渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba
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240612

湿気の中から蚊が湧き出して

二の腕と首を吸った

それはもうそのままにしていた

掻いて膨らむ皮膚を眺めた

 

ボールペンを手のひらに走らせ

甘く苦い匂いに連れられて
インクは父親そのもので

 

意味が意味をなさない沃野の

解釈から遠く隔たったところへ

行けるものだろうか

才の程を知らずに望むならば

 

その果ての砂漠に小さな小箱があって

湿気はそこから出ていた

霜や霧や海になり損ねた

星になり損ねた砂と

勇気になり損ねた愛情と同じように

 

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