6月6日6時。悪魔のお話をする時が・・・
朝の爽やかな時間を台無しにしてすみません、わざとです。
今回は、英国国教会の配下で起こった、もう一つの魔女事件について見てみましょう。
驚くなかれ、この事件については 2011年12月に事件の最新情報が入ったの
です。英語ではありますが、下記リンク先の動画を、是非、ご覧になってください。
陰惨な事件なのに、大変、楽しいニュースになっています。
( 新発見に盛り上がりまくる地元の人々が印象的。そんなに嬉しい?と突っ込んでやりましょう )
'Witch's cottage' unearthed near Pendle Hill, Lancashire
英語なので解説させていただきます。
『水道工事で、偶然、ペンドル・ヒルの麓に 17 世紀に作られたと思しき建物
が発掘されました。その壁には猫が埋め込まれています。
これって、もしかして、あの伝説の・・・?』
今から、ちょうど 400 年前、当時の国王、ジェームズ一世による、異端狩り
に事件は発します。 異端のはびこるランカシャー州ペンドルで、魔女一家デム
ダイク ( Demdike ) が、その網に掛かりました。 が、彼らは、なんで自分ばっかり?
とライバルの魔女一家シャトックス ( Chattox ) を告発します。
これを聞いただけでも、相当あれな話ですが、この事件が他の魔女事件と
趣を異にしているのは、
告発された人々が本当に自分は魔女である ( と思っていた ) ことです。
そのため、裁判で、聞かれもしないのに、私は魂を悪魔に売りました、
などと証言しています。 この二つの家族は、まじないによる治療や、魔術によ
るゆすりたかりを生業としており、この地域では邪悪さを競うライバル同士、
呪ったり呪われたりの関係にありました。
ここまで、両家の四名の魔女が有罪となり、これで話は終わりかと思われま
したが、デムダイク家の一族がマルキン・タワーという場所でサバトを開いた
ことが分かり、さらに騒ぎが大きくなります ( 裁判が終わらない内にどうして
こういうことをするのか理解できません )。 証言台にはデムダイク家の9才の
少女ジャネットが立ち、この子がまた、お母さんが茶色の犬と殺人の相談をし
てたとか、兄さんが黒い犬を呼び出して殺人を手伝わせたとか、有ること無い
こと喋りまくり、結局、十人が一度に絞首刑となり、一名が獄死しました。 こ
の事件については、裁判所の刑吏が詳細な記録を残したこともあって、イギリ
スで最も有名な魔女事件となりました。
悪魔集会の舞台となったマルキン・タワー ( Malkin Tower) は、場所が特定
されず、裁判後、破壊されたと思われてきました。 ところが、400 年の時を経
た 2011 年 12 月、水道工事で、偶然・・・。
ペンドルの魔女事件は、物語としても魅力的で、(他の事件と異なり) どこか
強いロマンを感じさせます。中世にあっては、魔女の存在は民衆の素朴な生活
の一部であったことが分かります。
陰惨な歴史にも関わらず、魔女の物語は、現代に生きる我々をも魅了してや
みません。セーラムの場合もそうですが、この事件は、現在、重要な観光資源
となっており、折しも今年は事件の 400 周年記念で、様々な催し物があるよう
です。もしも、イギリスに行かれる方があれば、ここぞとばかりに盛り上がる
魔女の故郷に寄ってみてはいかがでしょうか。
最後に・・・、この事件で自分の家族を告発したジャネットは、1634 年、
別の魔女事件で告発されたと考えられています。 魔女の子は魔女ということで
しょうか。 と、全く意味不明の教訓を残して、この記事を終わります。