人口500人足らずの小さな島の医療事務として働いている純朴な青年が、手術という医療行為を何度か経験し、犯罪だとは理解しながらも、自分の天職だと感じ始め医者としての野望を思い描き始める。
無資格医だというのに頂点まで登りつめようとする姿、そして当然の事ながら転落していく様までの演技の振り幅はこれまで見た中で、最高としか言えない。
普段常に自信なさげな風貌の主人公。
それが、手術となると豹変する様をほぼ目付き一つで表現できているのには脱帽する。
これが演技が上手いという事だと、改めて思い知らされる。
無資格医で、医療知識も浅い普通の人間が例え手先が器用だからといって教えてもらいながらでも手術など出来るはずもなく、医者免許の有無、経歴詐称等、30年前の原作とはいえ現実的にかなり強引さがある設定だが、どうしてもストーリーに引き込まれ『面白い』と思ってしまう。それはやはり他の役者さん達も皆演技派なメンバー揃いだけに、安心して見ていられるからだとつくづく感じた。
普通の人から奇抜な役まで演技の幅が広いと賞賛される長谷川さんだが、雲の階段を見ていない人は、これ程までに主人公の心境の変化や身のこなしの違いを演じ分けられる俳優さんだとは思っていないだろう。かえって個性的な役柄の方が、長谷川さんが演じるのは容易いのかもしれない。
長谷川さんが注目されだしたきっかけのドラマよりも、この『雲の階段』こそが代表作といっていいのではないだろうか。
まさに物凄い天才。








