平成22年度、45冊冊目の読了本です。


ちなみに、平成23年の読了本は、既に16冊読んでいます;;




○あらすじ


「真の王」を名乗り、「王」と名乗る者を全て粛清する宣告をしたシスタス。


そんなシスタスに反発し、自らを「偽王」と名乗り、シスタスへと向かったフェンベルク。


彼女は、祖国から追放されてからずっと共に旅をしているテオと、飄々としてどこか掴めないサチの3人でシスタスの領内のルバーブという町へと足をすすめた。


しかしそこでフェン達が知ったのは、かつてシスタスとラビッジで起きた恐ろしくも悲しい事件と、ソルドで共に戦ったリノが抱えていた悲しい過去だった。


一方のシスタスは、その間も着々と周辺国の制圧へと手を進めるのであった・・・。





○感想


「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ、第6巻です。


前巻である『風牙天明』からかなり間を空いてしまったので、大分内容を忘れていました;;


ラビッジのシスタスの「借り」の話も、前巻にあったようなのですが、ものの見事に忘れていたり・・・。


でも、基本部分は忘れていなかったので、読んでいくには問題がなかったですよ。


フェン達の方は、とても難しい問題と向き合っていました。


「一人を助ける為に大勢を犠牲にするか、大勢を助けるために一人を犠牲にするか――――」


この問いかけは、どちらがいいとか悪いとかはないと思いますし、これに答えを出すのは難しいと思います。


今回、フェンはそのどちらでもない選択をとりました。


それがいいとか悪いとか、フェンがやった事が綺麗ごとだとか色々ありますけど、どちらかをとるかしかない選択肢に待ったをかけて、悩みながらもそこへと持ってく姿勢が良いと思います。


サチがフェンに対して、


『見ておけ。望むと望まざるに拘らず、自分の行動が誰かの糧になる所を』


と言い、それに対してフェンは、


『・・・・重い』


と答えます。


それが何とも印象的でした。



一方のラビッジの昔話は、とても切なくなりました。


多分、誰も悪くないのです。


悪くないのにお互いがお互いを強く思いすぎた故に起きた事だと思いました。


最後に故国へ足を踏み入れたかつての「雲の女王」に対しての各々の反応に、ちょっと幸せな気持ちになりました。