少し前にね、コスプレばっかりの画像をのっけてる男の子をみて。
私は、ふと思ったのです。

楽しそうだなぁ。
楽しんでるなぁ(笑)

なんだろね、それから、気持ちがなんか変わってきて。
今まで自分が中途半端にしてきたとこは、全部アカウントを消してきた。

楽しもう。
自分のブログ。
まず、自分が楽しもう。

小説も、まず自分が楽しもう。
きっと、楽しんでないから、中途半端になっちまうんだ。

って思ったら、速攻行動したくなった。


ブログを、大幅にリニューアルします。
基本は、小説。
あと、本と映画のコーナー。
ニュースのコーナー。
音楽のコーナー。
もう、囚われず。
やりたいように(笑)

自分の好きなもの、並べる。

プライベートは、暗号(笑)
暗号は、解読しないと読めないし。

なんて考えていました。



心機一転
自分の皮を捨てて?

また動き出そうか

いっそ

男も女もなくしちゃって

空想家でいい訳さ

ここにいる間は

そうそう

なんちゃって作家(笑)

気分だけその気


その後、他愛ない話をしていたら、今日子さんの娘さんから電話が来て、飲み会はお開きになった。
娘さん、佳乃(かの)ちゃんって名前らしいんだけど、今中学二年生なんだって。


娘さんの方から、そろそろ戻って来いっていう電話だったらしく、今日子さんはちょっと照れたように、
「心配するから、早く帰れって怒られちゃった。逆だよね」
と笑った。


離婚してから、働きに出た今日子さんの代わりに、家事を娘さんがするようになったらしいの。


しっかりしててよく叱られるの、と言う今日子さんの顔は、その割りにはなんだかとても嬉しそうだったな。


そうだよね。
叱ってもらうのって、なんか嬉しい。
それって、愛情の一つなんだよね。
どうでもいい人を、叱ったりしない。


私が今日子さんに言った事も、もちろん今日子さんを思ってだ。
そうなんだけど、朝起きたらメールが入ってて…。


今日子さんからね。
受信したのは真夜中だから、夜中まであれこれ考えてたのかしら?


内容は、SNSでも、いい人は沢山いるんだよ、って。
あと、ガッカリさせてゴメンね、とあった。


…。
今日子さん、思ったよりずっと繊細な人だ。あたしの表情、ちゃんと読んでたんだね。


あたしは、慌ててごめんなさいのメールを送った。
そう言うつもりで言ったんじゃない。
あたしは、今日子さん好きだからって。
心配して言った事なんだって。


確かに、何でだろうな?
とは思ったけど。


あ 今日子さんはすぐ、ありがとうって、メールを返してくれた。
やっぱり、繊細だ。


その日、職場に行くと今日子さんは、昨日と同じ優しい笑顔で、
「おはよう」
って言ってくれて、あたしは少し気持ちが楽になった。

でも、次の瞬間憂鬱になる。

「今日は、午後一は私は会議室の清掃に入るから、まどかちゃん社長室お願いね」
「えーっ!一人ですか?木村さんは?」
「あら、あたしは、社長室はパス!雑だから物壊しちゃうかもしれないし、パートだもーん」
木村さんが、笑いながら顔の前で大きくバツを作る。
そんなぁ~。


「大丈夫よ。昨日見たけど、まどかちゃんお掃除ちゃんとできてるよ。あそこは、そんなややこしくないから、普通に綺麗にすれば問題ないわ」
軽く、今日子さん。
いや、あれは今日子さんが来る前に、社長にあれこれ言われたからで…。
あ、ちょっと待って、またあの社長がいたら、どうするの?


そんなあたしの不安をよそに、
「心配ないって、社長な滅多に社長室に居ない人だから。忙しいくて会社にもほとんどいないのよ、たまたまじゃないかな?」
て。

そうなの?
いやいや、やっぱり無理だよ。

でも、結局そのままで話が終わってしまった。
何故なら、木村さんが、
「ちょっと、今日子ちゃん、まどかちゃん、これどう思う?」
って、おもむろにスマホ取り出したから。
彼女が見せてくれたのは、コミックのダウンロードサイトだった。


「これって…」
あたしは、ちょっと言葉に詰まる。
「娘がさ、読んでるのちらりと覗いたのよ。最初は、少女漫画と思ってたんだけどね」
木村さんは説明しながら、アプリの方を開いて、コミックも見せてくれた。


