫「だって、男性の家にいきなり上がって二人っきりなんて考えられへんし、何があるかわからんもん」
猫「タックルは何かするためのものじゃないのか?」
猫「もし、そんなことしてその男がその気になって襲いかかってきたらどうするん?」
猫「タックルの最終目的は何なの?」
猫「まだ手も握ったことないのに……?」
猫「そこは肉食ぶりを発揮しておけよ! っていうかさ、いきなりタックルの練習とかよりも、もっと前にすることあるんじゃない?」
猫「例えば?」
猫「単純に男ウケするような格好するとか?」
猫「それってどんな?」
猫「生足バーン見せたり、胸元ドーン開いた服着たりするとか?」
猫「えっ? マジで?」
猫「引くなよ! 変態見るような目で見るなよ!」
猫「だってそれって、過激すぎひん?」
猫「もういいよ!」
了