パタパタ… パタパタパタ……
ああ、また飛び立って行ってしまった。
飴色に変色した三つ折りのレザーウォレットから、彼が。
そばにいてよ。心細いよ。
そして彼は、ヘッドライトとブレーキパットに姿を変えて帰ってきた。
先々週だったかなー、点検したの。
その一週間後か、夜に走ってたらやたらと暗いって気づいたのは。
え、このタイミング?って思わず相棒に声かけちゃったね。
そんなお年頃の相棒。
今日もたくさん言われてきた。
そういう時期だもんね。
……
あら?このバイク屋の兄さん良く見たらかわいいじゃない。
まだあどけなさがあって、なのに働く男の手をしていていいわぁ。
そうねそうね。たくさん心配な部品があるからマメに来るとするわ。
私もそうゆうお年頃。
だからまた、三つ折りのレザーウォレットには心細い思いをさせてしまうの。