海のそばで育った。常に海を眺めていた。それが当たり前だった。

 漁師の息子で、海なしでの環境は考えられなかった。いつも海のにおい、漁網の干したにおい、トロ箱のにおいと共にいた。

 海へ行けば魚はもちろんのこと、何かある!何かいる!というワクワク感も常にあった。魚は毎日のように食卓に並び、その日のうちの刺身は当然のこと、エビ、カニも頻繁に食べていた。

 (芝エビのから揚げ、大量だった! ワタリガニもよく食べた)

 

へたくそだが、簡単な釣りも覚えた。

 竹竿で針を付け、ゴカイ(イソメ)をえさにすれば何かしら釣れた。近くにいりこ工場や養殖のエサ保管庫があり、撒き餌にもこと欠かず、魚は常に泳いでいる姿を目にしていた。

 現在は近くに磯場があり、ミナ(イシダタミガイやバテイラ、イボニシなどの巻貝)、カタカイ(マツバガイやヨメガカサガイなどの1枚貝)、カメノテを食している。(ウニやサザエ、トコブシなどは磯焼けのため、激減したが、)

(バティラとマツバガイ おいしい!)

 

 夏になると学校にはプールがあったが、海でも泳いだ。海水浴場もあったが、家の近くの海岸へも泳ぎに行くこともあった。食べはしないが子ガニなど小動物を採り、遊んでいた。(漬物や煮干しなどで非常に簡単に釣れた)
  
 そんな生活だったから、海なしでの生活はあまりイメージがなかった。山などの自然も大好きだが、海から遠く離れて山間部に入ると、なぜか閉塞感を感じてしまう。今でも旅行に行くとそう感じ、海を見つけるとホッとする。

 一方で「怖い」とも思う。

 幼い頃は怖くて泳げず、溺れたことがあった。また、大きな一波で流されたり、陸に叩き付けられたりという話を聞くと、心の底では怖い所というイメージは今もある。

 最近、海の汚れが気になる。

 近くの海岸へ出かけると、岸にたどり着いた投棄ごみが大量にみられる。日本、韓国、中国大量のペットボトル飲料、洗剤などのプラスチック製品がかなり目に付く。でもそれよりも明らかに多いのが漁業者の廃棄した漁網や仕掛け罠、ロープ、発泡スチロールの入った大きなウキだ。一番恩恵を受けている人たちなのに・・・。これらは岩の間に挟まりやすく、回収も難しい。有害な物質も流れ出ているのだろう。

 日本は海に囲まれ、魚など世界で最も海からの恵みを受けてきた国だと思う。自然に戻らない物は人間の責任で処分すべきなのは当然だろう。ごみは回収しなければ最後に海に到達するのだから。もっと大きな声を上げてほしいとも思う。

 私たちの未来は大自然と共にあるべきだ。そのためにはもちろん一人一人の心掛けが大切だが、日本の国が率先して世界に先駆け、きれいな海を守ってほしい。

 大好きな海を見るたび、一人でつぶやいている自分がいる。