ジーンズに革のベルト、メディスンバックを腰に付け、革ジャンに袖を通す。

今日の手ぬぐいは…阿波踊り手ぬぐいにしよう。

首に阿波踊りが結ばれる。

準備完了。

ヘルメットを片手に家を出た。

何故か歩き方も勇ましくなる。

相棒に跨がり、颯爽と走り出した。


455号線に乗り、喧騒を離れる。

直ぐに始まる峠道。

カーブ、カーブ、登り坂。

まだ雑念があってトリップしない。

どんどん走る。

今日はツーリングの気分じゃなかったか?

随分走った頃、左手に見え出した景色。

まだ若々しい葉色の木々の隙間から、さざ波を浮かべるみなも。

来た!来た!!

やっと『バイクで走ってる』感覚だ。

急に視界が開けた様だ。

ふさふさと産毛みたいな山がかわいい。

白樺の眩しい幹、鮮やかな葉っぱ、大好き。

アクセルを開く。

流れる、流れる。

立体の絵画。瞬間の絵画。

緑映の中道を伝う。


ライダーの定番である岩洞湖のレストハウスへピットイン。

ズラッとならんだバイク達。

その一番端にバイクを停めた。

いや、壮観。

30台くらいいるだろうか。

缶コーヒーを買って、湖岸で一服。
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 チュピチュピ ホーホケキョ
 サワサワザワザワ

何て穏やか。

いつも足の下にあるアスファルトとは違う、フカフカした土の感触。

柔らかくて、踏み締めてる実感が湧く。
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最近はまっている写真をたくさん撮って、命の洗濯。

一応病み上がりなので、折り返して帰路へ着く。

太陽が眩しい。

だけど、木陰に入ると肌寒い。

そんな当たり前の事も新鮮。

胸いっぱいに空気を吸い込んで、若葉の匂いを味わう。

ふと、ミラーを見ると、見ず知らずの大型スポーツバイクと千鳥走行中。

一緒に走ってる訳じゃないのに、千鳥っちゃう所がライダーのいい所。

不思議なもので、分かれ道で二手に別れるときは寂しい。


また喧騒の中へ帰ってきた。

けれど、ツーリングをしてきた私は、何かとてもかっこいい者になっていて、
同じ道を走っても、かっこよさが全然違う。

自信満々になって帰宅した。


おっしゃ!!明日からまた頑張れる。