【6/3 終わり頃】



コンビニの後ろから夕焼けが見えた。


昨日の夕陽とは大違いだけど、雑然とした街中の夕焼けは際立って美しい。


いよいよ暗くなる。


そして、いよいよ盛岡に近くなる。


先頭をミサト先輩に預けて、後ろをついて走った。


このテールをずっと見てたなあ…。



走りなれている4号線では現状把握もお手の物。


もう少しで、道の駅石鳥谷がある。


きっと寄るな…。


「寄りたい」の合図は出さなかった。


でも、案の定、道の駅入り口でウインカーが点滅した。


道の駅の広い駐車場にバイクを並べて停める。


「多分ここが最後の休憩になると思って。」


うん。私もそう思ってた。


バイクに寄りかかりながら、網地島での事、次のツーリングの事などを話してた。


そしたら、話がどんどん膨らんじゃって、どんどん枝を増やしちゃって、

どんどん話したい事が出てきちゃうものだから、

ずっとその場から動けない。


あんなに一緒にいたのにね~。これが女の子なんだね。


カスケード

たくさんおしゃべりをして、喉がカラカラになった頃、時計を見たら、もう1時間以上経っていた。


うわっ!明日からまた仕事なのに!!


「また走ろうね!」


と約束をして、道の駅を出発した。



程なく、盛岡市到着。


ミサトちゃんが先に4号線から離脱する。


別れの交差点の赤信号で「ありがとう!」と最後の挨拶。


青信号に変わり、私達は各々の現実に帰った。



相棒と二人、自宅まで最後のツーリング。


今はもう、早く家に帰りたい。


楽しかった思いを抱えて、部屋で反芻してまどろみたい。



長かった2日間の小バカンスの終わり。


ヘルメットを脱いで、部屋のソファーに体を投げ出し、


網地島で買って飲みきれなかったビールの残りをたいらげた。



二人旅。


これに必要なのは相方との相性。


全然気を使わせずに、自由にほったらかしてくれたミサトちゃんに感謝。


他の人と行ったらきっとまた違う網地島。


今回のバカンス、一緒に行けて、本当に良かった。



そして、このツーリングで、私の中の何かに、ポッと光が燈ったのを感じた。



それはまた、別のお話…