久しぶりにちゃんと化粧をして、ちょっとおめかし。

寒空の中向かったのは、辻井伸行のショパンリサイタル。

辻井君、好きです。

ピアノももちろんの事、純真でユーモラスな人柄が魅力的。

そして究極のベビーフェイスが何とも可愛くて可愛くて。

演目も大好きなショパン。期待で胸がいっぱいで、開演前に珍しくCDを買った。


早めに席に着いたから、始まるまでがとても長い。

会場の明かりが落ちて、満を持して辻井君登場。

お辞儀深いなぁ。

何度も何度も椅子の調整をして高まる緊張感。

調整に納得して、始まった演奏の最初の一音を聞いた瞬間に、「これだ」という妙な安心感安堵感。

次いでまるで映画を見ているかのような臨場感。

以前彼のリサイタルに行った時、ドビュッシーの演奏を聴いて、童話や御伽話の中に入り込んだような感覚になった。

それまでドビュッシーについては「綺麗だな」くらいしか思わなかったのに、彼の演奏で好きになったのを思い出した。

音がオーロラみたい。


今回の演目の中で、私が一番期待していたのはエチュード。

中でも「第4番嬰ハ短調」と「第12番ハ短調革命」を彼はどのように弾くのかな。

本当に楽しみに聞いたその演奏は、

まるで、炎だった。

あんなに丁寧で優しい音も奏でるのに、多少音を間違っても物ともしない力強さで曲を紡いでいく。

燃え盛って迫ってくる…!

素晴らしかった。辻井君のショパン、とても好きだ。

エチュード最高!と満足していたが、その後の「4つのバラード」もまた素晴らしかった。

なんでこんなに切ないの。



演奏が終わった時、会場が一体になって拍手をしていて、もう何だか胸がいっぱいだった。

鳴りやまない拍手に、なんと3曲もアンコールで答えてくれた辻井君。

「ノクターン」、辻井君作曲の「風の家」、そして「ラ・カンパネラ」。

何となく、辻井君と言えばラ・カンパネラ。彼にとてもよく似合う。

それでも鳴りやまない拍手に、舞台に再来してくれた彼は、深すぎるお辞儀を何度もして、ピアノに触れた。

また聞ける!とみんなが期待した瞬間。

…ソッ…パタン…

とピアノのふたを閉めたのでした。

あはは!もうおしまいなのね!わかったわかった!

と会場にいる全員が笑った。


出来れば時間を戻してもう一度最初からリサイタルを聞きたい。

そのくらい素晴らしい劇的なショパンだった。

心に溜まったヘドロが燃えつくされた。

ありがとう~辻井君。

もう君に夢中☆