イギリス・ペンドルの魔女事件 | アルプスの谷 1641

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1641年、マレドという街で何が起こり、その事件に関係した人々が、その後、どのような運命を辿ったのか。-その記録


アルプスの谷 1641-


666時。悪魔のお話をする時が・・・



 朝の爽やかな時間を台無しにしてすみません、わざとです。


 今回は、英国国教会の配下で起こった、もう一つの魔女事件について見てみましょう。


 驚くなかれ、この事件については 2011年12月に事件の最新情報が入ったの


です。英語ではありますが、下記リンク先の動画を、是非、ご覧になってください。


陰惨な事件なのに、大変、楽しいニュースになっています。


( 新発見に盛り上がりまくる地元の人々が印象的。そんなに嬉しい?と突っ込んでやりましょう )



'Witch's cottage' unearthed near Pendle Hill, Lancashire




英語なので解説させていただきます。


『水道工事で、偶然、ペンドル・ヒルの麓に 17 世紀に作られたと思しき建物


が発掘されました。その壁には猫が埋め込まれています。


これって、もしかして、あの伝説の・・・?』



 今から、ちょうど 400 年前、当時の国王、ジェームズ一世による、異端狩り


に事件は発します。 異端のはびこるランカシャー州ペンドルで、魔女一家デム


ダイク ( Demdike ) が、その網に掛かりました。 が、彼らは、なんで自分ばっかり?


とライバルの魔女一家シャトックス ( Chattox ) を告発します。

 
 これを聞いただけでも、相当あれな話ですが、この事件が他の魔女事件と


趣を異にしているのは、




告発された人々が本当に自分は魔女である ( と思っていた ) ことです。




 そのため、裁判で、聞かれもしないのに、私は魂を悪魔に売りました、


などと証言しています。 この二つの家族は、まじないによる治療や、魔術によ


るゆすりたかりを生業としており、この地域では邪悪さを競うライバル同士、


呪ったり呪われたりの関係にありました。


 ここまで、両家の四名の魔女が有罪となり、これで話は終わりかと思われま


したが、デムダイク家の一族がマルキン・タワーという場所でサバトを開いた


ことが分かり、さらに騒ぎが大きくなります ( 裁判が終わらない内にどうして


こういうことをするのか理解できません )。 証言台にはデムダイク家の9才の


少女ジャネットが立ち、この子がまた、お母さんが茶色の犬と殺人の相談をし


てたとか、兄さんが黒い犬を呼び出して殺人を手伝わせたとか、有ること無い


こと喋りまくり、結局、十人が一度に絞首刑となり、一名が獄死しました。 こ


の事件については、裁判所の刑吏が詳細な記録を残したこともあって、イギリ


スで最も有名な魔女事件となりました。


 悪魔集会の舞台となったマルキン・タワー ( Malkin Tower) は、場所が特定


されず、裁判後、破壊されたと思われてきました。 ところが、400 年の時を経


た 2011 年 12 月、水道工事で、偶然・・・。



 ペンドルの魔女事件は、物語としても魅力的で、(他の事件と異なり) どこか


強いロマンを感じさせます。中世にあっては、魔女の存在は民衆の素朴な生活


の一部であったことが分かります。


 陰惨な歴史にも関わらず、魔女の物語は、現代に生きる我々をも魅了してや


みません。セーラムの場合もそうですが、この事件は、現在、重要な観光資源


となっており、折しも今年は事件の 400 周年記念で、様々な催し物があるよう


です。もしも、イギリスに行かれる方があれば、ここぞとばかりに盛り上がる


魔女の故郷に寄ってみてはいかがでしょうか。



              Witches Events



 最後に・・・、この事件で自分の家族を告発したジャネットは、1634 年、


別の魔女事件で告発されたと考えられています。 魔女の子は魔女ということで


しょうか。 と、全く意味不明の教訓を残して、この記事を終わります。  




アルプスの谷 1641
地元名産 ペンドル魔女ビール