日々が、矢のように通り過ぎていく。


ついこの間、「寒さの本番は2月だから、まだまだ冷えるよ」なんて言ってたのに、


いつの間にか3月も後半に差し掛かっている。



先々週末にバイクを解禁した。


小手調べに少しだけ走ろうと思った。


冬が矢のように過ぎたから、相棒に跨って高揚感はあれど、違和感は感じなかったのに、

セルを回した瞬間に鳥肌が立った。


バイクのエンジンはこんなに力強かったのか。


腹に直に響く逞しい振動。


冬にバイク乗れないのはデメリットばかりじゃない。


何年たっても春に相棒を始動させればその魅力を再認識する。


何年たっても飽きることを許さない。


そんな毎春。



結局ちょっとだけ走るつもりが気付いたら50km走ってた。


素晴らしかった。


林の中、斜陽が差し込んで影を作り、視界は不規則なボーター模様。


不規則にキラキラと輝いて、天国みたいだった。


一面の雪原のすぐそばを、寒さを感じることなく駆け抜けた。


頬が下がる瞬間がこれっぽっちも無かった。


「バイクがないと生きていけない」って、心底思った。


相棒に負けないくらい、私も力強くなった気がした。




その2日後、恐ろしく狭い等圧線を描く低気圧が訪れて、盛岡はまた冬に逆戻りした。



泣いた。





それでも、何度も何度も行ったり来たりしながら春はちょっとづつ姿をあらわしてきている。


仕事を上がる18:00、まだ空に明るさが残るようになってきた。


ヒーターの設定温度を上げないと、室内温度に追い抜かれて止まってしまうようになった。


春だ!



今年はどこに行こう。


何をしよう。


早く決めないと、また矢のように通り過ぎて行ってしまう。



なのに何だかからっぽだ。