(四番目の記憶)
薔薇を想わせる緋色の口紅(ローズレッドのルージュ)
唇には嘘吐きな約束を
昇り詰めて崩れ堕ちた その夜に花束を…
寂れた洋館 追い詰めた壁際 美しき獲物
軋む床 浮き上がる身体 月明かり差し込む窓辺…
細い頸に絡みついた 浅黒い指先が
食い込んでも離さないで 最期まで抱いていた…
仄蒼い庭 錆付いたスコップ 花を敷き詰めた棺
突然の閃光 歪んだ銃声 眩い環状の終端(ループエンド)…
あの悲鳴は(歌声が)葡萄酒(ワイン)のように
罪は月夜より甘く
堕ちてゆく詩は狂気(ルナ)を孕んで
闇を照らし躍らせる…
煌く瞬間(とき)の宝石(いし)を 集めては打ち砕く
忘れるまで思い出して 失うまで逃がさない…
歪な螺旋 幾度目かの覚醒 あの笑い声が響く
早くしなければ また夜が明けてしまう
もう一度この手で彼女を…
追憶は甘い果実 水面に揺れる淡い月のように
檻の外へ手を伸ばしても 滑り堕ちる針は止められない
蛹はいづれ蝶になると知り 逃げないよう羽を毟る
せめて愛し合った証が欲しい 永遠に消えない傷痕を…
(忘レモノハ在リマセンカ…?)
法が統べる檻の中で
終われない悪夢(ゆめ)を視ている
愛しい女性(ひと)を永遠(とわ)に渡り
殺め続ける物語…
(その檻の中にいるのは誰…?)