職業訓練、フェラーリと連携…イタリア | 国際そのほか速

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職業訓練、フェラーリと連携…イタリア 
  •   若者の失業率が40%を超えるイタリアで、職業訓練学校「国立フェラーリ工業学校」は、卒業生の就職率が9割と好調だ。

      企業と連携した実践的な教育が評価されているためで、同国教育省も注目する。

      同国では中学校を14歳で卒業すると、半数が大学進学を目指して高校に、残り半数が早期就職を目指して職業訓練学校や技術学校に進む。いずれも5年制だが、職業訓練学校は企業実習など、技術学校より職業直結型の教育を実施する。約55万人が工業や農業、ホテル業などを学んでいる。

      フェラーリ工業学校は北部のマラネッロ市にあり、自動車の整備や部品製造を教育する。11月中旬、5年生14人が自動車のエンジンを診断するソフトウェアの使い方を教わっていた。ドッジ・ジャンルカ教諭(45)が「エンジン故障の点検の仕方を復習しよう」と点検機器の画面を指さしながら説明し始めると、男子生徒は教諭の指先を追いながら、真剣な表情で聞き入った。

      同校の起源は、世界的なスポーツ車メーカーで、同市に本社を置く「フェラーリ」が1945年に設けた社内技術訓練部門。65年、従業員以外にも門戸を開こうと、国立の学校に生まれ変わった。

      2011年に自動車の設計などを教える技術学校も併設され、計696人が学ぶ。どの学年でも、専門分野の授業が3~5割を占め、日本の工業高校レベルの教育を行う。

      授業には地元の自動車関連企業が協力する。社員が指導にあたり、不要になった自動車部品などを教材用に提供。ジャンルカ教諭が用いた機器も企業から贈られたものだ。

      フェラーリでは毎年、生徒約60人が3週間、溶接や部品組み立てなどを実習。昨年参加した5年生のフィリッポ・コルニアさん(19)は「工場の機器に触れることができ、勉強になった」と語った。

      昨年7月に卒業した生徒の就職率は95%に上るという。マルゲリータ・バッザニ校長(62)は「実践的な教育が評価されている」と胸を張る。

      先月、同校を視察した教育省のガブリエーレ・トッカフォンディ政務次官(42)は「職業訓練学校と企業の協力を推進し、職業につながる授業を充実させたい」としている。(ローマ 青木佐知子)