11月3日。良く晴れた祭日。お洗濯だけじゃもったいないと、お昼近くになってお出かけした。
 横浜に来て3年目になるのに、未だ海というものを拝んでいなかったので、一先ず三浦半島方面に向かってみる。保土ヶ谷バイパスから山間の横浜横須賀道路を南に進み、横須賀ICを過ぎると徐々に視界が開け家並みが増えきた。

 終端まで走って浦賀ICを降りると前方に真っ青な空間が広がった。突き当り馬堀の海岸通りの向こうに鮮やかな碧い海原と行き交う様々な船。活気のある東京湾の風景が飛び出す絵本のように迫ってくる。年甲斐もなく心躍ってしまった。右に折れれば間もなく観音崎だ。公園内の駐車場は既に満車。ゲート前には行楽客を乗せた車が3台も待っていた。20分ほどしてようやく駐車完了。早速園内散策に出る。
 砂浜の海水浴場付近では、家族連れがバーベキューを楽しんでいた。磯辺から突き出した岩場には釣り客もいる。寄せる波の音を聞きながら遊歩道をひとしきり歩くと灯台への登口があった。

 つづら折りに続く古びたコンクリートの階段は案外骨が折れる。汗を掻きながら休み休み歩を進めてようやく丘の上にたどり着いた。
思いの外小さな灯台ながら、ちゃっかりと拝観料。あくまでも「お気持ち」という割には窓口にはしっかり寄付金300円と案内されていた。それでも見晴らしは良好。息の上がった嫁はすかさず気付けのオロナミンCをやっている。さっそくお定まりの記念撮影。折角なので塔の入り口を入って螺旋階段をぐるぐるとひたすら登って行くと、展望デッキは手すり一本の細い回路だった。小心な嫁は、後から来る客に押されるように踏み出したものの、案の定怖気づいて「こわい~!無理~!」と一目散に退却してしまった。

  

 

  

 再び遊歩道までの長い階段を下って、そこから500m程歩いたか、ようやくレストランにたどり着いた。灯台までの往復も含めれば結構な運動。もう既に午後2時を回っていた。店舗のエントリー脇には三組ほどの先客が席の空くのを待っていた。

 15分ほどして、海を見渡せる席に通された。目前の眺望を存分に楽しめる最高のロケーション。メニューは思いの外凝っていて、しらすを押し固めてこんがりと焼いたステーキや濃厚なブイヤベースのソースが掛かったポークソテー、といった具合にちょっと風変わりなイタリアンだった。デザートのプリンに至っては、コッコちゃんという鶏をかたどった容器に入った生の卵黄をクリームの上に落として混ぜる代物だった。お味は悪くないのだけれど、食べ慣れないせいか今一つ腹落ちしない。嫁が不思議な顔で見つめているので、もっとベタな洋食でも良かったかもしれないと思った。それでも東京湾の素晴らしい景観は、およそ1キロのウォーキングで得た疲労と、積もり積もった日常のストレスを十分癒してくれた。
 3時過ぎ、海岸通りをショートカットして駐車場に戻り家路についた。道々徐々に日が陰ってきた。そうしてやっぱり行楽帰りの渋滞に見舞われた。それでもさほど気にならない。久々の満足感が遥かに勝っていた。