昼前、私は相棒に跨り一目散に雫石の道の駅『あねっこ』を目指していた。
寒いのは分かっていたから、初めから中綿入りのジャケットを着込んでいたが、
それでも足りず雨も降っていないのにカッパを羽織る。
何度も何度も通ってる46号線は快走そのもの。
しかし、トレーラーに行く手を阻まれ、抜くに抜けずに道の駅までの数㎞はゆっくり。
この時抜かなかったのが少し仇に。
カッパまで着た寒さフル対策だったのに、凍えながらの到着。
「寒…」とつぶやきながら、ヘルメットを脱ぎ、グローブをはずし、タバコを探しまさぐっていると、
「ちんちゃん!!」
顔を上げると、ミサトちゃん。
そしてもう一人、はじめまして…のケニーさんの旅友達、キャプテン(船長)。
※何故に『キャプテン』かは後述。
「心配したんだよ!!」
どうやら私、随分遅刻した模様。
「ごめ~ん!!(にやにや)」←反省していない。
「まあ笑ってそう言えるのならいいけど。」
でへ。
今日は3人でツーリングの約束をしていたのだ。
しかし、天気が今ひとつで、キャプテンご希望のアスピーテは厳しいかも…。
「どうする~?」と相談した結果、お腹も空いてるしもう一つの候補だった田沢湖にとりあえず向かう事にした。
先頭はもちろんミサト先輩、真ん中にキャプテン、しんがりは私が勤めます。
しゅっぱーーーつ!
道の駅の先に進むと、峠の難易度としたら決して高くない仙岩峠。
「心地よい」と感じられる勾配とカーブに、
信じられないほど深い山の谷あいを渡る橋が数珠のように繰り返される。
寒いという事は横によけて置いてたけど、長い長い仙岩トンネルに入った時のほんわりした暖かさがありがたかった。
そしてあんなに苦手だったこのトンネルが、全然平気になっていた。むはは。
トンネルから抜けると寒さが際立った。
走っていると、それぞれのバイクの排気音が重なって、すごくかっこいい。
一番後ろの得点は、全員の排気音を堪能できる所じゃないかしら。
私が先頭だったら、間違いなく道を間違えていた。
迷いもせずにミサト先輩が田沢湖にいざなう。
遠くに湖が見える。ひゃっほー!到着ー!!
まずは腹ごしらえにレストハウスへバイクを着ける。
ミサトチョイスで、近頃デビューしたらしい『B麺』なるそば?うどん?をいただく。
『田沢湖B麺』の『B』は
・日本一深い田沢湖ブルーの『B』
・美しい田沢湖beautifulの『B』
・B級グルメの『B』
だそうで。
私とミサトちゃんは、シンプルにきつねB麺。
麺はきしめんみたいに平べったくて真っ白。
さっそくズルズルとすすると、もっち~~~~!
きしめんとも違うもっちー感。
しかも麺類にしては珍しくお腹に溜まる。
クセもなくっておいし~ね~~♪
これを見たミサトちゃん「サラダが付いてる!!」
と、なにやら重大な損失でも受けたかのような反応をしていた。
このお食事中に、簡単な身の上話。
はじめましてのキャプテンの素性を探る。
ケニーさんとはキャンプ場で知り合ったというこの旅ライダーは、今現在は宮古にて船の学校に通っているそうな。
ほほーう!!じゃあ将来はキャプテン(船長)なんだ!!
じゃあキミは『キャプテン』だ!!
という安直な思い付きによりあだ名がキャプテンに決定したが、本人まんざらでもなさそうだ。
とっても謙虚な感じのするキャプテンですが、胃袋は鋼鉄の模様。
B麺の他にラーメンも平らげ、さらに味噌きりたんぽもむっしゃむっしゃと頬張っていた。
さすがメンズ。
次どこ行こうか~と相談してたら、またまたミサトちゃんからナイスアイディアが。
「この近くの潟分校っていう廃校で、体育館使ったりして遊べるよ。」
はいそこに決定!!!やだ~チョー楽しそうじゃぁん♪
出発する前に、レストハウスの裏で飼われている秋田犬に会いに行った。
ふ・お・お・お・お・お…か、か、か、かわいいぃ…(身もだえ)
のそ、、といまいちやる気のない気だるい動きにまたくすぐられる。
もんのすごいもみくちゃに触りまくりたい所だけど、おさわりはNGだった。
生殺し。
その後ろには美味しい美味しい比内地鶏が、コッコ言っている。
美味しくいただいてしまってましたが、あなたたちもかわいいのですね。
お世話をしているらしいおじさんがたまたま来たから、なんと雛にエサをあげる所が見れた。
みじん切りした野菜に群がる雛たちは、すごいちいちゃな声で「ぴよぴよ」言ってて、
真っ黒なお目々がつやつやしてて、食べちゃいたいくらいかわいかった。
実際きっと食べちゃうんだろう…。
でもこの子たち実は烏骨鶏。
今年何故か卵をあっためなかった比内地鶏たちの変わりに、大人になったら卵をあっためるんだって。
お人よしだなあ。
ちょっと覗くつもりが、思いのほか楽しくて長居してしまったぞ。
さあ、潟分校へ行きますかー!
って、雨~~~っ