あ…。
やっぱり…。

「いわゆる、TLコミックですね」
あたしが言うと、
「何それ?」
今日子さんが聞いてきた。

「ティーンズラブコミックです。その、まあ、ちょっと過激な内容で…」
「そうなのよ、読んで見てびっくり。AVみたいな内容でさ。娘が心配になっちゃった」
「そうなんてすか?」
今日子さんが、木村さんのスマホを手にとって、コミックを読む。


今日子さんとTLコミックの組み合わせが、なんともピンと来なくて、思わす笑ってしまった。


次第に、今日子さんの表情が変わる。
ちょっと、驚いてる感じ。
まあ、そうよね。
ティーンズラブなのに、なんともまあ、すごい内容多いから。


「こんなの、最近の子供は読んでるんですか?」
心なしか、顔を赤らめて今日子さん。
あたしと木村さんは、思わずじっと今日子さんを観察してしまって、なんとなく顔を見合わせた。


いや、どんな反応するのかなって!
気になるじゃん。
真面目で爽やかな今日子さんでしょ?バツイチ子持ちと言われても、どっか少女みたいな雰囲気あるし。


「うーん、健全とは言えないわね」
今日子さん、しばらく困った顔で考えた後、そう言った。
「ですよね。エロコミックは昔からあったけど、ここまでじゃないですよね。実際こんな事があったら、大問題な訳で」
あたしが言うと、木村さんが大きく頷いた。


「そうでしょ?若い女の子が、次々とイケメンの男に襲われてさ、それを嫌がりながらも、よろこんじゃったり。段々目覚めていって、気持ち良くなってくのよ。こことか、ちょっと聞いてよ」
って、コミックを読み上げる木村さん。


うわっ、そんなリアルに読み上げて。
あ、今日子さんが、見る見る真っ赤に…。
「わっ、木村さん、木村さん」
止めようと思ったけど、どんどん読み進めるもんだから、ついに今日子さんは耐えられなくなってか、
「ありがとう、木村さん。もう、分かった」
ストップをかけた。


「あら、そう?」
木村さんは、全然平気そう。
本当に心配してるのかな?


娘さんを心配してるって言いながら、今日子さんからかってんじゃないかしら、と疑うあたし。
いや、絶対そうだよ。
楽しそうだもの。


「思ったより動揺しないのね、まどかちゃんは」
あたしの方を見て、ちょっと面白くなさそうに、木村さん。
「たまに、読みますよ。もっと、ほのぼのした純愛系ですけど。まあ、それでもエロいけど、無料だとつい、暇つぶしに」
って、笑う。
まあ、実際あり得ない話しばかりだから、現実感ないしね。


「今日子ちゃんは、ダメよねぇ」
「わっ、私だって、AVくらいは見た事あります!」
今日子さんの言葉に、思わず飲んでたコーヒーを吹き出す。
「あら、どんなの?」
ニヤニヤしながら、木村さん。
もしかして、何時もこうやって、からかってるのかしら?


「どんなのって、色々、温泉宿の一夜とか」
ゴニョゴニョ言葉を濁す今日子さん、案外負けず嫌いなのね。
つい、あたしも笑ってしまう。



「とにかく、子供も産んだんだから、大丈夫です」
あはは、無理してるぽい。
やっぱり負けず嫌いなんだなぁ。
ちょっと可愛いとか、歳上のお姉様に向かって思ってしまった。


「はーい、あたしは、お子ちゃまですよ。彼氏に振られて、一週間無断欠勤したくらいだし」
「あら、まどかちゃんそうなの?」
木村さんの目が、キラリと光る。
こちらは、噂好きだ。


「そうなんです、恥ずかしい話しで?」
「まあ、そんなけ恋が出来るって、いい事よ。若いからできんのよ。あたしなんか、亭主見てもムラムラもしないわ」
「私も、男性見てムラムラはしませんよ」


苦笑して言う。
ムラムラって、男じゃないんだから。
ドキドキはするけど。


「はい、もうおしゃべりはおしまい!時間になりました。木村さんは、事務所よろしく!まどかちゃん、行くわよ」
今日子さんが締めるように言って、私達はそれぞれの持ち場に向かった。