ああ、どこかに行きたいなぁ・・・
どこか遠くへ・・・
という訳で、いわて銀河鉄道に飛び乗ってプチ旅へGo。
行き先はとりあえず温泉がいいな・・・
駅から遠い温泉に行くのは骨が折れるので、駅名に「温泉」が付く、「湯瀬温泉」目指して出発~!
電車で出かけるのなんて何年ぶりだろう、わくわくしちゃう。
なかなかにいい天気。
後ろに見える姫神山もくっきり。今日も今日とて尖ってますね。
美しい円錐お見事です。
そして車窓から見える岩手山。
柔らかな雲と雪化粧でおめかし中。
冬の岩手山は格別に美しい。
落ち着いてきたのでいったん読書タイム。
読みふけっていると「安比高原駅」に到着。
ふと顔を上げてみたら、さっきの晴天がうそのように猛吹雪。
いつの間に!?やっぱり山の天気は変わりやすいのね。
ボードやスキーを持った若人たちが、吹雪に悲鳴を上げながらぞくぞくと降りていく。
それからしばらく、雪は降り続けた。
私たちを乗せた電車は雪の中どんどん進む。
一面に降り積もった雪は、一流パティシエが丁寧にデコレートしたケーキみたい。
時折動物が横切った跡があってなごませってくれた。
程なく、山を越えて里山に出ると、また青空が見えてきた。
美しい川沿いを走り、いよいよ「湯瀬温泉駅」到着。
一気に人が降りる。
今日は込んでいるのかな。
駅構内で湯瀬温泉内の観光地図見てから外に出たら、さっきあれほど人がたくさん降りていたのに誰もいなくなっていた。
また降り始めた雪の中、たった一人ひなびた駅前に立っていると、しんしんと寂しくなってくる・・・。
まずは湯瀬渓流を見に行ってみよう。
温泉街は、盛岡と比べ物にならないほど雪深かった。
とんでもないサイズの氷柱、巨大な雪山、屋根の上にはまたゴッテリ乗せた生クリームみたいに雪がたっぷり。
風雪吹きすさぶ湯瀬渓流。
無骨な岩も、雪のデコレーションで柔らかになってるみたい。
緑が覆う季節も格別に美しかったけど、雪化粧の渓流も静かな空気が染みてくるようでたまらない。
それにしてもずいぶん歩いたのに誰にも会わない・・・電車降りた人たちはどこに消えたのか・・・
吹雪の中薄暗くなってきて猛烈に心細くなってきた。
しかも手袋を忘れてしまったため、手が大変なことに。
以前ツーリングの時、ふらりと立ち寄った温泉旅館が近くにあるはずだ。
泊まるかどうかも決めずに出てきたから何の連絡もしていないがとりあえず行ってみよう。
結局、道を間違えさらにさまよった挙句、思ってた方向と逆から旅館に到着。
屋根の雪が・・・大変なことに・・・
突然の来訪者にも女将さんはとっても暖かく迎え入れてくれて、ほっと一安心。
一か八か泊まれるか聞いてみたら大丈夫だったので今夜一晩お世話になることにした。
ただ、いきなりすぎて夕食は準備が無いのと、お部屋の準備がこれからという申し訳ない事態に。
なのでお布団運びを手伝いさせてもらったらものすごく恐縮されてしまった。
女将さん、私自炊部好きなので慣れっこちゃんですよ!
そして案内されたお部屋は、上等そのものだった。
室内なのに息が白くなるほど冷えていようとも、こんなに素敵なお部屋に泊まれるなんてうれしい~~!!
コタツだコタツだ!と大興奮してしまった。
お部屋を暖めている間に、まずはひとっ風呂。
そうそうこのこじんまり感。
お湯はやさしくて、長い間使っていてものぼせない。
冷え切っているから長く浸かれるお湯が嬉しい。
お風呂からお部屋までの廊下が相変わらずの佇まい。
たまりませんなぁ。
ホッカホカに暖まったら、夕食の買出しに出かけた。
しかし、風呂に入っている間に向かいにある商店がすでに閉店してしまっている・・・!
コンビにやスーパーの類も無く、飲食店も見つけられず呆然と温泉街を歩く。
どうしよう、ひもじい・・・
でも私は思い出した。
こんな時は大きなホテルに行けば、売店があるはず!
煌々としたライトに導かれて、大きなホテルに入ってみると、あった売店!
しかし、ご飯にできるようなものはカップ麺しか見当たらず。
ここまできてカップ麺とは味気ない・・・でも仕方ない、無計画な私が悪いのさ。
一緒にビールも買い込んで、いそいそと宿へ戻る。
ぽつりぽつりと街頭が灯る温泉街はとても静か。
真っ白の雪が少し、足元を明るくしてくれている。
雪を踏む自分の足音しか聞こえない。
素敵な夜。素敵な街。
お部屋に戻ったらコタツに直行。
侘しいかと思ったけど熱いカップ麺はおいしかった。
ビールをちびちび飲みながら、寒くなったら温泉に入って、置いてあった漫画読みつつ、また温泉に入って・・・
これ以上無いくらいにゆっくり流れる時間をすごし、布団に入った。
その深夜、あまりの寒さに目が覚める。
あんなに毛布追加してくれたのに、足りない。
挙句に突然だったからかストーブの灯油が切れるという最悪の事態が勃発。
あるだけの衣類を着込んで布団で丸まりながら朝を待った。
朝風呂をいただいた瞬間たらもう、体がとろけるかと思った。
夕食は間に合わなかったけど、朝食は間に合った。
卵の調理の仕方を予め確認してくれて、私はしょっぱいほうの卵焼きを希望していた。
この卵焼きが、もう柔らかいわあったかいわ、絶妙でやさしい味付けだわでお代わりほしいほどにおいしかった。
お魚の焼き具合も、煮物のしみこみ具合も抜群でご飯が進む進む。
お味噌汁とご飯をお代わりしておなか一杯、朝から大満足。
夕食は豪華らしいのだけど、これは是非にも食べてみたいものだ。
ご飯を食べたらチェックアウト。
突然の無茶な宿泊だったのに、ほんとに暖かく迎え入れてくれたやさしくて朗らかな女将さん。
根っから優しい人なのかな、なんか接客されている感じではなくて、まさにおもてなししてもらっている感じですごくほっとした。
次は夕食も食べたいから前日までに連絡すると約束して、背中を見守られながら旅館を後にした。
盛岡からは100kmほどしか離れていないのに、なんだかとても遠くに来たような湯瀬温泉。
まっすぐ伸びる線路の先に、望郷の思いを馳せる。
とは少し大げさか。
さて、お家に帰ろう。