「世の光となる」女性たちを育成 | 国際そのほか速

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「世の光となる」女性たちを育成 
  •   昭和女子大学は、女性に特化したビジネススクールを今年5月、スタートさせた。

      起業や組織でのキャリアアップを目指す女性を後押しする。同大学は、学生が「夢を実現する7つの力」として、グローバルに生きる力などを身につける教育に力を入れている。学長の坂東眞理子さんは、「世の光となる力を持った女性になってほしい。社会で女性が活躍することが日本再活性化のカギを握る」と語る。

     

    女性向けビジネススクール5月開講

     

      国家公務員時代、女性にかかわる施策など制度を作る側から日本全体を見てきました。 大学という教育の場に移って、数千人の学生がどのように生きていけばいいかに取り組んでいます。公務員の仕事は舞台づくりで、教育の仕事は舞台で生きる人をどう育てるかだと思います。

      昭和女子大学は夢を実現するための「7つの力」を掲げています。「グローバルに生きる力」の一環として、英語を身につけるだけでなく教養を深めることをめざしています。また、「自分を大切にする力」も説いています。学生自身が自分を好きになり、長所を見つけ伸ばすことにつながるからです。学長に就任してから7年になりますが、学生の就職率の上昇など、努力してきたことの芽が出てきています。

      昨年、グローバルビジネス学部を開設しましたが、今年は女性社会人のためのビジネススクール「昭和女子大学キャリアカレッジ」をつくり、まず起業家養成コースが5月10日にスタートしました。講義を聴いて終わりではなく、必ず成功事例を出したいと考えています。受講生は、起業について具体的なビジョンを持っている人です。講師陣には、起業家や金融機関の実務家も招き、受講生が現実に事業を始め資金調達できるよう橋渡しをします。企業の立ち上げ時には、大学でオフィスを提供することも考えています。秋にはステップアップコースを開講します。組織で管理職になるなどキャリアを積み重ねていくために、必要な知識と態度を身につけてもらう狙いがあります。

      女性の活躍が日本再活性化のカギと期待されていますが、特にステップアップコースで対象とする30代、40代の女性に必要な能力を身につけてパワーアップしてもらうことが不可欠です。

    夢みたことを実現 日本の再活性化へ

     

      「2020年までに全国の企業や官公庁で指導的地位にある女性の割合を30%にする」という数値目標は、私が内閣府で初代の男女共同参画局長だった2003年に小泉内閣で決定しました。昨今、これが政府の成長戦略で再び注目され、とてもうれしいです。

      保育所の「待機児童ゼロ作戦」を打ち出したのもこの時代ですが、まずは目標を掲げることに意味があります。

      私自身、仕事を続けながら2人の娘を育てました。振り返って言えることは、夢を持つことです。夢がすべて実現するわけではないけれども、夢みていないことは実現しません。夢があってもうまくいかなくて情けない思いがあっても、自分を励まして歩き続けることだと思います。

      結婚や出産後も女性が働くことが当たり前の時代になります。子どもが幼い数年間は仕事をするうえで時間的な制約があるかもしれませんが、平均寿命からみるとわずかな期間です。結婚や、出産でいったん離職した女性も、これからの労働市場では宝の山です。特に、現在の40代以上の女性はこうした理由で職を離れた人が多く、誠実に仕事をしてくれるでしょう。

      働くことは、社会とつながる大事な手段です。学生には、人生のあらゆる段階で社会に何ができるかを考えて行動してほしいです。「世の光になろう」と言っています。(談)

    ばんどう・まりこ 1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現・内閣府)に入省、統計局消費統計課長、埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事などを経て、2001年から2003年まで内閣府男女共同参画局長。2004年から昭和女子大学大学院教授、女性文化研究所長。2007年4月から昭和女子大学学長。2014年4月から学校法人昭和女子大学理事長。著書に『女性の品格』『親の品格』など。

     昭和女子大学 人間文化学部、人間社会学部、生活科学部、グローバルビジネス学部の4学部。就職率は、卒業生1000人以上の女子大でトップ(大学通信調査)。学校法人昭和女子大学は1920年創設。幼稚園から小学校、中学校、高校、大学、大学院まで、東京都世田谷区のキャンパスで約8000人が学ぶ。