秋田港より日本海フェリーに乗るため、絶対に迷子になって遅刻するわけにいかないため、スマホのナビで確実に進むことにした。
登りたての太陽と共に、仙岩峠へと突入。
山肌は昨日の雪を残して真冬の様相で、黒々と光るアスファルトはただ濡れているだけなのか凍っているのか分からない。
ただただ恐ろしい。
日が当たっていても氷が解けるほどの気温にはまだ全然足りない。
寒さと、スリップの恐れから、自然と速度が遅くなる。
このペースだと少し遅い。
かといってこれ以上スピードを上げることは二人ともとても無理だった。
秋田まで46号線一直線でも行けるが、もう少しショートカットするために途中から広域農道へ入った。
峠からさらに高度を上げるため寒さに拍車がかかるけど、真っ直ぐで走りやすい。
さっきまでの遅れを取り戻すように先頭の私はスピードを上げた。
信号もなく緩いカーブはあるもののとても走りやすい道。
これなら、案外すぐに秋田港まで行けるかもしれない。
高速で走り続けて、初めて信号に当たった。
赤になるところだったので、信号へ向けて下りながらクラッチを切った。
坂道と余力のみで進んで信号に止まった。
相棒沈黙。
ミサトちゃんが笑ってた。
やだエンストしちゃった!と焦ってセルを回した。回した。回した…
かからない!
一気にパニックになる私。
道の端に寄せて再度セルを回すがかからない!
港にすらたどり着けないのこの旅?まだスタートしたばっかりなのに。
バイク屋呼ばなきゃならないのか、トラックで引き揚げ?いやバイク屋を読んでる間にフェリー出ちゃう。ミサトちゃんだけ先に行ってもらうか…?
頭の中では目まぐるしく最悪のシナリオが展開されてパニックに拍車がかかる。
一旦落ち着いて一服して、再度セルを回してみたら、弱弱しく点火、動き始めた!
二人の安堵感たらなかった。バイクが動かないって最悪だ。
いったいなぜ止まったのだろう。この先長いのに怖い。でもここで時間使っちゃったから早く進まなきゃ。
原因究明はいったん脇に寄せて再び走り出した。
ナビを使っているのに目的の道ではないところを通過し(ポンコツ)たけど、ようやく秋田港を射程距離に捉えた。
最寄りのコンビニで買い出し。もう、すぐそこって分かっているから何という安心感。しかもあったかくなってきてる。
凍えて半病人みたいになっていた私たちのテンションもギューンと上昇。
さあ!いざフェリー乗り場へ!
と、またしてもナビ使っているのに素通りし(ポンコツ)ミサト氏に余計なUターンを強いてしまった。