とにかく夢中で回した1時間。
人生で最初で最後かもしれないアリーナは、初めて尊敬する先輩から、渡してもらった曲を繋ぐ経験でもあった。
DAIKIさんが回されていたときのBPMは152だった。プレーされる前、いっとき、人が半分もいなかったフロアはパンパンで熱気で溢れていた。流石の素晴らしいプレーで、まるで魔法のように、どんどんフロアに人を集めていた。僕は感慨深い想いで眺めていた。
僕に交替で曲を渡してくれるとき、ミキサーが壊れていてモニタリングできないので、一旦切って繋ぐようにとおっしゃって、非常に驚いた。
全くモニタリングできない中で、DAIKIさんはフェーダーを上げながら、微調整して、機材トラブルをおくびにも出さず、最高のプレーをしていた。
敬意と共に、それが自分にできるかと思い、少し身震いした。
やるしかない。
僕は始発目指して帰る人が出始める4:30過ぎからのプレーだった。
偉大な先輩の渡して下さった熱気を冷まさずに、最後までお客さんを自分が残して楽しませることができるBPMはそのときの感覚で132だった。
僕はエコーアウトから、歌から始まるダッチハウスをかけた。
次の曲のモニタリングをしても、本当に何も聴こえなかった。
ただ、次の曲を選んで、演奏して、それをやるしかなかった。
そこからは1時間ただ夢中で曲を選んで繋いで、最後まで帰らないお客さんが楽しんでくれるようにプレーすることだけ考えた。
最後の一曲をかけて、曲をフェードアウトさせたとき、アンコールの歓声が会場から沸いた。
初めての経験だった。
僕は戸惑ってPAさんに確認した。
すると笑顔で、
「一曲くらいいいんじゃないですか」
とおっしゃっていたので、最後に一曲かけた。初めてアンコールで曲をかけた。
その場にいた人達がZEDDとかリクエストしていたので、Rudeをかけて、締めくくった。
アンコールの曲の後は拍手が沸いた。よかった、最高だったと歓声が聴こえてきた。
なんとか1時間やりきった実感が少し沸いた。
お客さんはそれなりに帰ってはいたけど、最後まで残ってくれた多くのお客さんは、みんないい表情、いい笑顔だった。
そんな1日を本当にありがとうございました。
次またここでできるかは全くわからないし、最初で最後かもしれないけど、素晴らしい経験ができた。
この日に関しては、DJ以外のことで、とてつもない挫折もあるし、泣きたいくらい悔しい失敗があったこともあり、沢山の想いを背中に抱えて、このステージを一旦降りることになった。
また、戻ってこれるように、挫けそうなことも乗り越えて、改善して、失敗を繰り返さないように、ただ前に進むしかない。
最初の自分には何もなかったのだから。
末尾になりますが、DJをやっていて、生きていて、こんな経験ができて、機会を下さったDAIKIさんをはじめ、関係者の皆さんに深く御礼申し上げます。
誠に有難うございました。
KENLOCK

