足踏み足踏み

時間の上を足踏み足踏み
踏み潰して足踏み足踏み

先に進みたいけど、進みたくない進めない

足踏み足踏み


何にも変わらない。

変わってるのに変わらない。

簡単に抜けるディフェンスですら私を立ち止まらせる。

だって私のオフェンスはディフェンス。

攻める気の無いただのお飾り。


例えば、就職。

震災を受けて、今の職場では生活していけなくなってしまったから、転職しようと思ってる。

なのに、オーナーからの引き止めや、退職した社員の穴埋めなんて言う、

呈の良い言い訳に言いくるめられてちっとも進んでない。

結局、やっぱり、条件は変わらないのに、何だか居座ってしまっている。

この仕事は好きだから、切り替えが鈍っているけど生活できないんじゃ意味が無い。

預金はもう底を着く。


例えば、たった一声。

何度も何度もシュミレーションして、掛ける言葉を用意していたのに、

目を合わせる事すら出来なかった。

後ろから聞こえる柔らかい声に振り返りたかったのに、
体が言う事を聞かなくて、
私は結局、手足を同時に出して歩いてるみたいな挙動不審さを露呈しただけ。

髪型、変えたんですね。

素敵ですよ。

なんて、目を見て言える頃にはしわしわになってるかも。


そんな事を考えながら、足踏みの達人のくせに闊歩していたら、昔、恋仲だった人に偶然会った。

20代半ばの恋は、無謀なほどの若さでもって欲しいモノを手に入れてた事を思い出した。

その勢いを無くしたのは、「大人になって落ち着いたから」って訳じゃない。

仕事も恋も恐ればかりが膨張して、
自己流のカタルシスに逃げ込んで、小さくうずくまりやり過ごすのに長けてしまっただけ。

自分のふがいなさにやり切れない。

なんて考え込んでたら、うじうじ警報が発令された。

このままじゃ酒に逃げてしまいそうだ。

頭の換気をしに、恒例の岩山展望台へ行こう。

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今日の岩山は霧がかかっていた。

薄い霞みが、視界と距離感をオブラートに包み、

また、逢魔ヶ時と夜の狭間で揺れる街の営みが、今が奇跡なんだと叫んでいる。
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思惑通り。

霧を乗せた風が私を通りすぎる時、頭にかかる靄ごと連れ去って行った。



そう。

足踏み足踏み

地が固まるように、足踏み足踏み

歩き易くなる様に足踏み足踏み


変わらないようで変わってない事なんか無い


足踏み足踏み


もう充分歩き易くなったんじゃない?



ほら!考え込むくらいなら歩け!!ちん!!!