
- イラスト・大倉千登勢
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大学で、就職活動をテーマにした講義をするとき、「学生時代のアルバイト先に就職する選択肢もあります」と話すと、ほぼ100%に近い学生が、「えーっ!?」と不満そうにブーイングを返します。
ありえない、なんてことを言うのか、とひそひそ話。そこで、「そんなに嫌な仕事をアルバイトとしてやっているのですか」と聞くと、今度はシーンとしてしまいます。
ある女子大で、現在のアルバイト先を業種別に学生たちに聞いたところ、最も多かったのは「飲食業」でした。女子が就きたい仕事で多いのは「事務」ですから、アルバイトと就活は別物と考えているのでしょう。
でも、アルバイト先に就職するかどうかは別にして、アルバイトをインターンシップ(就業体験)の一環として活用してみてはいかがでしょう。
例えば、飲食店で働いているなら、店を訪ねる取引先の営業担当者に話を聞いたり、その店で使っている調味料のメーカーについて調べてみたりするのです。アルバイト先と同じ業界の大手チェーンの会社案内などを見れば、理解が早いので、他の業界の企業研究をどのような視点で進めれば良いか、参考にもなるでしょう。
「どんな仕事を就職先に考えたらいいかわからない」と話す女子もいますが、きっかけの一つとしてアルバイトを見直してみませんか? アルバイト先から就活を広げる意識を持ってほしいものです。(ハナマルキャリア総合研究所代表)
(2014年9月2日の読売新聞朝刊に掲載)