3月14日の北陸新幹線開業を見据えて、私立中高一貫校「片山学園中学校・高校」(富山市東黒牧、生徒数648人)は来月から、首都圏の中学受験向けの大手学習塾に対し、同学園の教室や学生寮を活用した受験対策の合宿誘致に乗り出す。
首都圏の受験生に同学園の存在を知ってもらうことで、2016年度入試以降の受験者を増やし、優秀な生徒の獲得につなげる狙いがある。
2005年に開校した片山学園は、毎年、東大をはじめ国公立・私立の難関大学に合格者を出している県内有数の進学校だ。将来的に、1学年の定員120人のうち、3分の1にあたる40人の生徒を県外から迎え入れることを目指している。
ただ、首都圏の受験生や保護者からは「富山は遠いから……」というイメージが強く、受験先・進学先としてあまり浸透していないのが現状だ。今年1月現在、全校生徒に占める県外出身の生徒は全体の1割に満たず、東京都や神奈川県など首都圏の出身者は26人にとどまっている。
しかし、新幹線の開業後は、最速型「かがやき」で東京―富山間が最短2時間8分で結ばれる。少子化の進行で、県内の生徒数も今後減少していくことから、同学園は首都圏からの受験生を積極的に増やす必要があると判断。学校のPRを兼ねて、立山連峰を一望する同校の校舎を、大手学習塾の受験合宿の場として活用してもらうことにした。
同学園は、受験合宿で、各学習塾による受験対策の授業のみならず、同学園の教師による理科実験やプラネタリウムを使った星空観察会など同学園独自のプログラムも実施したい考えだ。宿泊先は敷地内にある学生寮の部屋を活用する。首都圏から同学園に入学した場合の寮生活や学習環境の一端を知ってもらえる絶好の機会とみている。
同学園は昨年8月、名古屋市内の塾に呼びかけ、3泊4日の受験合宿を同学園で実施した。その結果、合宿に参加した17人の受験生うち、6人が今年1月の同学園の中学入試を受験する成果を挙げたという。同学園の担当者は「実際に学園生活を体験してもらえたのが非常に効果的だった」と分析する。
新幹線開業で、首都圏から富山への移動時間が大幅に短縮することから、同学園は「子供を寮に預ける保護者や受験生本人の精神的な負担も減るだろう」とみており、首都圏からの受験生増加に期待している。