
前田さん 「今年活躍の若手10人」に選出
- 今年最も活躍した建築家に選ばれた前田さん(福山市役所で)
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独創的な建築設計を手掛けている広島県福山市木之庄町のUID一級建築士事務所代表、前田圭介さん(40)が、アメリカを代表する建築雑誌が選定する「今年最も活躍した建築家10人」に選ばれた。
前田さんは「地域の古い物にも価値があるという気付きを伝えながら、福山を世界に発信したい」と意気込んでいる。
前田さんが受賞したのは、100年以上前に創刊された雑誌「ARCHITECTURAL RECORD」が主催する「Design Vanguard」。2000年に創設された世界の若手建築家の登竜門とされる賞で毎年、建築家や批評家でつくる審査委員会が、最も先進的な作品を手掛け、将来の建築界をリードすると目される10の建築家や設計スタジオを選定。作家性が重視され、過去の作品も参照されるという。
今年は、他に長谷川豪さん(東京)や、アメリカ、スペイン、中国の建築家らが選ばれた。これまでに日本人は、前田さんら15人が選ばれている。
前田さんは、今年8月に応募。建築環境工学の先駆者とされる建築家、藤井厚二(1888~1938年)が手掛けた福山市鞆町の別荘の改修や、同市の本通商店街などのアーケードを撤去し、ワイヤでテント屋根をつる計画を盛り込んだ改修プロジェクトなど、10作品を添えた。
11月末に電子メールで授賞の連絡があった。
応募は事務所設立10年以内の建築家に限られ、今年が最後のチャンスだった前田さんは「非常にうれしい。福山での取り組みを世界にPRできる」と喜ぶ。
前田さんは工務店の現場監督を経て、2003年にUIDを設立。日光の入り具合や、草木が風に揺れる様子など、五感で自然を感じ取れ、周りの環境と一体になるような設計を重視している。福山を中心に国内のほか、中国浙江省で陶芸家のスタジオ兼住居の建築に携わるなど海外でも活躍する。
アジア建築家評議会の若手建築家の委員会の日本代表に選ばれている前田さんは「アジア独特の建築や、時代を超えた建築を世界に発信し、伝えていきたい」と話した。(佐藤祐理)