四月の満月ピンクムーンは、花々がほころぶ春の兆し。

ピンクに染まるのは、地。

東の空では雲に隠れて朧気に、
中天に向かえば雲と兎を押し退け輝く月面。

宵闇にさんざめく。

血が騒ぐのか、深夜1:00でも烏が鳴き会う。

私にも言葉が分かれば良いのに。



春紅葉に色めく山肌に、ポツリポツリと桜咲く。

僅かに萌葱色を見せる早熟な木々を撫でながら、立ち上る靄が走ってる。

春雨を、生き生きと受け取る笑う山。

時折差す梅の紅。

溜め息が出る。

いや、溜め息しか出ないほど、美しい。



「未来は明るい」

なんて、もう思えないからか、急速に移り変わる季節におののきながらも、

「今が一番美しい」

と思った。


今ここにある不安と焦燥感を、分からない未来に託してしまうことが不誠実な気がしていて、
それをポジティブなエネルギーに変えるほどの力量が私には無いってもう痛いほど分かった。

だから、私なりの誠実さは、今が美しいって事を見つめることなんだろう。



初めて、最初から一人ではない「旅」をする。

出発は明後日。

ナーバスになることもあったし、今も一人ではないからゆえの緊張がある。

でも二人だからこその安心感も楽しみもある。


だからかもう一度思う。

何もなくても、何かあっても、素晴らしい時間だったと胸を張って思えるような旅にしたい。