Loose-Leaf
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少女と女

シーラは軽快に坂を上っていった。


「風に~誘われ~花びらが舞う~♪続く~道は~扉への道~♪」



その先に待つは 我らの希望

風よ走れ 木々を揺らせ

風よ踊れ 鳥が飛び立つ




「ふぅ~」


坂の頂上までくると、シーラは振り返った。

風がサアッと吹いた。

「わぁ…」


そこからは町全体が見えた。色とりどりの屋根、白い教会が真ん中にポツンと建っている。町並みの向こうには青くキラキラと輝く海が見えた。


「素敵…ステキステキステキ!!」

シーラは興奮が止まらなかった。

「本当に冒険が始まりそう!」

少女と女

バス停につくと、シーラはストンと丸太に座った。

バスが来るまで40分もある。

シーラは足元に生えていた花を摘んで、花びらを1枚ずつ取っていった。

「1…2…3…4…」

花びらがヒラヒラと風に流されていく。

ふと、シーラはバス停の横の坂道に目をやった。

その道の先には若葉色の木々がサワサワと揺れ光っていた。

シーラはパッと立つと、お尻をはたいてスカートについたゴミを払い除けた。

「よしっ!」

シーラは楽しそうに坂を上り始めた。


「さぁシーラ、冒険の始まりだ!」


少女と女

「…そうだった…」

図書館の入口の前で、呆然と立ちすくむ少女がいた。

「今日は月曜日だ…」

彼女は髪の毛を掻きむしった。





彼女の名前はシーラ。本好き、物語好き。少々物語の中にのめり込み過ぎなところもあるが、ごく普通の女の子だ。

学校が休みとあって、シーラは図書館に向かった。





「することなくなっちゃったなぁ…」

シーラはトボトボと、もと来た道をバス停に向かって歩いた。

「この前借りた本は読み終ったし…。家に帰ったって、煩いのがいるし…」

シーラは弟の顔を思い浮かべて溜め息をついた。