父の葬儀は、花に囲まれてとても美しかった。

「クリスチャンは死んだら天使になる」って、知り合いのクリスチャンが言ってた。

父は天使になった。


葬儀が終わり、日常が帰ってきた。

病院にも行かない日常。

まったく実感が無い。

病院にまだいるような気がする。

死と父が結び付かない。

もう会えない実感が無い。

でも数日前から、毎晩夢を見るようになった。

病院にいる父。

夢の中で、「父はお骨になったじゃないか。」と気付き、悲しくて泣く夢。

「父はもう居ない」と、夢で気付く。

夢の中ではどうしようもない悲しみが私を襲う。

現実では、うまくいかない仕事に心が持って行かれてる部分も多くて、余計に実感が湧かないのだろう。

あの夢での悲しみが、いつか現実にも襲ってくるんだろうか。

母は、姉は、大丈夫なんだろうか。

生活時間がずれていて、あまり話しが出来ない歯痒さ。

うまく出来ない仕事への歯痒さ。

背後に見える巨大な悲しみ。


夢は身代わり。

少しずつ私に覚悟を植え付ける。


余命宣告を受けた時お父さんが言った。

「おまえが頑張らなきゃ、俺も頑張れない。」


お父さんは頑張って生き抜いた。

私も生き抜く。