四柱推命の古典である『滴天髄』には、
「吉凶の気、命に潜む。中和を以て貴と為すも、偏全(偏り)また奇を成す」
という文言があります。
ー日本語訳ー
人生の幸・不幸の種(吉凶の気)は、
すべてその人が生まれ持った宿命(命式)の中に潜んでいる。
五行のバランスが取れた「中和」の状態を最も素晴らしいとするのが基本ではあるが、
一方で、特定の五行に極端に偏りきっている命式であっても、
それはそれで非常に卓越した個性や非凡な運命(奇)を成し得るものである。
五行に偏りがなく、まんべんなく揃っている命式は確かに美しいです。
彼らは多くの場合、穏やかで平和な人生を送ります。
しかし、時代を切り開くような強烈な成果や個性を発揮することは稀です。
(古今の偉人の命式を紐解けば、それは明らかでしょう)
ここに一つの命式があります。
非常に極端なエネルギー構造を持った、カッコいい命式です。
年→→時
庚甲庚乙
寅申寅酉
…この命式には金(自分)と木(財)しかありません。
更に、この人は紫微斗数でみると
遷移宮がD-D破格(生年化忌と自化忌が同宮する状態)。
確かに、四柱推命で見ても地支の「申―寅」の冲や、
命式のあちこちで起きている「金剋木」の激しさは、
内面に大きな葛藤を生む構造と言えます。
でも、私はこれを「悪い命」とは思いません。
「万人受けする器用さ」を捨てた代わりに、
「圧倒的な突進力・度胸・現実的な成果をきちんと回収する(乙庚干合)強さ」
に全振りした、力強い命式だと思います。
だから
欽天四化のエライ先生が言うように、
「命遷線のD-D破格は最悪の命」
と一言で片付けてしまってはイケナイと思います。
多くの命盤を看てきてしみじみ感じることですが、
紫微斗数が示しているのは
「器の大きさ・社会的な成功度」なんかではありません。
「命盤」は、本人の「心の風景・葛藤の在り処」を示す星図なんです。
したがってこの場合の「D-D破格」が表すのは
「器の小ささ」ではなく、
「葛藤の多さ・密度の濃さ」に他なりません。
豊富な文献が揃っている四柱推命と違って、
紫微斗数には「紫微斗数全書」くらいしか確かな古典籍が残っていません。
あとは「秘伝・口伝」の類ですから、信が置けない。
根拠が足りない。
だからこそ、斗数単体で判断するのには限界があります。
四柱推命と併用して初めて、
細かい星々の本当の働きを正確に理解できる——
現在の紫微斗数研究は、
まさにそうした
「検証と再評価」のフェーズに来ていると感じています。
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