先日出したブログの続きである。中学生からの質問とそれに対する私の回答を載せたい。
  (当日の質問の時間にはうまく答えることができなかったので、あとから文書にして回答して送った)

 Dさん
 「 障害を持っている人と接するときに、一番心がけていることは何ですか?」

〇 普通に、自然に接すること
 
障害を感じさせる時というのは、その人と接するとき、自然でない時だ
と感じています。支援をする際にも気を使いすぎたり、上から目線で「世話をしてやっている」という意識があると自然ではなくなります。そうしたことは障害のある人にも伝わり、ぎくしゃくしたものになってしまうことがよくあるように思います。言葉による理解が難しい知的障害のある人も、しっかりと伝わっていると感じることが多いです。「障害のある人」という意識でなく、一人の人間として接することに気がけることにより、支援も自然にできるようになると私は考えています。

 Eさん
  「障害者の人とかかわったり、過ごしたりして、何か新しく気づいたことや気づかされたことはありますか?」

 〇障害児教育・障害者福祉の様々な問題点を気づかせてくれた

 側で接しながら、実際に障害のある人の目線で社会を見ることにより、バリアに気づくことです。障害について学習したときに、段差や障害物などに気づいたでしょう?モノだけでなく、人の心の中にもそれを感じたり、自分の心の中にも感じたりすることに気づかされます。それが「差別」心であることもあり、反省させられることがあります。大切なことはそれに気づき、改めようと考えることだと思います。

 〇 共にゆっくりと社会を見つめることにより、気づかされること

 特に、障害のある子どもたちは,ゆっくりと一つ一つを学び,習得していきます。障害のない子どもたちが駆け足で通過していく道のりを,散歩のようにゆっくりと,時には立ち止まり,後戻りしながら進んでいく。そうしたことに寄り添っていると,何気なく見落としていた美しい足下の花々(命の尊厳,純粋な心,成長の喜びなど)を見つけ,心洗われる思いがすることもあります。

Fさん
 「障害を持った人と生活していく中で、一番大変なことは何ですか?

〇 大変なこと、といわれると特に感じていないのですが、しいてあげるとすれば、その人の困難な部分(障害となっているもの)への配慮ですね。知的障害のある人へはその人なりに理解できるように、身体障害のある人へは移動などのバリアを排除すること、しかしそれらは当たり前のことと考えてはいます。
 
Gさん
  「育てる中で一番大変だった、悩んだことは何ですか?」

 障害があるがゆえに起こしてしまう行動に対して理解がなく、冷たい視線を投げかけられることがあります。今ではほとんどありませんが、他の保護者の経験ではあからさまな差別的な言葉が飛んできたりすることもあったと聞いています。そうした他人の視線を気にして、しつけとしてその行動を改善させていくことに苦心したことですね。地域社会の中で生活していくためには、他人との接し方、周囲を意識した行動、言動など、社会的な行動(ソーシャルスキル)を一つ一つ教えていくことには時間をかけて取り組みました。今後も必要なことだと思っています。

Hさん
  「障害のある人にかかわってきて、今までを振り返ってその目標をお聞かせください。」
〇 障害やバリアを感じさせない生活をしていくための社会を作ること 
 障害児教育や福祉についてことを学ぶうち,私たちにはこの間に夢ができてきました。それは,この地域を中心とした県北で,「支援を必要とする人が,そうでない人とともに障害やバリアを感じさせない生活をしていくための社会を作る」ということです。みな普通に仕事をし,休日は余暇を楽しむ。当たり前のことですが,現状ではかなり厳しいこれらを,この地で実現していきたいと考えています。これまでは特に仕事柄、教育について取り組んできましたが、これからは「豊かな人生、生活」を送ることにシフトして、これまでに学んできたことをもとに相談に乗ったり、社会に働きかけたりしながら新しいサポートができればと思っています。
 「みんなちがってみんないい」という詩人金子みすゞさんの言葉があるでしょう?社会的弱者といわれる高齢者、障害のある人などがその違いを一人の人間として認められ、制度だけでなく、周りの人から自然な支援を受けられるやさしい地域社会を作ることに参加できたらとも思っています。

  子どもたちの質問の鋭さ、素直さに圧倒された私であったが、同時に、真摯に、しっかりと答えるべきだと感じ、家に持ち帰って考えをまとめたのだった。

 

 これらの質問は自分の生き方や考えを改めて問われたと感じていた。大変良い機会となった。今後もしっかりと自分の中に残しておき、進化させていきたい。