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自作小説の流刑地

意味のわからない自作の小説のようなものを載せます

 後ろから抱きついてみた。
 パソコンに向かって、ひたすら何かをタイプしていたこの人の指が止まる。

「どうしたの?」

「………」

 問いかけてきた声に沈黙で返す。
 この人はそれで気分を害した様子も無く、ただ何となく、といった感じで欠伸をした。
 これは、この人の一呼吸置くためのポーズのようなものだ。

「寂しかった?」

「………」

 また沈黙で返す。答えたくない、負けた気がするから。
 この人はそんなのわかってるだろうし、そのうえで知らない振りをしているんだろう。
 わかってる。憐れまれているだろうことは。
 だけど、今はそれにつけ込んで甘えていたい。
 きっとこの人は、そういう醜い考えすら読み取って、でも何も言わないんだ。





「好きだよ」





 ……ほら、ね?
 さり気なくこう言ってくれることは嬉しいけど、同時に情けない。
 全部、全部見透かされてるんだって。
 ばれてるんだ。醜い自分が。

「好きです」

 この人と同じ言葉を言ってみても、滑稽なだけで何も変わらない。
 だけど、この人はその滑稽さをも受け止めてくれる人だから。

「うん」

 ただそう言って、首の辺りに回してある腕を優しくぽんぽんと撫でるように叩いてくれた。

 じんわりと、胸の辺りに鈍い痛みが広がる。
 敗北感、というのはこういう感情を言うのだろうか。