与党は経済政策の成果を強調し、継続への支持を呼びかけた。野党は自らの政策や改革姿勢を説明したが、政権交代を訴える言葉はなかった。
安倍首相は、経済再生と東日本大震災からの復興に力点を置いた。
有効求人倍率の上昇や就業者数の増加、企業の賃上げなど、2012年12月に自民党が政権復帰してからの実績を強調し、「(景気回復の)実感を地方に届けるのがこれからの仕事だ」と述べた。景気が良くなっているとの実感が賃上げなどの形で十分には広まっていない理由として、今年4月の消費税率8%への引き上げの影響を挙げ、10%への引き上げを延期する理由を改めて強調した。
また、「復興を加速させることを誓う」としたうえで、来年の大型連休ごろを見込んでいる常磐道の全面開通の時期を、3月1日に前倒しすることを明言した。
民主党の海江田代表は、経済財政政策と復興に重点を置いた。
経済政策については「安倍首相は雇用が増えたと言うが、ほとんどが非正規雇用だ。正規雇用者は減った」などと述べ、アベノミクスは失敗だと主張。「雇用の安定、子育ての支援、社会保障の安心が民主党の政策の柱だ」と訴えた。復興を巡っては「本当に加速されているのか。(被災地の)皆さんが一番よく知っている」と疑問を呈した。
一方、「今度の選挙はこれまでの流れを変えるチャンスだ」と声を張り上げたものの、政権交代までは主張していない。
維新の党の江田共同代表は、「身を切る改革」などの改革姿勢を強調した。
衆院の定数削減については「国会議員が率先して身を切らなければ政治不信は解消しない」と述べ、衆院議員の定数と歳費の3割削減を主張。国と地方の公務員の人件費についても「2割カットで5兆円(の財源)を出してみせる」と訴えた。
公明党の山口代表は小選挙区候補者の紹介などを除けば、第一声の大半を経済財政政策に充てた。特に、生活必需品の消費税率を抑える軽減税率の導入を前面に押し出した。消費税率10%への引き上げは1年半延期して17年4月に実施するとした上で、「10%に上げる時には軽減税率を導入するのが自公連立政権の約束だ」と強調した。
次世代の党の平沼党首と新党改革の荒井代表は安倍内閣の政策について、「是々非々だ」として部分的に支持した。共産党の志位委員長、生活の党の小沢代表、社民党の吉田党首はアベノミクスを批判した。