
色や趣 合わせて一体感
- 浜中さんのマンションの廊下を彩る額縁入りの作品。「お客さんが来た際にも楽しんでもらっています」
- 装飾的なデザインからシンプルなものまで様々な額縁のサンプルが並ぶ(「銀座・伊東屋」で)
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額縁入りの絵や写真を居間や廊下の壁に飾るのは、インテリアコーディネートの工夫の一つだ。
最近は、作品を何枚も並べて壁を彩ったり、自ら選んだ額縁で作品を引き立たせたりと、楽しみ方が広がっている。
東京都杉並区の主婦、浜中早苗さん(61)は、自宅マンションの廊下の壁に、額縁入りの絵や絵はがきなど計8点を並べて飾っている。都内のフランス雑貨店や海外旅行先などで買い集めた思い出の品ばかりだ。
一見すると、大きさの違う作品が無造作に配置されているようだが、まとまりがあり、ちょっとしたギャラリーのようだ。「帰宅して居間へ向かう途中、好きな作品が目に入り、気分がほっとする」と浜中さん。ゲストルームの壁にも3枚飾っているという。
壁に絵などを飾る際、額縁にも自分の好みを反映させて作品を引き立たせる手法が人気を集めている。
「大切な手紙の便箋と封筒を額に入れて飾りたい」「一つの額縁にグリーティングカードを何枚も並べたい」――。オーダーによる額装を手がける文具店「銀座・伊東屋」(東京)では、こだわりのある額装の依頼が目立つ。
額縁はイタリアなどの輸入物を中心に、装飾的なデザインからシンプルなものまで約1500種類用意。30センチ×40センチほどの額縁で1万5000円前後(税込み)から。刺しゅう作品やスカーフなどの布物、東南アジアのお面といった立体的なものを額装する例もあるという。
額装会社のジンプラ(東京・恵比寿西)も、4、5年前から、好きな写真家の作品や、インターネットで購入した古いポスター、版画などを持って相談に来る一般客が増えた。社長の小宅(おやけ)直樹さんは「自分の選んだ額縁に入れることで、世界に一つだけのものになる。納得のいく部屋作りをしたいというニーズの表れ」と見る。
絵と額縁をうまく飾るにはどうすればいいか。
リビングデザインセンターOZONE(東京・西新宿)のインテリアデザイナー、西沢聡美さんによると、壁は、ソファの背面や玄関の正面など、ある程度広さがあった方がいいという。
「ただ、同じ壁にテレビなど視線を集めるものもあると、額装が生きないので避けるのが望ましい」
作品と額縁は、色やテイスト(趣)などをインテリアと合わせると、空間にまとまりが出る。小さい作品を複数並べて飾りたい場合は、額縁のデザインが似たもの同士を選ぶといい。
中心に置く作品を決め、周りに大きさの違うものを並べると、メリハリがついて個性的になる。「配置に迷う場合は、インテリアの専門家に相談するのもいい」と西沢さん。
壁に固定するためのフックはホームセンターなどで売られている。壁の材質や制限荷重などを考えて選びたい。
東急ハンズ新宿店(東京)では、石こうボード壁用には、ベスト製の「マジカルピンフック」(税込み432円から)がお薦めという。フックを抜いた後も壁紙の傷が目立ちにくいよう工夫されている。コンクリート壁用には接着剤で貼るタイプなどがある。