とある「善意」が、新聞記事に掲載された。


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東京・銀座で美容コンサルタント業を営む沖縄県出身の人が、

全国の美容師仲間や会社スタッフを率いて、東日本大震災で被災した宮城県などの、

仮設住宅で暮らす人たちに、散髪やエステを、無償で行うボランティアを続けている。
コンサル会社代表の自身も、約10年ぶりに散髪のはさみを握った。

全国の仲間らと共に、ことし3月までに計34回の活動で計4500人余りに

散髪やエステサービスを施した。

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美容師が、ボランティアで、髪を切ってくれる。


タダで切ってもらって、文句を言う人は居ないと思います。




では、地元で「やっと営業を再開した美容師さんや、理容師さん」は、どう思うでしょうか。


お金を払ってでも来てくれていたお客さんを、ボランティア行為によって減らされてしまう。


美容・理容を生業としている同業者の方は、分かりそうなことですが・・・



震災直後、多くの美容室や理髪店などが、営業を再開できていない時期などに


同じ様な活動をされていたら、それはとても良いことだと思います。





ですが、「今後は、東北に拠点を設け、活動を拡大していく」とか。。。


本気ですか?



東京の美容師さん達で、ボランティア散髪を行う行為は、


東北の美容室や理髪店の経営を圧迫しかねないと、私たちは危惧しております。




うちの代表、その沖縄の理容師さんに電話しました。


「ボランティア活動に対しては、何が良くて、何が悪いとは、

 自分にはわかりません。

 ですが、ボランティアで髪を切るという行為には、

 負の側面もあるということを、どうか理解して下さい。」



けっこう、長い間お話していました。


私は、横でずっと聞いていました。


けっして、いきなり文句を言ったわけではなく、


丁寧に、敬語で、優しい口調で話し始めていました。



でも、電話の向こうから聞こえてきた声は


「あんた何者だ?」


「被災者が喜んでるのに、あんた止めろって言ってんのか?」


荒らげた声しか聞こえない。


残念です。



同じボランティアとしては、お節介な忠告かもしれません。

でも、同業者の気持ちにも気付いて欲しい。


今までの活動はともかく、今後拡大してボランティア行為をしていくというのを、

真剣に考えた上で行なって欲しいという、気持ちは今も変わりません。


聞く耳を持っていただけなかった事が残念です。



いま、ボランティアの在り方も、大きな問題になりつつあります。


当会も、ボランティア活動を行なっている以上、ずっと気にしていることがあります。


「自分たちの行動によって、地元の方々が困ることのないように」





私や、代表は、本人に面と向かって文句言う人間です。


でも、ほとんどの場合、どんなに仲良く話せても、

正直「文句」は、面と向かって言えないと思います。


余程のことがない限り。



だから、周りから「文句」は広まります。


本人が耳にする事は、よほどの困り事って事になりますね。




助けたくて行うボランティアが、その行為により、苦しめてしまうと知ったら・・・


悲しい事です。




全ての人が、同意見になるとは思っていません。


たしかに、救われる人が1人でもいたら、

その人の為に行うボランティア活動は、あってもいいと思っています。


でも、拡大する必要はないんじゃないかな・・・。