JR西日本によると、かがやきの一番列車の最上級「グランクラス」とグリーン車は、上下いずれも10秒で売り切れた。停車駅が多い「はくたか」の指定席は金沢同6時11分発上りが1分30秒、東京同6時28分発下りが55秒で、それぞれ売り切れとなった。
JR金沢駅の「みどりの窓口」前には、13日午後5時頃から購入希望者が列をつくり始め、14日午前7時頃には40人に膨らんだ。金沢市内の夜から朝にかけての最低気温は0・1度まで冷え込み、毛布で身を包んだり、何枚も重ね着したりして寒さをしのいでいた。
混乱を防ぐため、JR西日本は80人態勢で臨み、警備員も5人配置して対応した。午前7時から配った整理券は、発売開始までに約100枚に上った。
七つある窓口のうち新幹線用は五つ。なるべく多くの人が切符を入手できるよう、整理券を配布した際に希望の行き先などを聞き取り、あらかじめ情報を発券機に入力。午前10時になると緊張した顔つきの社員たちが、一斉に画面を操作して確保に努めた。
7日からインターネットによる事前申し込みも受け付けており、特にかがやきの上り一番列車は激しい“争奪戦”となった。金沢駅で列の先頭に並んだ野々市市の会社員大窪康之さん(44)は、このプラチナチケットを獲得し、「地元石川に新幹線がついに開通する。一番列車の切符で、一生に一度の体験をしてきます」と徹夜の疲れも吹き飛んだ様子だった。
誕生日などを祝うために記念として切符を求める人も多かった。内灘町の会社員泉慎也さん(32)は発売開始10分前に申し込んだが、金沢発の朝の便を購入し、「長男が3月14日に7歳の誕生日を迎えるので家族4人で東京へ行く」と笑顔を見せ、長男の結真君(6)は「お父さんありがとう」と興奮していた。
金沢市の会社員斉藤真里奈さん(29)は「開業初日の新幹線に乗って、東京にいる彼と婚姻届を出しに行きます。無事、初日の切符を手に入れられたので、開業日が結婚記念日になる」と喜んでいた。